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第5章三国会議
7.獣人の村
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バーベキューをしていたらいつの間にか餓えた獣に囲まれていた。
「ちょっ、明!何よこの人達!」
鈴が言った通り獣であって人、いわゆる獣人だ、見た目は人に獣耳としっぽが着いているくらいか?
「うーむ、とりあえず」
串焼きを一本手に持ち近づく。
「ちょっと明くん!危ないよ!」
「平気だたぶん、ほら食べていいぞ」
近くに居た老人の目の前に串焼きを差し出す。
「お、おぉ、おぉ」
老人は串焼きを受けとると涙を流しながら膝間付き、一心に貪りつく。
「明、何してんの?」
「ん?何って、餌付け」
「いろんな意味で酷いので辞めなさい」
澪に怒られる、ふむ、膝間付き泣きながら串焼きを食べる老人(けもみみ)を見下ろす高校生、うん、絵面がやばい。
そう考えていると食べ終わった老人が話しかけてくる。
「おぉ、食べ物を恵んで頂きありがとうございます」
「気にするな」
「ついては、お願いが……」
「村にも食糧が欲しいんだろ?」
「な、何故それを!」
「秘密だ」
「あ、そっかだからエレナちゃんに大量の食糧を頼んだのね」
事前にナビさんから話を聞いていた俺は、エレナ姫に頼み食糧を運んで貰っている、その理由は……
「獣人達の住む村で大飢饉が起きている、そうだろ?じいさん」
「な、なぜそれを?」
「秘密だ、それと仲間が食糧を運んできてくれる手はずになっている」
「ほ、ほんとうですか?」
「あぁ、だから少し待て、その間に俺達はピクニックの続きだ」
何事も無かった様にバーベキューを食べ始めると、鈴から待ったが掛かる。
「いや、この状況で普通に食べられないから」
周りには腹を空かせた獣人がいっぱい、中には涎を垂らしている者もいる、確かに落ち着かないな。
「しょうがない、クロエ少し配ってやれ」
「畏まりました明様」
これで落ち着いて食べれる。
しばらくして、エレナ姫が数台の馬車と共に現れる。
「予想していたより多いな」
「ダイア陛下とクリスティア猊下が協力して下さったのです」
「エレナ姫、ほうなるほど案外役に立つな」
「はい、それでダイア陛下から伝言があります」
「なんと?」
「これで借金をちゃらにと」
「ふむ、減額はしよう」
「そ、そうですか」
エレナ姫が苦笑いをする、さすがにこれでちゃらは無いわ。
「とりあえず、じいさん村まで案内してくれ」
「わかりました」
獣人のじいさんに案内してもらい、いざ獣人の村へ。
村に着いて初めに目に入ったのは荒れ果てた土壌と、生き倒れる獣人達だった。
「こりゃひどいな」
「早く炊き出しをした方がいいね」
「そうだな、じいさん炊き出しをするから村人を集めてくれ、動けそうにないやつは無理に動かさないでいい、後使えそうな鍋を集めろ、できるだけ大きいものがいい」
「わかりました」
さて、いざ炊き出しを始めようとすると問題が発生した。
「よし、明くん私も頑張るよ!」
「うむ、手伝おう」
「工藤様、まずは何をしますか」
この戦力外達をどうするか、仕方ない余裕がないのでハッキリ言おう。
「澪、敦、エレナ姫すまない」
「ど、どうしたの明くん?」
「今、物資の限られた現状で少しも無駄にする事はできない、だから、だから……」
「く、工藤様?」
「三人に食材を触らせる事はできないんだ!どうか、どうか多くの命を救うためと分かってもらいたい!!」
「わ、わかったから泣かないで明くん」
「明がここまで言うとは……」
「私達、そんなになんですかね?」
正直に言おうそんなになんですエレナ姫、前に話した通り敦は不器用、澪はミュータント錬成器、そしてエレナ姫は前に試しにクッキーを作らせたら味が消えた。
