魔導兇犬録：HOLDING OUT FOR A HERO

第五章：Premonition

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「あ……あの……何で、わざわざ入院先の病院から抜け出して来た先が……ここなんですか？」
　更に後から合流した博多チームの「魔法使い」系の人によって、あっさり、ボクが昨日助けたけど、今日になって入院先の病院を抜け出した人物の行き先は、あっさり判明した。
「さぁな……」
　博多遊軍チームの「神様」系の能力の女の人はリュックからモバイルＰＣとモバイルＷｉＦｉルータを取り出して起動。ついでに、モバイルＰＣに小型キーボードとマウスを接続。
　良く見ると、キーボードは瀾さん愛用のプログラマ向けのモノで、マウスも一見すると「恐竜か怪獣の足をデフォルメした可愛い系」だけど、実はＣＡＤに設計されたモノ。
　年齢と使ってるＰＣ用のキーボード・マウスからして「表の顔」は理系の大学生かと思ったけど……待合せ場所だった本屋で、ついでに買ってた洋書は人文学系のものだった。
　まぁ、「他チームの人間の個人情報は知ってはならない」が「正義の味方」のルールだけど……どんな人なのか、想像が付かない。
「顔は……間違いないか？」
　彼女のＰＣの画面には……一緒に来た「魔法使い」系の人がトイレに行くフリをして眼鏡のアクセサリに見せ掛けた小型カメラで撮影した画像。
「えっと……多分。そちらの能力で……何か判ります？」
「何と言うか……かなりの疲労・寝不足・栄養不足と言った所だな」
「でも……何で……その……」
「それは、そうと、経費の範囲内だと、食べ物も注文出来るけど、いいのか？」
「いや、そう言う問題じゃなくて、その……」
　ターゲットは、わざわざ病院を抜け出した後、何故か駅ビル内の喫茶店に来てモバイルＰＣで作業をやっていた。
　ボク達が居る席から観察してみると……顔色が悪い上に、妙にニヤニヤした顔で、もの凄い勢いでモバイルＰＣのキーボードから何かを入力してる。
　その時、トイレから博多チームの「魔法使い」系の人が出て来て……今度はターゲットの背後を通り……。
「はぁ？」
　ターゲットのモバイルＰＣの画面を撮影したモノが写され……。
　ＷＥＢブラウザが全画面表示されていて……それ以外のアプリは動いてない。
　ＷＥＢブラウザのタブは……ＷＥＢメールと、ＳＮＳと……あと、もう１つ。
　別に変なサイトじゃない。
　今、その別に何もあやしくない普通のＷＥＢサイトの画面から何かを投稿し終えた所らしく……。
　博多遊軍チームの神様系の能力者の女の人は、送られてきた画像を文字認識アプリにかけて……。
「どうしました？」
「これが対象が今見てるサイトの……対象のアカウントの投稿一覧だけど……」
「投稿数が多い気がしますけど……別に変な……あれ？」
「お……おい……これ……」
「どうしました？」
　トイレに行くフリをしてた博多チームの「魔法使い」系の人が戻って来て、そう訊いた。
「こ……これ……変じゃないですか？ このサイトで対象が使ってるアカウントの投稿一覧です」
　「魔法使い」系の人も、しばらく、画面に表示されてるモノのどこが異常かを判らなかったようだけど……段々と表情が変ってゆき……。