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その後のお話
その後のお話①街での再会
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ライリー様と結婚して一年近くが経った、ある日のこと。
私は義妹のオリビア嬢と二人で街へ買い物に来ていた。
「あっちのショップから見てまわりたいわ、お義姉様」
「ええ、どこでもいいわよ。あなたの見たいところは全部まわりましょう」
「うふふ、嬉しい!」
すっかり元気になり以前とは比べ物にならないほど体力のついた義妹は、今日のショッピングが楽しみで仕方なかったらしい。朝からずっとウキウキしていた。
「でも無理はしないでよ。もしも気分が悪くなったらすぐに言ってね」
「だからぁ、私はもう大丈夫ですってば。それよりもお義姉様の方が心配だわ。ついて来てもらっておきながらこんなことを言うのも何だけど……。もしも少しでも辛かったら、すぐに言ってくださいませ! ね? ショッピングはまた別の日に来てもいいのだから」
「ふふ、ええ。分かったわ。ありがとう、オリビアさん」
かつては侍女として仕えていたなんて信じられないくらいに、すっかり打ち解けあった私たち。以前からまるで本当の姉妹のように心が通う関係ではあったけれど、義姉と義妹になってからは一層気楽に会話するようになった。
だけどオリビア嬢がこんなにもはしゃいでいるのは、そんな私との関係に満足しているからだけではない。今日のショッピングには、とても大切な目的があるのだ。
「ドレスは仕立て屋に作ってもらうべきかしら……。お義姉様は大通りのドレス店で買ったのよね?」
「ええ。作ってもらうべきか悩んだけれど、時間もなかったし……。母と一緒に見に行ったらとても気に入ったものがあったから」
「あのドレス本当に素敵だったわ! やっぱり私もそのお店を見てから決めようかしら」
「ふふ。カートライト侯爵令息のご意見も聞いてみなきゃね」
「グレイ様は私が何を着てもどうせ最高に美しいだの、女神だのしか言わないから……」
「ま、ふふ。惚気けちゃって」
「うふふ。……あ、あそこよお義姉様。アクセサリーを見たいの!」
そう言ったオリビア嬢は目的の店舗を指差し、私の腕を取る。
その店に入ろうとした瞬間、中から出てきた一組のカップルと危うくぶつかりそうになった。
「きゃ……っ」
「あらっ……、大丈夫? オリビアさん」
「おっと、失礼。……あ、」
「……あ、あなたは……!」
相手の方を見上げた私は、驚いて目を見開いた。
女性をエスコートしながらそこに立っていたのは、あのチェイス・ビアード子爵令息だったのだ。
「ロ、ロゼッタじょ……、……コホン。失礼、アクストン公爵夫人。ご無沙汰しております」
「ビアード子爵令息……。びっくりしましたわ。こちらこそ……。あ、あの、そちらの……」
ピタリと寄り添っている美しい女性が気になって私が尋ねると、彼はハッとした様子で慌てて紹介してくれた。
「あ、すみません。紹介が遅れました。こちらはアメリア・コルバーン伯爵令嬢。僕の婚約者です」
や、やっぱり……!
ビアード子爵令息、婚約したんだ……!
大きな喜びが胸に広がり、私はできるだけ感じ良く見える笑みを浮かべてその女性に挨拶をした。
「はじめまして。ロゼッタ・アクストンと申しますわ」
「は、はいっ。存じ上げております……っ。コルバーン伯爵家のアメリアでございます。何卒、お見知り置きを……」
緊張した様子で丁寧に挨拶を返してくれる若いご令嬢は、とても可愛らしかった。よかった……! ビアード子爵令息ったら、こんな素敵な人と……!
