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第2章 ベアトリス女王国防衛編

10.遠征準備

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その日、朝早くに伝令が届き、城内は騒然となった。

俺達は、朝食の後謁見の間に呼ばれていた。今回は、ナビさんにより、緊急事態を知っていたため、速やかに移動する。

「ふぁぁ~、朝から何があったのよ、どたばたうるさくて、寝てられなかったよ」

状況を知らない、鈴があくびをしながら言う。

「まぁ、緊急事態ではあるかな?」

「何?あんた知ってんの?」

「いつも、思っていたが明は何故知ってるんだ?」

「秘密だ、それより急ごう」

「明くんが急ぐって事は、それほどの事態ってことだよね」

澪の言葉に、さっきまであくびをしていた鈴を含め、全員の顔が引き締まる。

謁見の間に着き、すぐに中に入る。

「お呼び立てして申し訳ありません」

「能書きはいい、今の詳しい状況を教えてくれ」

「どうやら、工藤様はご存じのようですね、今朝伝令が届きました、ガレオン帝国が陥落したと…」

ざわざわと、周りが騒がしくなる。

「ねぇ、ガレオン帝国って?」

「ガレオン帝国は、現在最も武力を保有する、人族の国です」

「その、ガレオン帝国が魔王の手によって、滅ぼされたってことだな」

「いえ、工藤様まだ滅びた訳ではありません」

「と、言うと?」

「現在、我が国との国境沿いにて、生き残ったもの達が、奪還作戦を計画しています」

「なるほど、なら俺達が呼ばれたのは…」

「ハイ、奪還作戦に勇者達を派遣してほしいと、使者が来たからです」

「解った、司達と俺も行こう」

「助かります、では、こちらで馬車を用意しますので、ご準備をお願いします」

「了解した」

直ぐに、国境沿いに行くため、謁見の間出る。

準備と言っても、特別しなければいけないこともないので、いつでも行けるように、ある程度支度をしたら、全員で、俺の部屋で待つことに。

「何か、大変な事になったわね?」

「そうだな、初めてこの国から出るのが、帝国を取り戻すためとはね」

「うん、それに、詳しい状況も、解らないらしいし…」

「僕達に、どこまで出来るか…」

「それに、武力国を倒すほどの、魔王となると、不安になるな…」

「あぁ、観光はちゃんと出来るのか、不安だ」

全員が、苦々しい顔をする。

「いや、ちょっと待って、今、一人だけ変な奴いたわよね?具体的には、一番最後!」

鈴が言うと、司達もこちらを見てくる。

「旨いもの、あるかなぁ?」

「だから、それどころじゃないって!」

「いや、鈴、重要なことだぞ?例えばだ、奪還作戦中は物資がないから、くそ不味いスープだけとか地獄だぞ?」

「それくらい、我慢しなさいよ!」

「よーし、わかった、ならお前は作戦中、スープだけな!」

「い、いや、それは…」

「まぁまぁ、二人共、落ち着いて」

「そうだよ、明くんも鈴も、いい加減にしなさい!」

「ふ、だが、明のお陰で、いつも通り行けばいいと分かったな」

「そうだ、気負っても仕方ない、ならいつも通りに自分達の出来る限りの事をするだけだ」

その後、準備のできた馬車に向かうが、
緊急時なのに、少し準備に時間が掛かりすぎている気がする、何かあったのか?

馬車には、エレナ姫とアリシア、そして久しぶりに見るクロエが待っていた。

「お、お待たせしました」

「ずいぶん、時間掛かったな」

「あ、はい、いろいろありまして……」

エレナ姫もアリシアも疲れた顔をしている、クロエだけなぜか誇らしげ?楽しげ?な顔である、本当に何があった。

「まぁ、いい、急ごう」

そう言って、馬車に乗ろうとすると、クロエが止めに入る。

「お待ちください、それはエレナ姫の馬車です、明様達はあちらです」

そう言って、クロエが指差したのは、大きめの、エレナ姫が乗ると言う馬車の倍豪華な馬車、……あれに乗るって何の羞恥プレイ?

確認するようにエレナ姫を見ると、明後日の方を見る、おい、こら、こっち向け!
仕方なく、クロエに聞いてみる

「あれは、なんだ?」

「馬車です!」

「そうじゃない、何で、あんな馬車に乗らなきゃいけないんだ?」

「お気に召しませんか?……」

叱られた仔犬のように、しゅんとするクロエ、文句言いずら!

「えっと、本当に、私達が乗るの?エレナちゃん?」

「はい、残念ながら……」

どうやら、選択肢はないようなので仕方なく乗る。出発から不安を煽られるな、この遠征大丈夫か?
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