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3章
106 翔の化学実験室4 ラップの成型の仕方
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飛龍達ヒノクニ大陸陣営にメルトホルンを案内した翌日、翔はメルトホルン国立研究所の研究施設にいた。隣にはフウマと研究所の所員がいた。
「翔殿、今日はどうしたんですか?」
「新しい製品を2つほど思いついたんでそれを伝えにきました」
「それは本当ですか?みんなメモの用意をしなさい」
そう、今日翔は以前思いついたある化学製品についてフウマ達に伝えに来たのである。化学技術について翔はまず自分で再現する。
その後、フウマ達国立研究所にサンプルと素材、製品の作り方を教える。この時、素材については渡すだけで何かは教えない。フウマ達にそれを自分たちで見つけてほしいからだ。錬金術も化学も素材を見つける流れで探した物や使った技術がいずれか何かの発見につながることがあるからだ。
そしてフウマ達が再現に成功したら商業ギルドに伝えることにしている。
「今回用意したのはこれ」
翔は小さい棒が入りそうな50cmほどの長方形の木の箱を取り出した。その箱は宝箱のように上部分を開けることができ、上のふたには細かいのこぎりのような刃がついていた。箱の中を開けると透明な厚みが薄い紙のようなものが巻物のように棒に巻き付けられていた。
「これはラップといってこのように使います」
翔は水が入ったコップを取り出した。そして翔は先ほど取り出した箱からはみ出ている透明な厚みが薄い紙のようなものを引っ張った。すると箱からビヨーンと伸び透明な厚みが薄い紙のようなものが巻物の絵のように広がり、その広がった部分を水の入ったコップの上部にかぶせた。そして箱の上のふたに付いているのこぎり状の刃で広がった部分を切り取った。そしてそのままコップの上部を覆った。
「ラップはこのように何かを包むために使います。このラップはある程度水をはじく性質があり、ある程度の熱も保温してくれます」
翔はラップで覆った水の入ったコップを傾けた。しかし水はこぼれなかった。
「具体的な使用法としては塵やごみが入らないように料理を保存したり、汚れから守るために商品に巻いたり、錬金術では抽出した固体や液体の成分に余計な成分が入らないようにある程度の期間保管できます」
翔の説明を聞きフウマと研究員は驚き興奮した。まず一番大きな理由である余分な製品が入らないという点。フウマ達も各種ポーションを作るが作成中や保管中に余分な成分が混ざり品質を落としてしまうことがあった。一応他の成分がは入らないように魔法を使った特殊な部屋で保管しているが維持するだけでも魔力が大量に必要で大量の保管はできなかった。
しかし翔の言う通りなら保管に関しては大分楽になる。さらに書類作成中汁物の料理や飲み物をわたすと気誤ってこぼしてしまうこともあるため、このラップを使えばそれを防ぐことができる。
更に商品の汚れを防ぐなら商人たちがこぞって欲しがるためさらに錬金術師の需要がふえるだろう。
フウマ達が何回かラップを巻く練習をしたのち翔は作り方の説明に入る。翔はマジックボックスからある液体と大型器具を取り出した。その器具は2つの筒が横に付けられてあり片方には紙が巻かれており、その紙の先端はもう片方の棒に付いている。この棒にはそれぞれ回すための機構が組み込まれており、そのスイッチを押すと紙が巻き取られるような仕組みになっている。そして二つの棒の間には更に棒が横に取り付けられていた。
「使う素材はこの液体プラスチックです。でこの器具の中央に置いてある棒から右側を液体を入れる側、左側がラップができる側です。ラップができる側の紙は少し過熱しています」
翔が説明しているとフウマ達は興味深そうに大型器具を見たり触ったりしていた。
「そしてスイッチを押すとこの中央の棒が下りてきて紙を巻き取り始めます。でこの液体のプラスチックを液を入れる側からまんべんなく垂らします。すると液体は紙を板にして中央の棒に進んでいきます。そしてこの中央の棒で麺を作る時に使う伸ばし棒のように均一化され棒と紙の間から厚さが均一化された膜が出てきます。最初は形が悪いですが途中からきれいな膜が出てくるようになります。出てきた膜は魔石で温められラップになり自動的に巻き取られていきます」
翔は説明しながら実際に作成していく。そしてあっという間にラップが出来上がり下の紙共々巻かれていき一つの大きな巻物ができた。
「ある程度巻かれたら紙をきり大きな巻物、ロールができます。で次の棒を用意して切った紙の方の先端をのりで付けて動かせばまた作ることができます」
そこまで説明すると翔は更にもう一つ大型器具を取り出す。
「こちらの器具は最初に見せたラップみたいに箱に入れる用のロール、今は製品ロールとでも言いましょうか、その製品ロールを作る器具です。右側にさっきの器具で作ったロールをはめ、ロールの紙の先端を反対側の下の棒にのりで付け、ラップ部分を上の棒に取り付けてスイッチを入れればできます」
そして翔が持って来たラップが出来上がった。フウマはその動きを見ながら翔にあることを聞く。
「翔殿、この器具はどこで作ったのでしょうか?」
「僕もガルズさん達に頼みましたよ。面白そうだから喜んでやってくれました。この器具のレシピについては商業ギルドに教えるんで時間が経てば鍛冶職人ならだれでも作れるのではないかな。今はガルズさんしか作れないんですね」
ちなみにフウマとガルズたち流星の工房の職人たちとは翔が化学製品を作るときに両者に説明するので知り合いである。
「わかりました。あとでガルズさん達に頼んでみます。ほら皆、まずは素材から検証だ。先ほど相談したが今日翔殿は夕方までいるそうだからヒントが貰えるぐらいまで特定するぞ」
「あ、フウマさん。もう一つあるんですけど」
「ああ、そういえば2つあると言ってましたね」
「もう一つは・・」
「翔殿、今日はどうしたんですか?」
「新しい製品を2つほど思いついたんでそれを伝えにきました」
「それは本当ですか?みんなメモの用意をしなさい」
そう、今日翔は以前思いついたある化学製品についてフウマ達に伝えに来たのである。化学技術について翔はまず自分で再現する。
その後、フウマ達国立研究所にサンプルと素材、製品の作り方を教える。この時、素材については渡すだけで何かは教えない。フウマ達にそれを自分たちで見つけてほしいからだ。錬金術も化学も素材を見つける流れで探した物や使った技術がいずれか何かの発見につながることがあるからだ。
そしてフウマ達が再現に成功したら商業ギルドに伝えることにしている。
「今回用意したのはこれ」
翔は小さい棒が入りそうな50cmほどの長方形の木の箱を取り出した。その箱は宝箱のように上部分を開けることができ、上のふたには細かいのこぎりのような刃がついていた。箱の中を開けると透明な厚みが薄い紙のようなものが巻物のように棒に巻き付けられていた。
「これはラップといってこのように使います」
翔は水が入ったコップを取り出した。そして翔は先ほど取り出した箱からはみ出ている透明な厚みが薄い紙のようなものを引っ張った。すると箱からビヨーンと伸び透明な厚みが薄い紙のようなものが巻物の絵のように広がり、その広がった部分を水の入ったコップの上部にかぶせた。そして箱の上のふたに付いているのこぎり状の刃で広がった部分を切り取った。そしてそのままコップの上部を覆った。
「ラップはこのように何かを包むために使います。このラップはある程度水をはじく性質があり、ある程度の熱も保温してくれます」
翔はラップで覆った水の入ったコップを傾けた。しかし水はこぼれなかった。
「具体的な使用法としては塵やごみが入らないように料理を保存したり、汚れから守るために商品に巻いたり、錬金術では抽出した固体や液体の成分に余計な成分が入らないようにある程度の期間保管できます」
翔の説明を聞きフウマと研究員は驚き興奮した。まず一番大きな理由である余分な製品が入らないという点。フウマ達も各種ポーションを作るが作成中や保管中に余分な成分が混ざり品質を落としてしまうことがあった。一応他の成分がは入らないように魔法を使った特殊な部屋で保管しているが維持するだけでも魔力が大量に必要で大量の保管はできなかった。
しかし翔の言う通りなら保管に関しては大分楽になる。さらに書類作成中汁物の料理や飲み物をわたすと気誤ってこぼしてしまうこともあるため、このラップを使えばそれを防ぐことができる。
更に商品の汚れを防ぐなら商人たちがこぞって欲しがるためさらに錬金術師の需要がふえるだろう。
フウマ達が何回かラップを巻く練習をしたのち翔は作り方の説明に入る。翔はマジックボックスからある液体と大型器具を取り出した。その器具は2つの筒が横に付けられてあり片方には紙が巻かれており、その紙の先端はもう片方の棒に付いている。この棒にはそれぞれ回すための機構が組み込まれており、そのスイッチを押すと紙が巻き取られるような仕組みになっている。そして二つの棒の間には更に棒が横に取り付けられていた。
「使う素材はこの液体プラスチックです。でこの器具の中央に置いてある棒から右側を液体を入れる側、左側がラップができる側です。ラップができる側の紙は少し過熱しています」
翔が説明しているとフウマ達は興味深そうに大型器具を見たり触ったりしていた。
「そしてスイッチを押すとこの中央の棒が下りてきて紙を巻き取り始めます。でこの液体のプラスチックを液を入れる側からまんべんなく垂らします。すると液体は紙を板にして中央の棒に進んでいきます。そしてこの中央の棒で麺を作る時に使う伸ばし棒のように均一化され棒と紙の間から厚さが均一化された膜が出てきます。最初は形が悪いですが途中からきれいな膜が出てくるようになります。出てきた膜は魔石で温められラップになり自動的に巻き取られていきます」
翔は説明しながら実際に作成していく。そしてあっという間にラップが出来上がり下の紙共々巻かれていき一つの大きな巻物ができた。
「ある程度巻かれたら紙をきり大きな巻物、ロールができます。で次の棒を用意して切った紙の方の先端をのりで付けて動かせばまた作ることができます」
そこまで説明すると翔は更にもう一つ大型器具を取り出す。
「こちらの器具は最初に見せたラップみたいに箱に入れる用のロール、今は製品ロールとでも言いましょうか、その製品ロールを作る器具です。右側にさっきの器具で作ったロールをはめ、ロールの紙の先端を反対側の下の棒にのりで付け、ラップ部分を上の棒に取り付けてスイッチを入れればできます」
そして翔が持って来たラップが出来上がった。フウマはその動きを見ながら翔にあることを聞く。
「翔殿、この器具はどこで作ったのでしょうか?」
「僕もガルズさん達に頼みましたよ。面白そうだから喜んでやってくれました。この器具のレシピについては商業ギルドに教えるんで時間が経てば鍛冶職人ならだれでも作れるのではないかな。今はガルズさんしか作れないんですね」
ちなみにフウマとガルズたち流星の工房の職人たちとは翔が化学製品を作るときに両者に説明するので知り合いである。
「わかりました。あとでガルズさん達に頼んでみます。ほら皆、まずは素材から検証だ。先ほど相談したが今日翔殿は夕方までいるそうだからヒントが貰えるぐらいまで特定するぞ」
「あ、フウマさん。もう一つあるんですけど」
「ああ、そういえば2つあると言ってましたね」
「もう一つは・・」
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