何を言ってるかわからないだろ?いや、でもマジなんだって、口に入れた筈なのにまったく味が無かった、噛み終わって味がなくなったガムを食べてる気分だった、一瞬自分の味覚が無くなったと思って、慌てて近くに有った柑橘系の果物を丸噛りした、ものすごい酸っぱかったけどそれに安堵したね。
「という訳で三人は隅で大人しくしててくれ、配膳の時呼ぶから」
「う、うん、わかったよ」
さて、何とか食材は死守したぞ。
「ところで明、何を作るの?」
「うーん、とりあえず具だくさんのスープは確定、他に何がいいと思う?」
「そうだね、消化に良いものがいいと思うよ、何日も食事をしていない状態で急に食べると吐いちゃうからね」
あ、確かに司に言われて気づいたけど、肉はダメだったか?まぁ、平気そうだから大丈夫か。
「じゃあスープと豆類を煮たもの、後は柔らかいパンとかで良いかな?」
「そうだな、お粥とかが良いんだろうが、米がないからな」
この世界米っぽい物はあるが、ちゃんとした米ではない、なのでお粥にできるか分からないので×だ。
「明様、鍋の用意ができました」
「よし、じゃあ始めるか」
司に煮豆、鈴に一緒にスープを作ってもらう、クロエ達には村の詳しい状態を調べてもらう医療の知識も有るらしい、メイドとはいったい……
などとメイドの定義に疑問をもっていると不意に鈴が聞いてくる。
「ねぇ明、気になったんだけど」
「んー、どうした?」
「動物って食べさせちゃいけない物有るよね?」
「あ、しまった」
そう言えば、玉ねぎが毒とか有ったな、大丈夫なのか?
〈大丈夫なようです、先ほどクロエの渡していた物も食していました〉
おぉさすがナビさん良く見てる、でも一様念のため。
「おーい、じいさんあんたら食べちゃいけない物あるか?」
「い、いえ特には」
「なら良かった」
どうやら大丈夫らしい、なら遠慮無く具を沢山入れる、なるべく噛みやすい様にかつ消化に良いように良く煮込む、食べごたえを出すために肉も入れるが小さくサイコロ形にする、これくらいなら平気だろう。
「明、こっちの煮豆は終わったよ」
「スープも完成だ、よし澪達出番だぞ」
「うん、任せて!」
澪達に配る手伝いをお願いして村の連中を集める、まずは子供と老人を優先だ。
「おい、じいさんも並べよ」
「いえ、村長のワシは最後でお願いします、他の村人に多くあげてやって下さい」
あ、このじいさん村長だったのね、てゆーか村長に俺何してんだろ。
「心配しなくても多めに作って有るから全員に行き渡るよ」
「本当に何と感謝して良いやら」
「感謝はいいから話を聞かせてくれ、なぜこんな事になった?」
「明様、恐らくこれが原因かと」
そう言ってクロエが差し出したのは枯れた雑草。
「あー、なるほど日照りか」
「はい」
要するに雨が降らずに作物が育たなかった、良くあるパターンだな。
「対策はして無かったのか?」
「いえ、雨の多い時期に溜めていたのですが、今年は例年に比べ雨が少なく……」
それは対策していたとは言わないんじゃない?
「……水を何処かから引く事はできないのか?」
「……この村は川から遠く引くには時間と労力がないのです」
「なら、今までどうやって生きてきたんだ?」
「今までは魔王様が食糧などを村に寄付して下さっていたのです」
「魔王が?」
「はい、周辺の村から……」
もしかしなくても、略奪品か。
「我々もこのままでは良くないと分かっているのですが……」
村は川から遠く、森で狩をしようにも魔物の巣窟、打つ手は確かに無さそうだな。
「なら、移住したらどうだ?せめてもう少し住みやすい所に」
「それはできません、これはワシらのせめてものの罪滅ぼしなのです」
何か訳ありか、たぶん魔王城に居る魔王と関係が有るんだろうな、面倒な事になりそうな予感がする。
「ちょっ、明!何よこの人達!」
鈴が言った通り獣であって人、いわゆる獣人だ、見た目は人に獣耳としっぽが着いているくらいか?