彼女のことを優しく見守っていたビアード子爵令息は、少し気恥ずかしげな様子で微笑みながら言った。
「半年ほど前にようやく婚約しまして。僕ももういい歳だからと両親が結婚を急いでいるもので、早く安心させてやりたくて、今式の準備を進めているところなんですよ」
「ま、そうだったのですね。本当におめでとうございます。……あ、」
その時、オリビア嬢が私の腕をちょんちょん引っ張りながら、小さく咳払いをした。
「ビアード子爵令息、こちらは……」
「ええ、存じ上げております。ご挨拶させていただくのは初めてですね。ごきげんよう、アクストン公爵令嬢」
「はじめまして。ごきげんよう、ビアード子爵令息」
丁寧に挨拶をするビアード子爵令息ににこやかに返事をすると、オリビア嬢は意味ありげに私に視線を送ってきた。
そんな彼女の様子を気にすることもなく、ビアード子爵令息が言った。
「ところで……、アクストン公爵夫人、ご懐妊なさっておられるのですね」
「あ、ええ。そうなんですの実は」
気付かれないわけないか。
彼がチラリと視線を向けた大きく膨らんだこのお腹を、私はそっと手で覆った。
「そうか……。夫人こそ、おめでとうございます。あなたがお幸せそうで、本当によかった」
「ありがとうございます、ビアード子爵令息。……私も、あなたとコルバーン伯爵令嬢のお幸せを心から嬉しく思いますわ。本当に、おめでとうございます」
こうして面と向かって、互いの幸せを祝いあえる日が来るなんて。何だかどうしようもなく嬉しくて、胸がじんと痺れるようだった。本当はあの時の婚約の白紙撤回を直接詫びたいけれど……、隣の可愛い方に余計な話を聞かせるわけにはいかないわね。前回お会いしたのは私がビアード子爵令息に連行されていく時だったし……。うーん、なかなか直接謝罪する機会がないな。
だけどきっと、この方なら分かってくださっている。
「お引き止めしてしまった。申し訳ない。この店に入られるのですよね」
「ええ、そうなんです。オリビアさんが再来月結婚することになりましたので、今日はその準備や下見に」
「そうだったのですか。お相手はカートライト侯爵家のご子息ですよね。おめでとうございます」
「うふふっ。ありがとうございます。皆しておめでとう続きですわね」
「はは、本当だ」
ひとしきり挨拶を交わした私たちは、その場から離れた。店に入る時に私は少しだけ振り返り、二人の後ろ姿を見送る。
さっきまでカチコチに緊張して立っていた可愛いご令嬢は、ビアード子爵令息の腕に自分の手を添えて彼を見上げながら、とても幸せそうに笑っている。そんな婚約者を見下ろしながら何やら話しているビアード子爵令息の横顔も、愛情に満ちていた。
(本当によかった。どうか末永くお幸せに……)
「ね! 素敵な人ね、ビアード子爵令息って。彼があの時のあの人なのよね……。お義姉様、実は少し惜しいことしたなぁ、なんて思っているんじゃなくて?」
私の腕をまたちょんちょん引っ張りながら、オリビア嬢がいたずらっぽくそんなことを言ってくる。
「ふふ、まさか。ただ彼が今幸せなことが嬉しいのよ、とても。私の心はライリー様一筋よ。他の殿方に気持ちが揺らぐことなんてないわ」
「んまぁ、惚気けちゃって、お義姉様ったら……ふふ」
そう言うとオリビア嬢は楽しそうにクスクス笑った。
◇ ◇ ◇
「結構歩いちゃったわね。ごめんなさいねお義姉様。大丈夫?」
「全然平気よ。まだまだ歩けるぐらいだわ。本当にもういいの? もう見たいところはない?」
「ええ! 今日はもう充分だわ。当日のドレスやアクセサリーのイメージも固まったし、すごく楽しかった。ふふ。また体調が良くて時間があるときは付き合ってね、お義姉様」
「ええ、いつでも。……じゃ、馬車に戻りましょうか」
