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出会い
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「おい、お前!」
俺は今、体育館裏で囲まれている。
「調子乗ってんじゃねーぞ」
「なにが?」
「何がじゃねーよ、水瀬のことだよ」
「あ?」
水瀬は俺の隣の席だ。
透き通った白い肌。
色素の薄い茶色の髪が艷やかに光に反射し、同じく色素の薄いブルー・グレーの大きな瞳がキラキラしている。長いまつげが影をつくり、薄めの唇はピンク色で形のよい鼻が配置されている。
まるで天使が地上に降りてきたように純真無垢で綺麗な心と顔をしている。
遅れて入学してきた俺に色々と教えてくれる。
優しい。
おずおずと見上げる瞳も、はにかんだ笑顔も最高に可愛い。
登校して初日に一目惚れした。
卒業式してすぐにバイクの免許を取った。その後年齢を誤魔化してデリバリーのバイトをしていたが、入学式前日に盛大に事故ったせいで、入院。そのせいで一人だけ大幅に高校生活が遅れることに。幸い傷はほとんど残らなかったが、骨折したせいでベッドから全然離れられず、ようやくGW明けの今日から登校となった。
「惚れた。俺と付き合って。」
「え??」
俺が入っていくとザワザワとしていた教室が一瞬にして静かになる。
遅れた入学が珍しいのか、いや、そうじゃないのは分かっている。
自慢じゃないが俺はモテる。
びっくりした顔も可愛いなと思っていると、
「こぉら榊! お前自己紹介もまだだろうが、いきなり何やってんだ、こっちに来い」
さっき担任だと言われた教師に黒板の前に連れ戻される。
「ほら、しっかり挨拶しろ」
はぁ、めんどくさ……。
「榊漣です。よろしく」
大きな目でこちらを見ているあの子だけに視線を向け、言った。
再びザワザワとする教室で、男子からは厳しい眼差しと、女子からは熱い視線を感じるが、そんなことはどうでもいい。
「なんだその素っ気ない自己紹介は。まぁいい。昨日も話したが、榊は入院していて入学が遅くなった。もうほとんど完治しているが体育はもうちょっと見学だ。じゃあ、榊は水瀬の隣の席な。水瀬、しばらくは頼んだぞー」
「はい」
あの子の隣なんて、マジか。これは付き合うしかないだろ。
俺はゆっくりと隣の席に座る。もちろん視線は隣を向いたまま。
ホームルームが続く教室で、水瀬と呼ばれた天使がこちらを向く。
「水瀬和珠って言います。登校おめでとう、でも無理しないでね。これからよろしく」
小声でニッコリ微笑む。
声もカワイイ。
俺の心配をしてくれた。
いつになく俺の感情が溢れる。嬉しい。
俺は再度、このカワイイ生き物と付き合うことを決めた。
**
「ねー、水瀬、付き合って?」
初登校から1ヶ月、挨拶代わりに毎日のように水瀬に言っているセリフだ。
いつも
「トイレ?まだ場所わかんない?」
とか
「部活があるからごめんね」
「体調悪い?保健室行く?」
と斜め上の回答だが、今日も、
「いいよ、どこ行く?」
だった。
「そうじゃねー。意味違う。けど、どっか行ってくれんの?」
「うん、今日は部活もないし、いいよー」
やったぜ!と心が踊ったのも一瞬。
「いや、お前はちょっと来い」
ガシッと肩を捕まれる。
一人二人なら振り解けるが、流石に4~5人ともなると難しい。
「アズ、悪いな。ちょっと榊と話しがあるんだ」
「ん、分かった。じゃあ榊くん、朔。また明日ね」
「え? ……おい、俺は話しなんてないぞ」
俺の肩を掴んでいる男をにらみつける。
藤原朔は、水瀬の番犬だ。
俺が水瀬の隣だというのに、大体反対側の隣にこいつがいる。
うざったいことこの上ない。
しかも水瀬に名前呼びされている。
邪魔だな。
丁度いい、水瀬は俺のものにするって釘を差しとくか。
藤原の後に続くと、なんだかぞろぞろと付いてきたが、どうでもいい。
そして、今、体育館裏で囲まれている。