「うーむ、とりあえず」
串焼きを一本手に持ち近づく。
「ちょっと明くん!危ないよ!」
「平気だたぶん、ほら食べていいぞ」
近くに居た老人の目の前に串焼きを差し出す。
「お、おぉ、おぉ」
老人は串焼きを受けとると涙を流しながら膝間付き、一心に貪りつく。
「明、何してんの?」
「ん?何って、餌付け」
「いろんな意味で酷いので辞めなさい」
澪に怒られる、ふむ、膝間付き泣きながら串焼きを食べる老人(けもみみ)を見下ろす高校生、うん、絵面がやばい。
そう考えていると食べ終わった老人が話しかけてくる。
「おぉ、食べ物を恵んで頂きありがとうございます」
「気にするな」
「ついては、お願いが……」
「村にも食糧が欲しいんだろ?」
「な、何故それを!」
「秘密だ」
「あ、そっかだからエレナちゃんに大量の食糧を頼んだのね」
事前にナビさんから話を聞いていた俺は、エレナ姫に頼み食糧を運んで貰っている、その理由は……
「獣人達の住む村で大飢饉が起きている、そうだろ?じいさん」
「な、なぜそれを?」
「秘密だ、それと仲間が食糧を運んできてくれる手はずになっている」
「ほ、ほんとうですか?」
「あぁ、だから少し待て、その間に俺達はピクニックの続きだ」
何事も無かった様にバーベキューを食べ始めると、鈴から待ったが掛かる。
「いや、この状況で普通に食べられないから」
周りには腹を空かせた獣人がいっぱい、中には涎を垂らしている者もいる、確かに落ち着かないな。
「しょうがない、クロエ少し配ってやれ」
「畏まりました明様」
これで落ち着いて食べれる。
しばらくして、エレナ姫が数台の馬車と共に現れる。
「予想していたより多いな」
「ダイア陛下とクリスティア猊下が協力して下さったのです」
「エレナ姫、ほうなるほど案外役に立つな」
「はい、それでダイア陛下から伝言があります」
「なんと?」
「これで借金をちゃらにと」
「ふむ、減額はしよう」
「そ、そうですか」
エレナ姫が苦笑いをする、さすがにこれでちゃらは無いわ。
「とりあえず、じいさん村まで案内してくれ」
「わかりました」
獣人のじいさんに案内してもらい、いざ獣人の村へ。
村に着いて初めに目に入ったのは荒れ果てた土壌と、生き倒れる獣人達だった。
「こりゃひどいな」
「早く炊き出しをした方がいいね」
「そうだな、じいさん炊き出しをするから村人を集めてくれ、動けそうにないやつは無理に動かさないでいい、後使えそうな鍋を集めろ、できるだけ大きいものがいい」
「わかりました」
さて、いざ炊き出しを始めようとすると問題が発生した。
「よし、明くん私も頑張るよ!」
「うむ、手伝おう」
「工藤様、まずは何をしますか」
この戦力外達をどうするか、仕方ない余裕がないのでハッキリ言おう。
「澪、敦、エレナ姫すまない」
「ど、どうしたの明くん?」
「今、物資の限られた現状で少しも無駄にする事はできない、だから、だから……」
「く、工藤様?」
「三人に食材を触らせる事はできないんだ!どうか、どうか多くの命を救うためと分かってもらいたい!!」
「わ、わかったから泣かないで明くん」
「明がここまで言うとは……」
「私達、そんなになんですかね?」
正直に言おうそんなになんですエレナ姫、前に話した通り敦は不器用、澪はミュータント錬成器、そしてエレナ姫は前に試しにクッキーを作らせたら味が消えた。
何を言ってるかわからないだろ?いや、でもマジなんだって、口に入れた筈なのにまったく味が無かった、噛み終わって味がなくなったガムを食べてる気分だった、一瞬自分の味覚が無くなったと思って、慌てて近くに有った柑橘系の果物を丸噛りした、ものすごい酸っぱかったけどそれに安堵したね。