数時間後、お目当ての店はだいたい見てまわりレストランで遅めの昼食もとった私たちは、オリビア嬢の提案でそろそろ帰ることにした。本当はまだゆっくりしてもいいのだけど、きっと私の体を気遣ってくれているのだろう。
護衛たちを引き連れて、大通りの外れにある広場まで戻る。
馬車を停めてあるところまで歩いていると、ふと、広場の隅で靴磨きをしている男性に目が行った。
(……珍しいな。靴磨きって、もっと若い少年がしていることが多いのに……)
何となくそんなことをぼんやりと考えながら、見るともなしに視線を送っていると、ちょうど客が去ったばかりのその靴磨きの男が顔を上げ、私と目が合った。
「……えっ……?」
思わず声が漏れる。
人違い? ……いや、違う。やっぱりそうだ。
生気のない目をこちらに向けていた男も、私だと気付いたのだろう。突然ビクッと硬直すると目を見開いた。
「…………」
「…………」
少しの間、互いに目を逸らすこともできずに見つめ合う。
男の方が先に、ギギギ……、と無理矢理目を背けた。まるで錆びたブリキの人形のような不自然な動きで。
「行きましょうよお義姉様。……? どうなさったの? あの人、お知り合い?」
「……。いいえ、知らない人だわ」
義妹にそう返事をすると、私も彼から顔を背け馬車に向かったのだった。
私は義妹のオリビア嬢と二人で街へ買い物に来ていた。
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だけどオリビア嬢がこんなにもはしゃいでいるのは、そんな私との関係に満足しているからだけではない。今日のショッピングには、とても大切な目的があるのだ。
「ドレスは仕立て屋に作ってもらうべきかしら……。お義姉様は大通りのドレス店で買ったのよね?」
「ええ。作ってもらうべきか悩んだけれど、時間もなかったし……。母と一緒に見に行ったらとても気に入ったものがあったから」
「あのドレス本当に素敵だったわ! やっぱり私もそのお店を見てから決めようかしら」
「ふふ。カートライト侯爵令息のご意見も聞いてみなきゃね」
「グレイ様は私が何を着てもどうせ最高に美しいだの、女神だのしか言わないから……」
「ま、ふふ。惚気けちゃって」
「うふふ。……あ、あそこよお義姉様。アクセサリーを見たいの!」
そう言ったオリビア嬢は目的の店舗を指差し、私の腕を取る。
その店に入ろうとした瞬間、中から出てきた一組のカップルと危うくぶつかりそうになった。
「きゃ……っ」
「あらっ……、大丈夫? オリビアさん」
「おっと、失礼。……あ、」
「……あ、あなたは……!」
相手の方を見上げた私は、驚いて目を見開いた。
女性をエスコートしながらそこに立っていたのは、あのチェイス・ビアード子爵令息だったのだ。
「ロ、ロゼッタじょ……、……コホン。失礼、アクストン公爵夫人。ご無沙汰しております」
「ビアード子爵令息……。びっくりしましたわ。こちらこそ……。あ、あの、そちらの……」
ピタリと寄り添っている美しい女性が気になって私が尋ねると、彼はハッとした様子で慌てて紹介してくれた。
「あ、すみません。紹介が遅れました。こちらはアメリア・コルバーン伯爵令嬢。僕の婚約者です」
や、やっぱり……!
ビアード子爵令息、婚約したんだ……!
大きな喜びが胸に広がり、私はできるだけ感じ良く見える笑みを浮かべてその女性に挨拶をした。
「はじめまして。ロゼッタ・アクストンと申しますわ」
「は、はいっ。存じ上げております……っ。コルバーン伯爵家のアメリアでございます。何卒、お見知り置きを……」
緊張した様子で丁寧に挨拶を返してくれる若いご令嬢は、とても可愛らしかった。よかった……! ビアード子爵令息ったら、こんな素敵な人と……!
