勇者?いいえ、聖・魔剣使いです。〈 聖・魔剣使いの英雄談〉

カザミドリ

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第2章 ベアトリス女王国防衛編

1.女王への報告と脅迫

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パーティーの次の日、俺は、女王を謁見の間に呼び出していた、そう、呼び出していた。
本来であれば、女王が呼び出す場であるが、今は逆だ。

扉が開き、女王が入ってくる、一緒にいる澪達は膝間付くが、俺は膝間ずかん。
その無礼に対し、騎士から、視線を送られる。何か言おうとする騎士に、女王がそれを制する。

「構いません、控えなさい」

「このまま、話させてもらうぞ?」

「ハイ、本日はどのような用件でしょう?」

「昨日の夜、城内に侵入していた、魔王・モルトを倒した」

ざわざわざわ
場が一気に騒がしくなる、聞いてみると、大抵が、嘘だの、戯れ言だのである。

「静まりなさい!クロエそれは事実であるか?」

「ハイ、女王様、ワタクシも確認しました」

実は、あの場にクロエも居た、クロエの
称号は、メイド長と暗殺部隊隊長だ、つまり、お世話係兼監視係なわけだ。

その後、クロエが詳しい経緯を女王に話す。

「なんと、では、本当に、魔王が城に…」

「あぁ、あんたらが、楽しそうに、パーティーをしてる時にな」

女王が、顔を青くするなか、事実を突き付ける。
そして、残念なことに、もう一つあるんだなぁこれが。

「では、何か褒美を…」

「あぁ、その前に、まだ伝えなきゃいけない事があるんだが?」

「まだ、何か?」

女王が、身構えるなか、この国の者にとっての、絶望を告げる。

「もう一人、別の魔王が、この国に進行してきている」

「今、なんと?」

「簡単に言うと、魔王がこの国を滅ぼすために、攻めて来ているだな」

先ほどよりも、大きなざわめきが上がるなか、女王も、青を通り越し白い顔をする、
女王が、俺に視線を止めると、希望にすがる様に聞いてくる。

「お力を、貸していただけませんか?」

「ふむ、貸さないこともないな、条件次第では」

「どのような条件でしょう?」

「そういうのは、自分達で考えてもらいたいが、まぁ、今回は助言しようか、まず、今まで、働いた分の報酬を貰おうか?」

「ハイ、直ぐに準備させます」

「次に、今回、魔物や魔王を倒したのは、勇者ではないと、国内外に公表すること」

「それは……」

女王が言い淀む、そこに、割って入る声があった。宰相らしいおっさんだ。

「お言葉ですが、工藤様、それは残念ながらできかねます」

「なぜだ?」

「この世界は、今、希望に餓えているのです、勇者が活躍した事で、皆いきる希望を見いだしているのです」

要するに、勇者の道具になれと言うことか。
そろそろ、立場をはっきりさせた方がいいな。
俺は、徐に聖剣・デュアルホーンを取り出す。その行動に、女王を初めその場に居る全員が息をのむ。
俺はデュアルホーンを壁に向かい、半分程度の力で突き出す。

ドォォォン!

轟音と共に、壁には大穴が空き、外の良い景色が見えるようになる。

「いい加減にしてもらいたいものだな?そんなに、勇者に活躍してもらいたいなら、勇者に頼め、俺を勇者の道具にしようとするな!」

女王を見据えて、大きく宣言する。

「これは、明確な意識表現だ、これからも、力を貸してほしいなら、正当な報酬を出せ!でないのなら、今度こそ、俺はこの国を出る!」

「畏まりました、直ぐに、国内外に工藤様の事を、公表することを誓います」

「それと、知っているとは思うが、俺を殺そうとしたものが居るんだが?何故野放しにしている?」

「……申し訳ありません、その者は、この国にとって、重要な役割を持っています、ですからどうかご容赦いただけませんか?」

「いただけないな、明確な殺意を持って、来たんだ、対処してくれないと、安心して眠れないだろ?それとも、養護してくれるのは口だけか?」

「解りました、アリシア、宰相を拘束しなさい!」

「な、何故です女王陛下、わたしが何をしたと言うのですか!?」

「あなたは、工藤様に毒を盛ろうとしましたね?言い訳は、無駄ですよ?」

そう、この宰相は、前に俺に毒を盛ろうとした、メイドに指示をした人物だ、ついでに言うと、物置小屋に閉じ込めた、兵士に指示をしたのも、この宰相だ。
それを知っていながら、女王は野放しにしていた、なのでこの際、はっきり言わせてもらい、本当に養護する気があるのか確かめさせてもらう。

「その者は、重罪を犯しました、故に、この場で、処刑に処する事を言い渡します、連れて行きなさい!」

俺に、害をなす事が、どれ程の事か、明確に示す形で、判決を言い渡す女王。
ここまでされたら、こちらも、力を貸さざるを得ない。

「これで、ワタクシの言葉を信じていただけますね?」

「ある程度わな」

「今は、それで構いません」

「ちなみに、信用を落としすぎると、この国が、あの壁みたいになるので、お忘れなく」

「ええ、心得ています」

む?もう少し、狼狽えると思ったが、涼しい顔で、返された。
まぁ、他の者には、効果があったようだがな、全員顔面蒼白だ。

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