「だから、水瀬に近付くんじゃねーって言ってんの」
「仕方ないだろ、隣の席だし」
「そう言う意味じゃねー。アイツにちょっかい出すな。汚れる」
「水瀬と付き合うってこと? お前らに何か関係あんのかよ。俺と水瀬の問題に口出すな」
「はっ! これだから何にもわかってねーやつは……」
「水瀬には勝手に手を出さない。これが『アズ同盟』の約束だ」
「?? は? ほんとに何いってんの?」
藤原だけでなく、周りの男どもも真剣に頷いている。
なんだ、アズ同盟って。
あまりに唐突な発言に、俺はじりじり近づいてくる藤原をポカンと見つめてしまった。
藤原朔。
真っ黒な短髪が爽やかで、ハッキリした形の良い目を持ち、かといって雰囲気は親しみやすさ満開のオーラでクラスの、いや、学校全体でのカースト一軍に君臨しているらしい。運動神経抜群でよく運動部のヘルプに借り出されているという話しを裏付けるように少し日に焼けているが、その美貌を損ねることはない。背も高く、スラリとしたスタイルだが、しっかり筋肉がついている。
ムカつくな。
水瀬の隣にいても、違和感がないほどのイケメンだ。
ま、俺も負けてないし、負ける気もないけど。
「で、何なの? そのアズ同盟って」
「お前はこれからも水瀬の周りにいたければ、同盟に加盟する必要がある」
「は? だから何なん? そんな同盟入らねー。水瀬の隣にはいるけど」
「いや、無理だね。俺だって入りたかった訳じゃない」
目の前のイケメンの苦渋の顔に、こちらも思わず真剣になってしまう。
「はぁ……?」
「入らなくてももちろん構わない。というか俺はお前が入ることには賛成してない。が、その場合、今後水瀬の周りには居られない。強制排除だ」
「んなこと出来ないだろ」
「いや、される。……ユズちゃんに嫌われたらお終いだからな」
「誰? ユズちゃん……?」
俺、今水瀬の話しされてるんだよな。アズの聞き間違いだろうか?
いや、でも確かにユズって言っていた。
「今からユズちゃんの面接に行く」
「はぁぁああ??」
全くわけがわからないまま、また移動することになった。
俺は今、体育館裏で囲まれている。
「調子乗ってんじゃねーぞ」
「なにが?」
「何がじゃねーよ、水瀬のことだよ」
「あ?」
水瀬は俺の隣の席だ。
透き通った白い肌。
色素の薄い茶色の髪が艷やかに光に反射し、同じく色素の薄いブルー・グレーの大きな瞳がキラキラしている。長いまつげが影をつくり、薄めの唇はピンク色で形のよい鼻が配置されている。
まるで天使が地上に降りてきたように純真無垢で綺麗な心と顔をしている。
遅れて入学してきた俺に色々と教えてくれる。
優しい。
おずおずと見上げる瞳も、はにかんだ笑顔も最高に可愛い。
登校して初日に一目惚れした。
卒業式してすぐにバイクの免許を取った。その後年齢を誤魔化してデリバリーのバイトをしていたが、入学式前日に盛大に事故ったせいで、入院。そのせいで一人だけ大幅に高校生活が遅れることに。幸い傷はほとんど残らなかったが、骨折したせいでベッドから全然離れられず、ようやくGW明けの今日から登校となった。
「惚れた。俺と付き合って。」
「え??」
俺が入っていくとザワザワとしていた教室が一瞬にして静かになる。
遅れた入学が珍しいのか、いや、そうじゃないのは分かっている。
自慢じゃないが俺はモテる。
びっくりした顔も可愛いなと思っていると、
「こぉら榊! お前自己紹介もまだだろうが、いきなり何やってんだ、こっちに来い」
さっき担任だと言われた教師に黒板の前に連れ戻される。
「ほら、しっかり挨拶しろ」
はぁ、めんどくさ……。
「榊漣です。よろしく」
大きな目でこちらを見ているあの子だけに視線を向け、言った。
再びザワザワとする教室で、男子からは厳しい眼差しと、女子からは熱い視線を感じるが、そんなことはどうでもいい。
「なんだその素っ気ない自己紹介は。まぁいい。昨日も話したが、榊は入院していて入学が遅くなった。もうほとんど完治しているが体育はもうちょっと見学だ。じゃあ、榊は水瀬の隣の席な。水瀬、しばらくは頼んだぞー」