彼女のことを優しく見守っていたビアード子爵令息は、少し気恥ずかしげな様子で微笑みながら言った。
「半年ほど前にようやく婚約しまして。僕ももういい歳だからと両親が結婚を急いでいるもので、早く安心させてやりたくて、今式の準備を進めているところなんですよ」
「ま、そうだったのですね。本当におめでとうございます。……あ、」
その時、オリビア嬢が私の腕をちょんちょん引っ張りながら、小さく咳払いをした。
「ビアード子爵令息、こちらは……」
「ええ、存じ上げております。ご挨拶させていただくのは初めてですね。ごきげんよう、アクストン公爵令嬢」
「はじめまして。ごきげんよう、ビアード子爵令息」
丁寧に挨拶をするビアード子爵令息ににこやかに返事をすると、オリビア嬢は意味ありげに私に視線を送ってきた。
そんな彼女の様子を気にすることもなく、ビアード子爵令息が言った。
「ところで……、アクストン公爵夫人、ご懐妊なさっておられるのですね」
「あ、ええ。そうなんですの実は」
気付かれないわけないか。
彼がチラリと視線を向けた大きく膨らんだこのお腹を、私はそっと手で覆った。
「そうか……。夫人こそ、おめでとうございます。あなたがお幸せそうで、本当によかった」
「ありがとうございます、ビアード子爵令息。……私も、あなたとコルバーン伯爵令嬢のお幸せを心から嬉しく思いますわ。本当に、おめでとうございます」
こうして面と向かって、互いの幸せを祝いあえる日が来るなんて。何だかどうしようもなく嬉しくて、胸がじんと痺れるようだった。本当はあの時の婚約の白紙撤回を直接詫びたいけれど……、隣の可愛い方に余計な話を聞かせるわけにはいかないわね。前回お会いしたのは私がビアード子爵令息に連行されていく時だったし……。うーん、なかなか直接謝罪する機会がないな。
だけどきっと、この方なら分かってくださっている。
「お引き止めしてしまった。申し訳ない。この店に入られるのですよね」
「ええ、そうなんです。オリビアさんが再来月結婚することになりましたので、今日はその準備や下見に」
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「うふふっ。ありがとうございます。皆しておめでとう続きですわね」
「はは、本当だ」
ひとしきり挨拶を交わした私たちは、その場から離れた。店に入る時に私は少しだけ振り返り、二人の後ろ姿を見送る。
さっきまでカチコチに緊張して立っていた可愛いご令嬢は、ビアード子爵令息の腕に自分の手を添えて彼を見上げながら、とても幸せそうに笑っている。そんな婚約者を見下ろしながら何やら話しているビアード子爵令息の横顔も、愛情に満ちていた。
(本当によかった。どうか末永くお幸せに……)
「ね! 素敵な人ね、ビアード子爵令息って。彼があの時のあの人なのよね……。お義姉様、実は少し惜しいことしたなぁ、なんて思っているんじゃなくて?」
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「ふふ、まさか。ただ彼が今幸せなことが嬉しいのよ、とても。私の心はライリー様一筋よ。他の殿方に気持ちが揺らぐことなんてないわ」
「んまぁ、惚気けちゃって、お義姉様ったら……ふふ」
そう言うとオリビア嬢は楽しそうにクスクス笑った。
◇ ◇ ◇
「結構歩いちゃったわね。ごめんなさいねお義姉様。大丈夫?」
「全然平気よ。まだまだ歩けるぐらいだわ。本当にもういいの? もう見たいところはない?」
「ええ! 今日はもう充分だわ。当日のドレスやアクセサリーのイメージも固まったし、すごく楽しかった。ふふ。また体調が良くて時間があるときは付き合ってね、お義姉様」
「ええ、いつでも。……じゃ、馬車に戻りましょうか」
数時間後、お目当ての店はだいたい見てまわりレストランで遅めの昼食もとった私たちは、オリビア嬢の提案でそろそろ帰ることにした。本当はまだゆっくりしてもいいのだけど、きっと私の体を気遣ってくれているのだろう。
護衛たちを引き連れて、大通りの外れにある広場まで戻る。
馬車を停めてあるところまで歩いていると、ふと、広場の隅で靴磨きをしている男性に目が行った。
(……珍しいな。靴磨きって、もっと若い少年がしていることが多いのに……)
何となくそんなことをぼんやりと考えながら、見るともなしに視線を送っていると、ちょうど客が去ったばかりのその靴磨きの男が顔を上げ、私と目が合った。
「……えっ……?」
思わず声が漏れる。
人違い? ……いや、違う。やっぱりそうだ。
生気のない目をこちらに向けていた男も、私だと気付いたのだろう。突然ビクッと硬直すると目を見開いた。
「…………」
「…………」
少しの間、互いに目を逸らすこともできずに見つめ合う。
男の方が先に、ギギギ……、と無理矢理目を背けた。まるで錆びたブリキの人形のような不自然な動きで。
「行きましょうよお義姉様。……? どうなさったの? あの人、お知り合い?」
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義妹にそう返事をすると、私も彼から顔を背け馬車に向かったのだった。
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