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普通の女の子に戻りたい。
貴女が無事でよかった
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「…………つまり」
深いため息と共に吐き出したのは、鉛のように重い言葉。
「これは全て、私を試すためのお芝居だった、ということですか」
これだけの事をしでかして、全部。
「ち、違うのよ明日夢!!浚われそうになったのは本当なの!!でも、その時はすぐに貴嗣が助けに来てくれて、それで………!!」
「……………それで?」
にこりともしない明日夢に、焦りを見せる美咲。
「た、貴嗣が、今日は明日夢のたいせつな日だから、明日夢が本当に私の事を友達と思ってくれているか、試してみたらどうか……って……」
やはり意図的に危機を演出していたのは間違いないようだ。
「曽根さんに唆された、と?」
「……………!!」
あえて辛辣に尋ねれば、きゅっと唇を結んだ美咲が膝の上に拳を作り、強くそれを握り混む。
「た、確かに最初に提案したのは貴嗣だけど、それを決断したのは私………。ごめんなさいっ、明日夢!!」
「お、お嬢さん!!」
突如硬い表情を浮かべて頭を下げた美咲におろおろと動揺するスキンヘッド。
「唆されたとか、そんなのただの言い訳よ……。
明日夢が私の事を助けに来て来るかどうか、不安だっただけなの……」
美咲は、一言も誰かのせいにすることはなく、許してくれと頼むこともなく。
「本当にごめんなさい………!!」
自分のしたことが明日夢の誠意を踏みにじるものだと気づくと、ひたすらにその謝罪を繰り返す。
「面接だったのよね………?今からでも間に合う?なんなら私が浚われそうになっていたところを助けてもらったことにして……」
なんとかならないか、と。
顔を下げたまま真剣に考える美咲のその頭に、ぽん、と暖かいなにかが乗せられた。
「…………明日夢…………?」
その正体に気づいた美咲がおずおずと頭を上げれば、そこにあったの穏やかに微笑む明日夢の顔。
「よく、出来ました」
明日夢はそういうと、少し膝を屈めて美咲と目線をあわせ、もう一度ゆっくりその頭を撫でた。
「あなたに、何もなくてよかった」
嘘で、よかったと。
「……………!!」
心からそれを口にする明日夢に、美咲がその声を詰まらせる。
「明日夢…………」
「怖かったでしょう?もう大丈夫ですよ」
私は必ず、助けにいきますから。
「明日夢……………!!」
謝罪が受け入れられた事を知り、我慢できなくなったかのように飛び出した美咲。
飛び込んできた小さな身体を受け止め抱き締めれば、何故か背後から聞こえてくるすすり泣き。
正体は勿論、スキンヘッドだ。
「よ、良かったです!本当に良かったですっ、お嬢さん……!!」
涙もろい極道に若干引き気味なのは明日夢だけらしく、美咲は少し恥ずかしそうに顔を背け、「あ、ありがとう……」とつぶやく。
それが大変可愛かったので、美咲とスキンヘッドに対するわだかまりは、もう特にない。
そもそもスキンヘッドは曽根に逆らえない立場であり、彼に文句を言うのは筋違いというもの。
だが。
「おめでとうございます。美咲お嬢さん」
何事もなかったかのような顔で微笑むこの男は、別だ。
「……この落とし前はつけていただけるんですよね?貴嗣さん」
「貴女が望むならば」
よし。
ならば。
「やりあいましょう。思う存分」
うっとりとした表情で笑うその顔に、先ずは一発入れてやろう。
そう固く心に決め、明日夢はゆっくりと動き出したーーーー。
深いため息と共に吐き出したのは、鉛のように重い言葉。
「これは全て、私を試すためのお芝居だった、ということですか」
これだけの事をしでかして、全部。
「ち、違うのよ明日夢!!浚われそうになったのは本当なの!!でも、その時はすぐに貴嗣が助けに来てくれて、それで………!!」
「……………それで?」
にこりともしない明日夢に、焦りを見せる美咲。
「た、貴嗣が、今日は明日夢のたいせつな日だから、明日夢が本当に私の事を友達と思ってくれているか、試してみたらどうか……って……」
やはり意図的に危機を演出していたのは間違いないようだ。
「曽根さんに唆された、と?」
「……………!!」
あえて辛辣に尋ねれば、きゅっと唇を結んだ美咲が膝の上に拳を作り、強くそれを握り混む。
「た、確かに最初に提案したのは貴嗣だけど、それを決断したのは私………。ごめんなさいっ、明日夢!!」
「お、お嬢さん!!」
突如硬い表情を浮かべて頭を下げた美咲におろおろと動揺するスキンヘッド。
「唆されたとか、そんなのただの言い訳よ……。
明日夢が私の事を助けに来て来るかどうか、不安だっただけなの……」
美咲は、一言も誰かのせいにすることはなく、許してくれと頼むこともなく。
「本当にごめんなさい………!!」
自分のしたことが明日夢の誠意を踏みにじるものだと気づくと、ひたすらにその謝罪を繰り返す。
「面接だったのよね………?今からでも間に合う?なんなら私が浚われそうになっていたところを助けてもらったことにして……」
なんとかならないか、と。
顔を下げたまま真剣に考える美咲のその頭に、ぽん、と暖かいなにかが乗せられた。
「…………明日夢…………?」
その正体に気づいた美咲がおずおずと頭を上げれば、そこにあったの穏やかに微笑む明日夢の顔。
「よく、出来ました」
明日夢はそういうと、少し膝を屈めて美咲と目線をあわせ、もう一度ゆっくりその頭を撫でた。
「あなたに、何もなくてよかった」
嘘で、よかったと。
「……………!!」
心からそれを口にする明日夢に、美咲がその声を詰まらせる。
「明日夢…………」
「怖かったでしょう?もう大丈夫ですよ」
私は必ず、助けにいきますから。
「明日夢……………!!」
謝罪が受け入れられた事を知り、我慢できなくなったかのように飛び出した美咲。
飛び込んできた小さな身体を受け止め抱き締めれば、何故か背後から聞こえてくるすすり泣き。
正体は勿論、スキンヘッドだ。
「よ、良かったです!本当に良かったですっ、お嬢さん……!!」
涙もろい極道に若干引き気味なのは明日夢だけらしく、美咲は少し恥ずかしそうに顔を背け、「あ、ありがとう……」とつぶやく。
それが大変可愛かったので、美咲とスキンヘッドに対するわだかまりは、もう特にない。
そもそもスキンヘッドは曽根に逆らえない立場であり、彼に文句を言うのは筋違いというもの。
だが。
「おめでとうございます。美咲お嬢さん」
何事もなかったかのような顔で微笑むこの男は、別だ。
「……この落とし前はつけていただけるんですよね?貴嗣さん」
「貴女が望むならば」
よし。
ならば。
「やりあいましょう。思う存分」
うっとりとした表情で笑うその顔に、先ずは一発入れてやろう。
そう固く心に決め、明日夢はゆっくりと動き出したーーーー。
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