魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO

蓮實長治

文字の大きさ
上 下
36 / 125
第六章:Rebel Without a Clue

(1)

しおりを挟む
 屋上での練習を終えてクソ女の部屋に戻ると……。
 爆発音。
 獣の咆哮。
 いくつもの悲鳴。
 何かのゲームのBGM。
「うがああああッッッッ‼」
 そして、クラスメイトの沙也加ちゃんが、この部屋に来た日に戻ってきたクソ女の「姉妹喧嘩中の妹」の怒りの声。
「入るぞ。何やってんだ? また、喧嘩か?」
 師匠の千明さんがクソ女の妹の部屋の襖を開けると……机の上に有るバカデカいPC用の画面には……オンラインRPGが表示されている。
 熊人間が、口から電光や炎を吐き、何故が光っている両手の爪を振り回しながら……雑魚敵を虐殺していた。
「大丈夫、ちょっと変な頼まれ事が有って、ストレスが溜ってるだけだから……」
「そ……そうか……」
 クソ女の部屋は静かだったが……。
「こっちの練習は終ったんで、こいつの夏休みの宿題……どうした?」
 クソ女の方は……げんなりした表情かおで、恐竜のヌイグルミをまとめて4つ抱き締めて……ベッドの上で横になっていた……。
「大丈夫だ。ちょっと変な頼まれ事を片付けてて……疲れただけだ。おい、宿題は台所のテーブル使って自分でやって、判んない所が有った時だけ呼んでくれ」
「一体、2人そろって、何が有った?」
「ちょっとな……ある小説投稿サイトに載ってるラノベを読んで感想を送れと言われたけど……作者が……その……どう考えても……精神的に……何だ……えっと……」
「誰が書いたどんな話なんだ、そりゃ?」
 クソ女はヨロヨロと立上り……自分のPCの画面ロックを解除。
 その手の最大手「ラノベ作家を始めよう」の、あるアカウントの小説一覧が……。
「何だ、こりゃ、魔法少女ものばっかり……ん? おい、これ……何か変だぞ」
「気付いたか……? 
「ちょっと……多作だな……。今まで書き溜めたのを一気に投稿したのか?」
「いや……今月に入ってSNSでバズったネタがいくつも入ってた。多分だが、本当に2週間で五〇万字以上書いてる」
「よく書けたな……」
「そりゃ……
「そ……そうか……」
「これを全部、今月末締切の新人賞に応募してる」
「ま……まぁ、その……そう言う奴は……この手のサイトには結構……何だ……」
「ああ、普通なら、よく居る残念な人だが……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

聖邪の交進

悠理
ライト文芸
主によって七日間で生み出された世界は、悪魔によって三日で滅ぼされた。 人を悪魔に変貌させる『悪魔病』。その原因となる『邪気』。それらをすべて消し去る為、長い眠りについた主の復活を望む団体『暁の門』。 その修道女である少女モモは、護衛である大男ウルゴと共に、主の復活に必要な信仰を集める為、旅をする。 現在番外編を連載中。基本一話完結で展開していきます。

身体交換

廣瀬純一
SF
男と女の身体を交換する話

特技は有効利用しよう。

庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。 …………。 どうしてくれよう……。 婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。 この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。

「今日でやめます」

悠里
ライト文芸
ウエブデザイン会社勤務。二十七才。 ある日突然届いた、祖母からのメッセージは。 「もうすぐ死ぬみたい」 ――――幼い頃に過ごした田舎に、戻ることを決めた。

チート能力【無限増殖】を得た俺は終末世界でもファンタジーしている ~無限に増え続ける能力で世界最強~

仮実谷 望
ファンタジー
ある日、俺は謎の薬を手に入れてそれを飲んだら、物を増やす能力に目覚めていた。お金儲けしたり、自分自身の欲望を叶えているうちに厄介ごとやモンスターと出会う。増える超能力。増え続ける超能力が進化していつの日か世界最強の男になっていた。基本的に能力は増え続けます。主人公は色々なことをしようとします。若干異能力バトルに巻き込まれます。世界は終末世界に移行してしまいます。そんな感じでサバイバルが始まる。スライムをお供にして終末世界を旅して自由気ままに暮らすたまに人助けして悪人を成敗する毎日です。

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

小型オンリーテイマーの辺境開拓スローライフ 小さいからって何もできないわけじゃない!

渡琉兎
ファンタジー
◆『第4回次世代ファンタジーカップ』にて優秀賞受賞! ◇2025年02月18日頃に1巻出荷予定! ◆05/22 18:00 ~ 05/28 09:00 HOTランキングで1位になりました!5日間と15時間の維持、皆様の応援のおかげです!ありがとうございます!! 誰もが神から授かったスキルを活かして生活する世界。 スキルを尊重する、という教えなのだが、年々その教えは損なわれていき、いつしかスキルの強弱でその人を判断する者が多くなってきた。 テイマー一家のリドル・ブリードに転生した元日本人の六井吾郎(むついごろう)は、領主として名を馳せているブリード家の嫡男だった。 リドルもブリード家の例に漏れることなくテイマーのスキルを授かったのだが、その特性に問題があった。 小型オンリーテイム。 大型の魔獣が強い、役に立つと言われる時代となり、小型魔獣しかテイムできないリドルは、家族からも、領民からも、侮られる存在になってしまう。 嫡男でありながら次期当主にはなれないと宣言されたリドルは、それだけではなくブリード家の領地の中でも開拓が進んでいない辺境の地を開拓するよう言い渡されてしまう。 しかしリドルに不安はなかった。 「いこうか。レオ、ルナ」 「ガウ!」 「ミー!」 アイスフェンリルの赤ちゃん、レオ。 フレイムパンサーの赤ちゃん、ルナ。 実は伝説級の存在である二匹の赤ちゃん魔獣と共に、リドルは様々な小型魔獣と、前世で得た知識を駆使して、辺境の地を開拓していく!

イマワノキワ -その時に私を呼んでー

たまひめ
ライト文芸
足の悪いばあちゃんと、ひっそりとした生活を送る 希和(きわ)は、卑弥呼から繋がる不思議な力を持っていた。 自然や動物に愛され、かわいい猫ちゃんが希和を守る。 世の中の理不尽な事件に、愛情を持って立ち向かっていく。 恋あり、闘いあり、、、、、乞うご期待!! 初めての投稿です。 皆さんの『お気に入り』登録に、天にも昇るように嬉しいです。 近々、お礼の気持ちとして、挿し絵をアップ出来れば  いいなぁと思っています。 表現、誤字、脱字 等、間違いだらけですが、 どうぞ、よろしくお願いいたします。

処理中です...