勇者?いいえ、聖・魔剣使いです。〈 聖・魔剣使いの英雄談〉

カザミドリ

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第1章 ベアトリス王国編

10.パーティー

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鈴達と、これからについて、話し合っていると、エレナ姫が新しい料理を運んできた。

「おま…たせ…しま…した…」

エレナ姫は、肩で息をしながら、食事の準備をする。料理が多くなったからか、先ほどは一人だったメイドが二人に増えている。

一人のメイドは、エレナ姫と同じく、息を切らしていたが、もう一人は涼しげな顔をしていて、平然と給仕をしていた。
あのメイドできるな、ただ者じゃない。

「改めて、どうぞお召し上がりください」

「ほう、これはなかなか…」

「わぁ…すごぉい…」

配膳された料理は、先ほどの料理より、あきらかに豪華になっていた。
しかしな……まぁいいか。とりあえず食べよう。

「いいな~私もお腹すいてきたよ~」

「鈴、肥るよ?」

「うぐ、我慢する」

羨ましそうな、鈴を横目に食事を続ける。


食事を大体終えて、一息入れる、さてどうするかな。

「明くん、スープ残ってるよ?嫌いなもの入ってた?それなら…私が…くちうつ」

「いや、そうじゃないが…」

澪が危ない発言をするのを、途中で止める。

「ねぇねぇ、じゃあ、あたしがもらっていい?」

「鈴か…まぁ鈴ならいいか、いいぞ、飲んでも」

「ダ、ダメです!」

「え?」

「あ…えっと…」

俺が、鈴にスープを渡そうとすると、息を切らしていたメイドが、大声を出す。
犯人はこいつか。

「鈴、スープを飲んでもいいが、先に鑑定をしてからな」

「鑑定?うん、わかった、えーと、鑑定っと…
えっ!?ど、毒!?」

鈴の言葉に俺と犯人以外の全員が、ぎょっとする。
そして、直ぐに料理を用意した、エレナ姫に目を向ける。

「ち、違います!私はそんなことしてません!信じてください!」

「あぁ、毒を入れたのは、エレナ姫じゃあないな、
 犯人は…」

「クッ……」

犯人を告げようとしている途中で、犯人の方が逃げ出した、先ほど大声を出していたメイドだ。

毒を盛ったメイド、略して毒メイドが、逃げようとする中、それよりも速くもう一人のメイドが、毒メイドの逃げる先に立っていた。

バチンッ!

次の瞬間、毒メイドがビンタをされ、吹き飛んでいた。
あれは、生きているのか?人を吹き飛ばすビンタって……

「部下が、大変失礼しました」

「部下?」

「ハイ、わたくしはこの城のメイド長をしています、クロエと申します、以後お見知りおきを」

ふむ、できるとは思っていたが、メイド長だったとは。

「今後、こちらのクロエが、工藤様の専属として、お世話を差せていただきます」

「専属ね…」

「ハイ、何でもお申し付けください」

まぁ、専属のメイドがいれば便利ではあるが……少し、探ってみるか。

「専属のメイドとは、ありがたいが、さっき見たいに、毒を盛られたりしたら、たまったもんじゃないんだがな?」

「その場合、わたくしを処断していただいて、構いません」

「自分一人の命で、償えると?」

「いいえ、ですが、少しでも怒りが納められるのなら、幸いです」

「なるほど…」

「何でしたら、私の身体を使って、遊んで頂いても構いません」

「いや、遠慮しておこう」

さらりと、あれな発言をするクロエに、若干引きながら答える。
周りを見ると、司と敦は苦笑いをしており、エレナ姫は赤くなり下を向いている、澪と鈴は、クロエにどろどろした目で、敵意を向けている。
話題を早急に切り替えよう。

「ところで、この後、どうすればいいんだ?」

「あ、ハイそうですね、この後は、戦勝パーティーがあるので、是非それにご出席くださいと、お母様が言っておりました」

「戦勝パーティー?」

「ハイ、先日の、勇者様達が魔物の大群を退けた事を国内外に、知らしめる為のパーティーです」

「勇者様がね、なら俺は出なくていいんじゃないか?勇者じゃないし」

「え、いえ、それは…」

もちろん、国内外に勇者には、力があると言う事を示すためと解っているが、気にいらない、まるで勇者の力で、街を守ったかのように語られるのが、気に入らない。

「よし、そのパーティーには俺は出ないでいいな?」

「うぅ…分かりました、お母様に伝えてきます」

そう言って、部屋を出ていくエレナ姫を見守る。

「パーティーくらい、出てあげたら?」

「まるで勇者の手柄見たいに言われのが、気に入らないんだよ」

「じゃあ、これからどうするの?」

「寝る!久々にふかふかのベッドでな!」

「なら、私のベッドで……」

「クロエさん、部屋の用意はもう出来てるのか?」

「工藤様、敬称は不要です、部屋の用意は出来て下ります、直ぐにでもご案内しますか?」

「なら、クロエお願いするよ」

澪が危ない発言をする前に部屋を出ていく。
後ろの方で、「私と一緒に…」なんて声は聞こえなかった、うん、聞こえなかった。

案内された部屋につくなり、俺はベッドに倒れ込む。

「それじゃ、今日はこのまま寝るんで」

「ハイ、お食事や困った事があれば、近くのメイドにお申し付けください、直ぐにご用意します」

「ハイハイっと」

「本当に、パーティーには出ていただけないのですね?」

「あぁ、やることもあるしね」

「やることですか?」

「こっちの話だから、気にしないで」

「畏まりました、失礼します」

お辞儀をして、部屋を出るクロエを見送り、殺ることに備え、眠りにつく。




〈マスター、そろそろお時間です〉

どれくらい時間がたっただろう、ナビさんによって、起こされる。
廊下からは、パーティーの音が僅かに聞こえる。

おはよう、ナビさん。

〈おはようございます、マスター〉

起こしてくれたって事は、そろそろなのかな?

〈ハイ、マスター、直ぐにでも動きそうです〉

了解、じゃあ手っ取り早くこちらも、パーティーに行きますか。

もちろん、俺が行くのは、戦勝パーティーじゃない、本当は行っても良かったんだが、こちらの方が大切なので、優先させて貰った。

〈ところで、マスター〉

うん?何かな、ナビさん?

〈クロエは、敬称をなくしたのに、何故私はまだ、「さん」が付いているのですか?〉

いや、なんとなく?ナビさんの方が呼び易いから?

〈解せません〉

ナビさんの不満を受けつつ、部屋を出る。


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