上 下
28 / 84
第3章ガレオン帝国奪還編

2.国境沿い

しおりを挟む
夕食後、それぞれテントで休む事に、俺、司、敦の三人と鈴、澪の二人に分かれる。エレナ姫達は別のテントがあるらしい。

クロエも鈴達と同じテントを使えば?と聞いたが、馬車の番があるのでと言っていた、そこで、気になり夜中に隠密を使い覗いてみる事に、今回は隠密に加え、結界術で匂い何かも遮断する。

そこで見たものに俺は後悔する、馬車の中では、産まれたままの姿で、一心不乱に何かに祈りを捧げるクロエの姿が……

何に祈りを捧げているのかと思えば、前に俺が着ていた、奴隷服のようなボロ布だった、てっきりとっくの昔に捨てられたと思っていたが……

「あぁ、明様、なぜ貴方はそんなに美しいのでしょう、何故貴方はそんなにも輝いて見えるのでしょう、なぜ貴方はそんなに力強く逞しいのでしょう、あぁ、明様、明様、明様、明様………」

まさか、覗きをして背徳感より恐怖感が強くなるとは、思わなかった……

翌朝、朝食を食べている際、クロエが話し掛けてくる。

「ダークエルフという種族は、あまり寝ないでも大丈夫なのです」

き、気付かれてた!?

〈ハイ、昨夜、クロエはマスターの隠密を看破していました、本人は寝ない自分を心配してくれたのだと勘違いしています〉

ナビさん、もっと早く教えてよ!

〈あの場で教えて、声を出さない自信がおありですか?〉

うん、無理!絶対叫んでたね!

「慈悲深い明様のお心遣い、恐悦至極でございます」

あの所業に恐怖を感じていたとは、知らないクロエが惚けた顔で言って来る、悪い子じゃないんだけどな……

その後、馬車の旅は何事もなく、国境沿いに到着した。

警備をしていた、兵士に救援に来たことを告げ、直ぐに、部隊を率いる者に会う。

国境沿いの砦の中、案内された一室には、一人の女性?が居た、筋肉質の肉体、腹筋は割れていて、格好は一見盗賊のお頭か?と思うような物、後ろには、血で染められたような赤い鎧がある。

「久しぶりだな、エレナ嬢ちゃん?」

「はい、と言っても、一ヶ月ほど前にお会いしたばかりですが」

「ハッハッハ!そうだったな!」

「あの時は、このような事になるなど、思いもしませんでした……」

「何辛気臭い顔してんだ、アタシ達はまだ負けた訳じゃない、故郷を取り戻すんだ!そのための、援軍だろう?」

「そうでした、ご紹介が遅れました、こちらが……」

「聖剣使いだろ?こっちにも、情報は届いていたから、知ってるよ」

「……」

「ずいぶん、無口なやつだね?」

「あ、いえ、これは、その、」

「もう喋っていいのか?」

そう入る前に、エレナ姫に喋らないように言われていたのだ余計なことを言って、相手を怒らせたら不味いからと、人をなんだと思っているのやら。

「工藤 明だ、よろしく」

「アタシは、ダイア・ガレオンだ、ダイアでいい、よろしく」

「なら俺は明でいい、ところで、ガレオンって事は、あんたが皇帝か?」

「いや、アタシじゃないんだ、前皇帝の父上が、先の侵略でなくなって、実質即位したのは、兄上なんだが……」

歯切れの悪い、ダイアの話を聞いている途中、テントに大男が入って来た。

「ダイア!勝手に何をしているんだ!」

「兄上、客人の前です、お控えください!」

「黙れ、俺に歯向かうのか?」

兄上って事は、こいつが皇帝か?ダイアと違い横暴で、いかにも俺様主義っぽいな。
周りの兵士も露骨に、無理矢理従っているみたいだし。

「だいたい、俺はベアトリスみたいな、女の尻に敷かれているような、国の力を借りるなんてごめんだ!まぁ、股を開くなら別だがな」

国際問題にならないのかね?まぁ、そうなる前に、俺が消すけどな、こいつ今、澪や鈴に気持ちの悪い目を向けた、ここまで遠慮がないなら、こちらも遠慮はしないでいいよな?

スッと前に出て、バカ皇帝に提案する、こいつはもう、名前すら覚える気はない。

「俺たちの力が信じられないなら、試してみてくれないか?ただの模擬戦だと、本来の力が、見えないかもしれないから、何か賭けると面白いかもな?」

「賭けか、いいだろう、俺が勝ったらお前ら全員、俺の奴隷だ!」

「な、兄上、何を……」

「いいだろう」

「明、お前まで……」

「ただし、俺が勝ったら、皇帝の座を頂くがいいか?」

「何ぃ?」

「そうだな、それじゃあ、賭け金が吊り合わないな、なら、俺達五人に加え、エレナ姫とアリシア、それにクロエも足そう」

「ふん、いいだろう、その勝負受けてやる」

「エレナ嬢ちゃん、いいのか?」

「ハイ、大丈夫です」

「嬢ちゃん……待ってくれ兄上!私も、賭け金に追加する!」

「ダイアが?ガっハッハ、こいつはいい、お前をいつも、屈服させたいと思っていたんだ!いいだろう、では闘技場で待っているぞ!」

「いいのか?」

「ああ、君たちだけに危険は背負わせない……」

危険ね……

「これは、大丈夫そうですね」

「お、エレナちゃん分かってきたね?明、本気であのおっさん、潰す気だよ」

「ハイ、あの目をしているときはとんでもない事をする時だと、分かるようになってきました」

「そ、そうなのか?本当に大丈夫なのか?エレナ嬢ちゃん」

「ハイ、大丈夫ですよ、あの目をしている時は」

「そういうものか?」

「ハイ、いずれ、ダイア様も馴れます、私のように」

「なんか、目が死んでないか?」

エレナ姫の心労はさておき、潰すのは確定なので、さっさと闘技場に移動する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...