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普通の女の子に戻りたい。
フラグ回収はスピード勝負。
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まずは一発、と。
拳をいれると見せかけ、駆け寄った反動を利用して、視界に入らない真下から曽根の顎を狙って蹴りあげる。
この際卑怯もなにもあったものではない。
勝負とは主導権を握ったものが勝つ。
全ては先制で決まるものだ。
「……切れ味ある良い蹴りですが、残念」
ーーー私には届きません。
言葉と共に曽根の腕が明日夢の脚を掴む。
どうやら思考が読まれていたらしい。
このままではここでおしまいだ。
だが。
「………!」
「宣言通り、まずは一発、ですね」
掴まれた足を軸に身体を半転させ、回し蹴りの要領で曽根の頬に土をつけた明日夢。
「………やはり貴方は私の理想の女性です」
「油断は大敵、ですよ」
掴まれた靴を脱ぎ捨て、着地したコンクリートに片手をつき、低い姿勢のままで上目遣いに嗤う。
その額スレスレを、曽根の足先が容赦なく襲った。
「………っ!」
体制を整え、なんとか避けたところで更なる追撃。
それを避けながら曽根の隙を狙う明日夢が、神経を研ぎ澄ませ、次の一撃にうって出ようとしたその時。
プルルルルル……。
「!」
鳴り響いた音に集中を途切れさせた明日夢は、一度曽根から大きく距離をとる。
すぐに鳴りやむかと思ったその音は止まることなく鳴り続け……。
「あ、明日夢……?貴嗣も落ち着いて頂戴。何か急な連絡かもしれないから、出た方がいいんじゃないの?」
そのスマホ、と。
音の源が明日夢の身体から発せられていること気づいた美咲が、おずおずと二人に休戦を示唆する。
「そ、そうっすよ………!!兄貴も若頭も、二人ともちょっと落ち着いて下さいっ」
殺気混じりの攻防に手も足もできなかったスキンヘッドが、ここぞとばかりに美咲に加勢する。
ちらり、一瞬二人の視線が交差した。
「………気が削がれてしまいましたね。どうぞ、お出になってはいかがですか?」
もう手出しはしません、とばかりに両手をあげる曽根。
「あくまで一時、ですからね」
「勿論」
むしろ嬉しげなその声に軽く苛立ちながら、明日夢はポケットに手をつっこみ、未だ鳴り続けるスマホを鷲掴みした。
そして、その画面を見て驚く。
通信先は、太一の叔母である貴子だった。
またバイトをしてくれ、等というふざけた内容であったなら興ざめも良いところだが、今このタイミングでかかってきた着信はひどく気に障る。
何か、あったのか。
「もしもし?貴子さん?」
通話ボタンを押し、ためらいがちに声をかけた瞬間。
『もしもし明日夢ちゃん!?あなた今どこ!?店が大変なのっ!それに、何度かけても忍ちゃんと連絡が取れなくて……………!!』
聞こえてきた悲鳴のような甲高い声に、明日夢は凍りついた。
拳をいれると見せかけ、駆け寄った反動を利用して、視界に入らない真下から曽根の顎を狙って蹴りあげる。
この際卑怯もなにもあったものではない。
勝負とは主導権を握ったものが勝つ。
全ては先制で決まるものだ。
「……切れ味ある良い蹴りですが、残念」
ーーー私には届きません。
言葉と共に曽根の腕が明日夢の脚を掴む。
どうやら思考が読まれていたらしい。
このままではここでおしまいだ。
だが。
「………!」
「宣言通り、まずは一発、ですね」
掴まれた足を軸に身体を半転させ、回し蹴りの要領で曽根の頬に土をつけた明日夢。
「………やはり貴方は私の理想の女性です」
「油断は大敵、ですよ」
掴まれた靴を脱ぎ捨て、着地したコンクリートに片手をつき、低い姿勢のままで上目遣いに嗤う。
その額スレスレを、曽根の足先が容赦なく襲った。
「………っ!」
体制を整え、なんとか避けたところで更なる追撃。
それを避けながら曽根の隙を狙う明日夢が、神経を研ぎ澄ませ、次の一撃にうって出ようとしたその時。
プルルルルル……。
「!」
鳴り響いた音に集中を途切れさせた明日夢は、一度曽根から大きく距離をとる。
すぐに鳴りやむかと思ったその音は止まることなく鳴り続け……。
「あ、明日夢……?貴嗣も落ち着いて頂戴。何か急な連絡かもしれないから、出た方がいいんじゃないの?」
そのスマホ、と。
音の源が明日夢の身体から発せられていること気づいた美咲が、おずおずと二人に休戦を示唆する。
「そ、そうっすよ………!!兄貴も若頭も、二人ともちょっと落ち着いて下さいっ」
殺気混じりの攻防に手も足もできなかったスキンヘッドが、ここぞとばかりに美咲に加勢する。
ちらり、一瞬二人の視線が交差した。
「………気が削がれてしまいましたね。どうぞ、お出になってはいかがですか?」
もう手出しはしません、とばかりに両手をあげる曽根。
「あくまで一時、ですからね」
「勿論」
むしろ嬉しげなその声に軽く苛立ちながら、明日夢はポケットに手をつっこみ、未だ鳴り続けるスマホを鷲掴みした。
そして、その画面を見て驚く。
通信先は、太一の叔母である貴子だった。
またバイトをしてくれ、等というふざけた内容であったなら興ざめも良いところだが、今このタイミングでかかってきた着信はひどく気に障る。
何か、あったのか。
「もしもし?貴子さん?」
通話ボタンを押し、ためらいがちに声をかけた瞬間。
『もしもし明日夢ちゃん!?あなた今どこ!?店が大変なのっ!それに、何度かけても忍ちゃんと連絡が取れなくて……………!!』
聞こえてきた悲鳴のような甲高い声に、明日夢は凍りついた。
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