13 / 84
第1章 ベアトリス王国編
幕間.表パーティー(澪視点)
しおりを挟む
「はぁ……」
何度目になるか、ため息をつく。ため息の理由は簡単、明くんが居ないから。
魔物を退けた、戦勝パーティーなのに、その立役者である、明くんは現在部屋で寝ているらしい。無理矢理連れて来ようかとも思ったが、疲れているかもしれないし、辞めておいた、だけどやっぱり……
「はぁ、つまんないな…」
「つまらなくて悪かったわね」
隣に居る鈴が、膨れっ面で言ってくる
「んー、別に~」
「気のない返事ね、明がいないだけで、こんなになるなんて」
「鈴だって、いつもみたいに、料理爆食いしてないじゃん」
「あ、あたしだって、毎日そんなに、食べる訳じゃあ…」
途中で言葉につまる鈴。
「……司くん達、大変そうだね」
「そうね、明の代わりに、女王様と挨拶してるのよね」
明くんが来なかった代わりに、司くんは今、国の偉い人達と話をしている、それに付き合い、敦くんも一緒に回っているが、二人共笑顔が硬い、その理由は緊張ではなく。
「何で、明くんの事を、伏せられなきゃいけないんだろ」
そう、あくまで今回は、勇者である私達が、活躍した話しになっている、それに対し二人だけではなく、私や鈴も不満があり、今にも爆発しそうなのである。
「国のためってやつなんじゃない?」
冷ややかな目で、会場を見る鈴が言う。
そこにエレナちゃんが近づいてくる。
「確かに、国や世界のために、勇者様の活躍は必要です、ですが、私もお母様も納得して、やっているわけではないのですよ」
「じゃ、何でこんな風になってんの?」
「世界の希望のためですかね……」
「その希望のために、明くんが誰にも正当な評価を得られないでいいと思ってるの!?」
「そんなことありません!」
叫ぶ澪に、思わず叫び返すエレナ姫。
会場が一瞬、静まり返るが、直ぐに喧騒を取り戻す。
「ごめんなさい、大きな声を出しちゃって……」
「いえ、私の方こそ、ですがどうか信じてください、いつか必ず、工藤様には正当な栄誉を授け、世界に知らしめると約束いたします」
「うん、絶対だよ?じゃないと、二度と口聞かないからね、エレナちゃん」
「それは、嫌ですね」
「あー、うん、二人共、青春してるところ、悪いんだけど、明が黙って授けられるのを、待つと思う?」
「……」
「気づいたと思うけど、多分明なら自分で取りに行くよね?」
「た、確かに」
「何か、私達って……」
「エレナちゃん、ダメ!それを言ったら、恥ずかしくて、この場にいられなくなるから!」
「そ、そうですね!忘れましょう!」
私とエレナちゃんが、自分達の空回りぐわいに、紅くなっていると、窓の外に、キレイな水晶の雨が降っていた。
「キレ~、何かの、魔法かな?さすがファンタジー世界」
「そうですね、どこかの国の方が用意したのでしょうか?」
「明くんも、部屋で見れてたらいいな……」
「……澪さん、少なくとも、私やお母様、アリシア達は、工藤様の偉業を知っています、もしも、工藤に不利益があったら、私達が、出来る限りの事をさせていただきます、どうか信じてください、私達を」
「うん、信じてるよエレナちゃん!」
その後は、司くん達も加わり、夜は更けていった。
何度目になるか、ため息をつく。ため息の理由は簡単、明くんが居ないから。
魔物を退けた、戦勝パーティーなのに、その立役者である、明くんは現在部屋で寝ているらしい。無理矢理連れて来ようかとも思ったが、疲れているかもしれないし、辞めておいた、だけどやっぱり……
「はぁ、つまんないな…」
「つまらなくて悪かったわね」
隣に居る鈴が、膨れっ面で言ってくる
「んー、別に~」
「気のない返事ね、明がいないだけで、こんなになるなんて」
「鈴だって、いつもみたいに、料理爆食いしてないじゃん」
「あ、あたしだって、毎日そんなに、食べる訳じゃあ…」
途中で言葉につまる鈴。
「……司くん達、大変そうだね」
「そうね、明の代わりに、女王様と挨拶してるのよね」
明くんが来なかった代わりに、司くんは今、国の偉い人達と話をしている、それに付き合い、敦くんも一緒に回っているが、二人共笑顔が硬い、その理由は緊張ではなく。
「何で、明くんの事を、伏せられなきゃいけないんだろ」
そう、あくまで今回は、勇者である私達が、活躍した話しになっている、それに対し二人だけではなく、私や鈴も不満があり、今にも爆発しそうなのである。
「国のためってやつなんじゃない?」
冷ややかな目で、会場を見る鈴が言う。
そこにエレナちゃんが近づいてくる。
「確かに、国や世界のために、勇者様の活躍は必要です、ですが、私もお母様も納得して、やっているわけではないのですよ」
「じゃ、何でこんな風になってんの?」
「世界の希望のためですかね……」
「その希望のために、明くんが誰にも正当な評価を得られないでいいと思ってるの!?」
「そんなことありません!」
叫ぶ澪に、思わず叫び返すエレナ姫。
会場が一瞬、静まり返るが、直ぐに喧騒を取り戻す。
「ごめんなさい、大きな声を出しちゃって……」
「いえ、私の方こそ、ですがどうか信じてください、いつか必ず、工藤様には正当な栄誉を授け、世界に知らしめると約束いたします」
「うん、絶対だよ?じゃないと、二度と口聞かないからね、エレナちゃん」
「それは、嫌ですね」
「あー、うん、二人共、青春してるところ、悪いんだけど、明が黙って授けられるのを、待つと思う?」
「……」
「気づいたと思うけど、多分明なら自分で取りに行くよね?」
「た、確かに」
「何か、私達って……」
「エレナちゃん、ダメ!それを言ったら、恥ずかしくて、この場にいられなくなるから!」
「そ、そうですね!忘れましょう!」
私とエレナちゃんが、自分達の空回りぐわいに、紅くなっていると、窓の外に、キレイな水晶の雨が降っていた。
「キレ~、何かの、魔法かな?さすがファンタジー世界」
「そうですね、どこかの国の方が用意したのでしょうか?」
「明くんも、部屋で見れてたらいいな……」
「……澪さん、少なくとも、私やお母様、アリシア達は、工藤様の偉業を知っています、もしも、工藤に不利益があったら、私達が、出来る限りの事をさせていただきます、どうか信じてください、私達を」
「うん、信じてるよエレナちゃん!」
その後は、司くん達も加わり、夜は更けていった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
いい子ちゃんなんて嫌いだわ
F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが
聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。
おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。
どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。
それが優しさだと思ったの?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる