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10 自由恋愛
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「おお、ドレス姿のマリナちゃんも可愛いな!」
「はぁ……。ありがとうございます」
多少はしおらしくなったかと思われた赤髪の騎士は私の姿を見た途端、緋色の瞳を輝かせた。
「さては、俺に会うために美しいドレスで着飾ってくれたんだな! 感激だ!」
「いえ、ロゼッタが用意してくれた中からシンプルなデザインの物を選んで着ただけですから、他意はありません」
首を横に振りながら冷静にこちらの事情を説明したが、赤髪の騎士は全く意に介した様子も無い。嬉しそうに片目をウインクして熱っぽい目で、私を見つめた。
「恥ずかしがらなくて良いんだぜ……。マリナちゃんの愛は俺の心に届いてるんだからな」
「貴様はもう黙れ!」
「ぐあっ! 痛い、痛い、痛いっ!」
私が突っ込みを入れる前にヴィットリオさんの軽口にブチキレた銀髪の騎士アルベルトさんは、自身の右手でヴィットリオさんのひたいをガッっと掴む。いわゆるアイアンクローを決め、手の握力でギリギリと容赦なく脳天を締め付けた。
血管と頭蓋骨を圧迫された赤髪の騎士はたまらず、痛みにうめき声を上げている。その様子を見て、私は小さくため息をついた。
「あの、ヴィットリオさん……。私、元の世界に恋人というか……。将来、結婚を約束した相手がいますので」
「そ、そうなのか?」
私の言葉が意外だったのだろう。赤髪の騎士は驚愕してポカンと口を開け、銀髪の騎士も唖然とした様子で目を丸くして動きを止めた。プラチナブロンドの侍女ロゼッタも水宝玉色の瞳に若干、驚きの色を浮かべている。
「はい。ですから、私にキスしようとするのとか止めて下さいね……。あと寝てるところに入り込むのとかも止めて下さい。こちらの世界ではどうなのか知りませんが、私の住んでいた世界ではアウトですから」
「マリナ様。こちらの世界でもヴィットリオ様の行為は犯罪の一歩手前です。……というか、ほぼ犯罪です」
「ああ。取り押さえられて、牢獄にブチ込まれても文句は言えないだろう」
「未遂でしたし……。すでにアルベルトさんが、とっても怒ってくださいましたから。さらに牢獄へブチ込んで欲しいとまでは思いませんが……。私の方にはそういう事情がありますので、もう止めて下さいね」
こちらにお世話になってる身であるし正直、面倒ごとは起こしたくない。すでにアルベルトさんによる制裁で、天国にいる死んだお祖母さんが花畑で手を振ってる姿が見えた程度には瀕死状態に陥ったようだし、ヴィットリオさんも決して悪い人ではなさそうだから話せば分かってくれるはずだと、こちらの心情を説明すると赤髪の騎士は真っ直ぐに私の顔を見ながら頷いた。
「そうか。恋人がいるのか……。しかし、結婚はしてないんだな?」
「はい。結婚はしてません」
「じゃあ、自由恋愛ってことだな!」
「は?」
「結婚してないなら、自由恋愛だからセーフだ! 俺は恋人がいても全然、気にしないからマリナちゃんも気にすることはないさ! もっとも結婚してても、俺は気にしないけどな!」
赤髪の騎士が発した言葉を聞いたアルベルトさんとロゼッタは、ウジ虫かゴミクズでも見るかのような白い目でヴィットリオさんを見つめている。私は深い息を吐いた後、天を仰いだ。
「はぁ……。ありがとうございます」
多少はしおらしくなったかと思われた赤髪の騎士は私の姿を見た途端、緋色の瞳を輝かせた。
「さては、俺に会うために美しいドレスで着飾ってくれたんだな! 感激だ!」
「いえ、ロゼッタが用意してくれた中からシンプルなデザインの物を選んで着ただけですから、他意はありません」
首を横に振りながら冷静にこちらの事情を説明したが、赤髪の騎士は全く意に介した様子も無い。嬉しそうに片目をウインクして熱っぽい目で、私を見つめた。
「恥ずかしがらなくて良いんだぜ……。マリナちゃんの愛は俺の心に届いてるんだからな」
「貴様はもう黙れ!」
「ぐあっ! 痛い、痛い、痛いっ!」
私が突っ込みを入れる前にヴィットリオさんの軽口にブチキレた銀髪の騎士アルベルトさんは、自身の右手でヴィットリオさんのひたいをガッっと掴む。いわゆるアイアンクローを決め、手の握力でギリギリと容赦なく脳天を締め付けた。
血管と頭蓋骨を圧迫された赤髪の騎士はたまらず、痛みにうめき声を上げている。その様子を見て、私は小さくため息をついた。
「あの、ヴィットリオさん……。私、元の世界に恋人というか……。将来、結婚を約束した相手がいますので」
「そ、そうなのか?」
私の言葉が意外だったのだろう。赤髪の騎士は驚愕してポカンと口を開け、銀髪の騎士も唖然とした様子で目を丸くして動きを止めた。プラチナブロンドの侍女ロゼッタも水宝玉色の瞳に若干、驚きの色を浮かべている。
「はい。ですから、私にキスしようとするのとか止めて下さいね……。あと寝てるところに入り込むのとかも止めて下さい。こちらの世界ではどうなのか知りませんが、私の住んでいた世界ではアウトですから」
「マリナ様。こちらの世界でもヴィットリオ様の行為は犯罪の一歩手前です。……というか、ほぼ犯罪です」
「ああ。取り押さえられて、牢獄にブチ込まれても文句は言えないだろう」
「未遂でしたし……。すでにアルベルトさんが、とっても怒ってくださいましたから。さらに牢獄へブチ込んで欲しいとまでは思いませんが……。私の方にはそういう事情がありますので、もう止めて下さいね」
こちらにお世話になってる身であるし正直、面倒ごとは起こしたくない。すでにアルベルトさんによる制裁で、天国にいる死んだお祖母さんが花畑で手を振ってる姿が見えた程度には瀕死状態に陥ったようだし、ヴィットリオさんも決して悪い人ではなさそうだから話せば分かってくれるはずだと、こちらの心情を説明すると赤髪の騎士は真っ直ぐに私の顔を見ながら頷いた。
「そうか。恋人がいるのか……。しかし、結婚はしてないんだな?」
「はい。結婚はしてません」
「じゃあ、自由恋愛ってことだな!」
「は?」
「結婚してないなら、自由恋愛だからセーフだ! 俺は恋人がいても全然、気にしないからマリナちゃんも気にすることはないさ! もっとも結婚してても、俺は気にしないけどな!」
赤髪の騎士が発した言葉を聞いたアルベルトさんとロゼッタは、ウジ虫かゴミクズでも見るかのような白い目でヴィットリオさんを見つめている。私は深い息を吐いた後、天を仰いだ。
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