上 下
29 / 84
第3章ガレオン帝国奪還編

3.帝位強奪

しおりを挟む
闘技場に着き、バカ皇帝と向かい合う。

「よく逃げずに来たな、褒めてやるぞ」

「そりゃどうも」

「ふん、ルールは簡単だ、どちらかが戦えなくなるまでだ!」

「本当に、それでいいのか?」

「なんだ?降参したら止めてもらいたいのか?」

「いや、そちらがいいならこちらは問題ない」

「ふん、せめてもの情けだ、武器を準備するまで待ってやる」

「それじゃ遠慮なく、来い、魔剣・小烏丸!」

取り出したのは、忍者刀の魔剣・小烏丸。
忍者刀なんだから妖刀じゃね?とナビさんに問い合わせたら。

〈神基準で、魔剣だからいいのです〉

と、謎の基準が出てきたので、それ以上は追求しないでおいた。

「ガっハッハ、なんだ?その爪楊枝みたいな剣は!」

そりゃ、お前から見たら爪楊枝だと思うが、嘗めてかかると痛い目にあうぞ?

「では、行くぞ!」

バカ皇帝が突進してくる、バカ皇帝の武器は大楯に大槍、リーチが長く当てればただじゃ済まない、当たればな。

「潜め、小烏丸!」

ここで、小烏丸の能力を紹介しよう簡単に言うと、忍者になれる能力だ。

「ふん、そんなもので何ができる!」

大槍が、俺を貫く、見ていたダイア達が、ざわつきだすが……

「な、なに?」

貫いたと思った俺が、黒い霧へと変わり驚くバカ皇帝。

『どこを、見てるんだ?』

俺達の声に振り向きまた驚くバカ皇帝、そう、振り向いた先に居るのは、六人の俺だった。

「な、なんだ、いったい何をしているんだ!」

「この世界には、忍者なんていないから、珍しいだろ?」

多方向からの多重攻撃でバカを翻弄する、すると直ぐに隙が生まれる。

「ちょこまかと!目障りなんだよ!」

大きく振り回された槍で、分身ごと本体を吹き飛ばす気なのだろう、だが、槍が凪ぎ払ったのは、全て分身だった。

「な、消え……ぐっ、体が動かない!」

「残念だったな、本体はずっとお前の影の中に居たのさ」

「影だと?」

小烏丸の能力の一つ影術、影潜りと影縛りだ。

「確か、戦えなくなるまでやるんだったよな?」

「ぐぅ、おのれぇ」

小烏丸で顎をかち上げる、もちろん峰打ちで。

「グハッ!……」

バカは、気絶し動かなくなる、勝負ありだな、ダイア達もそれが分かったのか近付いて来る。

「まさか、本当に勝ってしまうとはな」

「当然だ」

「それで、これからどうするんだ?」

「ふむ、とりあえず、このバカを起こすか」

そう言って、水を持って来てもらい、ぶっかける。
水魔法?いやだよ、もったいない。

「ぐっ、ブハッ!」

「お目覚めの気分はいかが?」

「ふん、最悪だ」

「それは何より」

「ちっ……」

「とりあえず、敗者の義務を果たしてもらおうか?」

「なんのことだ?」

「土下座しろ」

「なんだと、貴様!」

「お前、何か勘違いしてないか?お前は負けた、つまり、もう皇帝じゃないんだ、そしてお前はエレナ姫に無礼を働いた、土下座して謝罪するのは当然だろ?」

「ぬ、ぬぅぅ」

「あ、ちなみに、これ皇帝命令ね?」

「ぐ、ぐぅぅ、さ、先程は、無礼な振る舞いをして、申し訳ありませんでした」

「よし、よし、謝り方は知ってたみたいだな、じゃあ俺は皇帝辞めます!、次の皇帝は、ダイアでよろしく!」

「な、なに!?」

「なんだ?聞くところによると、次代の皇帝は指名制だそうじゃないか?なら問題ないよな?」

ちなみに、誰に聞いたかと言うと、ナビさんだ、ナビさんマジ便利。

〈お褒めに預かり光栄です〉

「では、賛成のものは拍手を!」

パチパチパチ………
ワー、ワー、ワー、……

拍手だけならず、歓声も上がる、ダイアはずいぶん人気らしい、まぁ、あのバカと比べたらな。

「はぁ、最初からこれが狙いだったのか」

「明くんが皇帝って、似合わないもんね」

「確かに、こんなちゃらんぽらんが、皇帝なんて無理でしょ」

目的がようやく分かったダイアが、ため息をする、澪達は最初から分かっていたのだろ。

すると、ダイアが突然膝間付き頭を垂れる。

「帝位、慎んで頂き申し上げます、ついては今までどうり、ベアトリス王国との和平を執りたいと思います」

これで、国際問題にならないだろう、もっとも、エレナ姫にはその気はないだろうが。ひとまず一件落着か?

が、一人だけ納得していない奴が居るな。

「おい、ダイア俺に帝位を寄越すんだ!」

「兄上、ワタシはこれまで、貴方の許されない行いを見過ごして来ました、だからこれは、ワタシ達兄妹の罪、一緒に償いましょう!この者を牢に入れなさい!」

「な、何を言う、ダイア!」

「兄上は牢で罪を償ってください、アタシは民達の安息を取り戻す事で償います!」

「もしも、ダイアが道を踏み外したなら、俺が聖剣の名の元に切り捨ててやるよ」

「それは、とても頼もしいな」

ダイアは苦笑いをしながら、見ていた兵士や冒険者に向き合い、宣言する。

「皆聞いてくれ!アタシは、ここに、自らの命を賭けて民の安息の地を、取り戻すと誓う、だからどうか力を貸してほしい!」

ウォー!!

先程よりも大きな歓声が上がる、これで本当に一件落着か。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

処理中です...