「はい」
あの子の隣なんて、マジか。これは付き合うしかないだろ。
俺はゆっくりと隣の席に座る。もちろん視線は隣を向いたまま。
ホームルームが続く教室で、水瀬と呼ばれた天使がこちらを向く。
「水瀬和珠って言います。登校おめでとう、でも無理しないでね。これからよろしく」
小声でニッコリ微笑む。
声もカワイイ。
俺の心配をしてくれた。
いつになく俺の感情が溢れる。嬉しい。
俺は再度、このカワイイ生き物と付き合うことを決めた。
**
「ねー、水瀬、付き合って?」
初登校から1ヶ月、挨拶代わりに毎日のように水瀬に言っているセリフだ。
いつも
「トイレ?まだ場所わかんない?」
とか
「部活があるからごめんね」
「体調悪い?保健室行く?」
と斜め上の回答だが、今日も、
「いいよ、どこ行く?」
だった。
「そうじゃねー。意味違う。けど、どっか行ってくれんの?」
「うん、今日は部活もないし、いいよー」
やったぜ!と心が踊ったのも一瞬。
「いや、お前はちょっと来い」
ガシッと肩を捕まれる。
一人二人なら振り解けるが、流石に4~5人ともなると難しい。
「アズ、悪いな。ちょっと榊と話しがあるんだ」
「ん、分かった。じゃあ榊くん、朔。また明日ね」
「え? ……おい、俺は話しなんてないぞ」
俺の肩を掴んでいる男をにらみつける。
藤原朔は、水瀬の番犬だ。
俺が水瀬の隣だというのに、大体反対側の隣にこいつがいる。
うざったいことこの上ない。
しかも水瀬に名前呼びされている。
邪魔だな。
丁度いい、水瀬は俺のものにするって釘を差しとくか。
藤原の後に続くと、なんだかぞろぞろと付いてきたが、どうでもいい。
そして、今、体育館裏で囲まれている。
「だから、水瀬に近付くんじゃねーって言ってんの」
「仕方ないだろ、隣の席だし」
「そう言う意味じゃねー。アイツにちょっかい出すな。汚れる」
「水瀬と付き合うってこと? お前らに何か関係あんのかよ。俺と水瀬の問題に口出すな」
「はっ! これだから何にもわかってねーやつは……」
「水瀬には勝手に手を出さない。これが『アズ同盟』の約束だ」
「?? は? ほんとに何いってんの?」
藤原だけでなく、周りの男どもも真剣に頷いている。
なんだ、アズ同盟って。
あまりに唐突な発言に、俺はじりじり近づいてくる藤原をポカンと見つめてしまった。
藤原朔。
真っ黒な短髪が爽やかで、ハッキリした形の良い目を持ち、かといって雰囲気は親しみやすさ満開のオーラでクラスの、いや、学校全体でのカースト一軍に君臨しているらしい。運動神経抜群でよく運動部のヘルプに借り出されているという話しを裏付けるように少し日に焼けているが、その美貌を損ねることはない。背も高く、スラリとしたスタイルだが、しっかり筋肉がついている。
ムカつくな。
水瀬の隣にいても、違和感がないほどのイケメンだ。
ま、俺も負けてないし、負ける気もないけど。
「で、何なの? そのアズ同盟って」
「お前はこれからも水瀬の周りにいたければ、同盟に加盟する必要がある」
「は? だから何なん? そんな同盟入らねー。水瀬の隣にはいるけど」
「いや、無理だね。俺だって入りたかった訳じゃない」
目の前のイケメンの苦渋の顔に、こちらも思わず真剣になってしまう。
「はぁ……?」
「入らなくてももちろん構わない。というか俺はお前が入ることには賛成してない。が、その場合、今後水瀬の周りには居られない。強制排除だ」
「んなこと出来ないだろ」
「いや、される。……ユズちゃんに嫌われたらお終いだからな」
「誰? ユズちゃん……?」
俺、今水瀬の話しされてるんだよな。アズの聞き間違いだろうか?
いや、でも確かにユズって言っていた。
「今からユズちゃんの面接に行く」
「はぁぁああ??」
全くわけがわからないまま、また移動することになった。
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