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第3話 不器用な剣士と戦乙女の微笑み
しおりを挟む砦での試練を終えたアルフレッドは、戦乙女たちから一定の敬意を得ていた。しかし、その日常は想像以上に窮屈で、戦場を渡り歩いていた頃とは違う不安定さを感じていた。特に、シルフィアの厳格な指導が彼を追い詰めていた。
「アルフレッド、次の訓練は山の斜面で行う。剣の振りを確認しろ」
冷たい声で指示を飛ばすシルフィアに、アルフレッドは苦笑しながら答えた。
「おいおい、俺は試練を乗り越えたんだぞ? もう少し楽させてくれてもいいんじゃないか?」
「甘えるな。お前の剣はまだ未熟だ」
返答はいつも通り厳しいものだった。
山の斜面で剣を振り始めたアルフレッドは、やがて息を切らし、膝に手をついてしゃがみ込んだ。その姿を見ていたシルフィアが、ため息をつきながら近づいてくる。
「そんな調子では話にならない。これで戦乙女の仲間になるつもりか?」
「仲間になるなんて言った覚えはないさ。ただ、ここにいたい理由ができたからな」
アルフレッドが肩をすくめながら言うと、シルフィアの眉がピクリと動いた。
「理由? それはなんだ?」
鋭い視線に、アルフレッドは少しだけ照れくさそうに目を逸らした。
「……まぁ、あんたが気になってるだけだ」
一瞬、静寂が流れる。アルフレッドの言葉を聞いたシルフィアの表情が、わずかに硬直していたのだ。
「なっ……! 何を言っている!」
耳まで赤く染めたシルフィアが慌てて反論する。その様子にアルフレッドはニヤリと笑った。
「意外と顔に出るんだな。戦乙女ってのも案外可愛いじゃないか」
「黙れ! 訓練を続けろ!」
動揺を隠すためか、シルフィアは大声で命令し、アルフレッドに背を向けた。その背中からは、彼女が照れているのが明らかだった。
その後、アルフレッドはシルフィアに言われるまま剣を振り続けたが、ふとした瞬間に彼女がちらちらとこちらを見ているのに気づいた。
「俺の剣、悪くないだろ?」
冗談めかしてそう言うと、シルフィアは目を逸らしながら小さく呟いた。
「……少しは見られるようになったな」
その微かな声と、彼女のほんのり赤く染まった頬に、アルフレッドは胸が少しだけ熱くなるのを感じた。
不器用ながらも少しずつ近づく二人の距離。それは戦乙女と剣士の物語に、新たな彩りを加える始まりだった。
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