「という訳で三人は隅で大人しくしててくれ、配膳の時呼ぶから」
「う、うん、わかったよ」
さて、何とか食材は死守したぞ。
「ところで明、何を作るの?」
「うーん、とりあえず具だくさんのスープは確定、他に何がいいと思う?」
「そうだね、消化に良いものがいいと思うよ、何日も食事をしていない状態で急に食べると吐いちゃうからね」
あ、確かに司に言われて気づいたけど、肉はダメだったか?まぁ、平気そうだから大丈夫か。
「じゃあスープと豆類を煮たもの、後は柔らかいパンとかで良いかな?」
「そうだな、お粥とかが良いんだろうが、米がないからな」
この世界米っぽい物はあるが、ちゃんとした米ではない、なのでお粥にできるか分からないので×だ。
「明様、鍋の用意ができました」
「よし、じゃあ始めるか」
司に煮豆、鈴に一緒にスープを作ってもらう、クロエ達には村の詳しい状態を調べてもらう医療の知識も有るらしい、メイドとはいったい……
などとメイドの定義に疑問をもっていると不意に鈴が聞いてくる。
「ねぇ明、気になったんだけど」
「んー、どうした?」
「動物って食べさせちゃいけない物有るよね?」
「あ、しまった」
そう言えば、玉ねぎが毒とか有ったな、大丈夫なのか?
〈大丈夫なようです、先ほどクロエの渡していた物も食していました〉
おぉさすがナビさん良く見てる、でも一様念のため。
「おーい、じいさんあんたら食べちゃいけない物あるか?」
「い、いえ特には」
「なら良かった」
どうやら大丈夫らしい、なら遠慮無く具を沢山入れる、なるべく噛みやすい様にかつ消化に良いように良く煮込む、食べごたえを出すために肉も入れるが小さくサイコロ形にする、これくらいなら平気だろう。
「明、こっちの煮豆は終わったよ」
「スープも完成だ、よし澪達出番だぞ」
「うん、任せて!」
澪達に配る手伝いをお願いして村の連中を集める、まずは子供と老人を優先だ。
「おい、じいさんも並べよ」
「いえ、村長のワシは最後でお願いします、他の村人に多くあげてやって下さい」
あ、このじいさん村長だったのね、てゆーか村長に俺何してんだろ。
「心配しなくても多めに作って有るから全員に行き渡るよ」
「本当に何と感謝して良いやら」
「感謝はいいから話を聞かせてくれ、なぜこんな事になった?」
「明様、恐らくこれが原因かと」
そう言ってクロエが差し出したのは枯れた雑草。
「あー、なるほど日照りか」
「はい」
要するに雨が降らずに作物が育たなかった、良くあるパターンだな。
「対策はして無かったのか?」
「いえ、雨の多い時期に溜めていたのですが、今年は例年に比べ雨が少なく……」
それは対策していたとは言わないんじゃない?
「……水を何処かから引く事はできないのか?」
「……この村は川から遠く引くには時間と労力がないのです」
「なら、今までどうやって生きてきたんだ?」
「今までは魔王様が食糧などを村に寄付して下さっていたのです」
「魔王が?」
「はい、周辺の村から……」
もしかしなくても、略奪品か。
「我々もこのままでは良くないと分かっているのですが……」
村は川から遠く、森で狩をしようにも魔物の巣窟、打つ手は確かに無さそうだな。
「なら、移住したらどうだ?せめてもう少し住みやすい所に」
「それはできません、これはワシらのせめてものの罪滅ぼしなのです」
何か訳ありか、たぶん魔王城に居る魔王と関係が有るんだろうな、面倒な事になりそうな予感がする。
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