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明暗

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 2日後、新居は無言の帰宅をする事となった。吉野は新居の残してくれたチョコが命を繋ぎ止め奇跡的に生還した。

 新居が遭難したとの報せを受け、新居の妻智美(ともみ)は息子の武(たけし)を両親に預け、山の麓(ふもと)まで駆け付けていた。その智美に新居の訃報が知らされ、智美は崩れ落ちる様にしゃがみ込むと、涙が枯れるまで泣き続けた。

 それから新居の友人の酒井に付き添われ、智美が新居との対面を果たしたのは遺体安置所での事だった。智美は冷たくなった新居の頬に手を当て「寒かったでしょ……」といつまでも摩り続けた。

 智美は酒井に抱えられる様に遺体安置所を離れると「新居さんの奥さんですね?」と声を掛けられた。智美が「はい……」と答えると、声を掛けて来た男性が「救助ヘリ等の費用の事で……」と言った。酒井は顔を赤くして「こんな時に…… 今じゃなきゃ駄目なんですか!?」と言った。

 智美が「主人の残してくれた生命保険がありますので、手続き等は後日にして頂けますか?」と言うと、男性は連絡先を残して行った。

 翌日のニュースでは、新居の遭難事故が大きく取り上げられると思ったが、隕石落下のニュースに紛れ思ったほど大きく取り上げられる事は無かった。それでも智美の元へマスコミの取材が無い訳では無かった。
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