世界を護る者達:毒戰寒流

蓮實長治

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第四章:A Hard Day

ニルリティ/高木 瀾(らん) (2)

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「どうすんだよ、あの死体? 未だに洒落になんね~邪気を吹き出してっぞ」
「後から来る応援になんとかしてもらうしか無いな」
「何だよ、それ? おめえ、普段はクソ理屈っぽいのに、何で、そんなボケ~とした阿呆でも言えるような馬鹿台詞吐いてんだよ?」
「私には、そっち関係の知識が無いし、そもそも、その手のモノを認識出来ない。限られた情報からだと、当然、ボケ~とした考えしか浮かばない。お前には、いいアイデアは無いのか? 専門家だろ?」
「あ~、判った。何か、いい手を考えとく」
「あ~、判った。のんびり待つ事にする。のんびり出来る事態かさえも、私には良く判らんが」
 私達は、警察署の入口付近にゾンビ化した職員・警官の死体を残して奥へと進む。
「妙だな……」
「どうした?」
 立ち止り、首を傾げる相棒に、私は、そう質問した。
 安全と身元がバレるのを防ぐ為に、私達、俗に言う「正義の味方」はマスク兼ヘルメットを装着する事が多いが、当然ながら、こう云う場合は仲間同士でもお互いの表情が見えない。
 そのせいか、最近は、仕事中以外でも、気を抜いてしまうと、普段の癖で、オーバーなゼスチャーをしたり、回りくどい説明台詞が口から出てしまうようになった。
 ある意味で、人間同士の意思疎通で「表情」がどんなに大きな要素だったかを実感する羽目になってる訳だ。
 もっとも、私にとっての「普段」が、この仕事をやってる時か、高校生活かは、自分でも良く判らないが。
「邪気の流れが変だ」
「どう云う事だ?」
「説明しにくいんだよ……。言葉で説明出来る位まで詳しく調べると、この辺りをウヨウヨしてる悪霊や魔物にあたしの存在を気付かれかねねえ」
「厄介だな……どうしたものか……」
 この仕事をやるようになってから実感する羽目になった事が、もう1つ。
 魔法・心霊系の能力を持ってる奴らと、私のような「魔法や心霊に影響を受けにくい代りに、それらを認識する事が出来ない」ような奴は、同じ世界に居ながら、見えている世界は全く違う。
 真実は常に1つだとしても、大概の場合、その「真実」とやらの形は異常に複雑怪奇だ。
 私と、ほんの少しズレた場所から、その「真実」を見てる奴に見えてるモノと、私に見えてるモノが似てるとは限らないのに、見ているのは同じ「真実」なのに。
「すまん。他のチームの手の空いてる後方支援要員を探してくれ。当然ながら、魔法・心霊関係に詳しい人をだ」
了解Affirm
 ウチの後方支援チームに連絡。
 残念ながら、ウチのチームではずっと、魔法・心霊系の能力者は「小坊主」さん1人だったので、後方支援要員にも、魔法・心霊系の事件で、適切な判断が出来る者が少ない。
「何だ、それ?」
 ふと、相棒が腰に付けてるポーチから封筒のようなモノを取り出してるのに気付いて、そう質問する。
「ああ、試しに作ってみた呪符だ」
「何の?」
「知っての通り、魔法とか心霊系の力は、物理現象を起こすのは苦手だ。でも、紙切れ1枚程度なら、何とか動かせる」
「それで?」
「この封筒にも封印系の呪法がかかっててな……その封印が解かれると……」
 そう言って、相棒は封筒の中の呪符を周囲に撒き散らし……。
 たしかに、その呪符は……生物か何かのように勝手に宙を舞い動いていくが……。
「どうなってる? 失敗作か? それとも……お前の言ってた変な感じに関係が有るのか?」
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