薬屋の受難【完】

おはぎ

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番外編

薬草採取 2

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「あれ、どうしたの?もう仕事終わったの?」

「あぁ、それより、この薬草を一房ずつ貰って構わないか。あと、ここの窓硝子はどこで作ったものか分かるか?そうだ、ここの棚なんだが……。」

ルーは最近仕事が早く終わるらしく、昼を過ぎた辺りでもう迎えに来てしまう。僕の店はまだ閉店する時間ではないため、いつも待ってもらうはめになるのだが、ルーはルーで何か調べることがあるみたいで、今日のように色々と聞いてきてはぶつぶつと言いながらあっちへこっちへと歩き回っている。

「何だい、ルーベルト様は一体どうしたんだい?」

常連の奥様が来た時に、不思議そうにそう聞いてきたが、

「さぁ……。僕にも分からないんです。」

ルーの頭の中なんて凡人の僕に分かる訳もなく、一緒に首を傾げる。

「まぁ、あの人のことだ、きっと私らには分かり得ないすごいことを考えてるんだろうさ。」

豪快に笑った奥様は、そう言うといつもの薬を買って帰っていった。

それからも、

「あの方が生み出してくれた物のおかげで、私らは生きて来られたんだよ。すごい人だねぇ……。」

「ルーベルト様がすることは全て正しいんだ。あの人は国の宝だからね。したいようにさせておあげ。」

「ノルンちゃん、ルーベルト様と仲良くね。前もすごい心配してたのよ?そうそう、その前もね……。」

「よぉ、坊。酔い止めくれや。お、ルーベルト様はどうした、また何かえらいもん作る気かい?」

来る客来る客、みんなルーを見ては僕に話してくる。ルーの奇怪な行動を見ても、ルーだからと謎の納得をして微笑ましく見守られる。ルーはこの国の偉人であり、最重要人物でもある。ルーのおかげで助かったり、救われたりした人は大勢いるのだ。

……改めて考えると、僕の夫ってとんでもない人なんだよね。

そう思いながら、お客さんと談笑する。それから、またルーは仕事が忙しくなったのか、早く迎えに来ることがなくなった。そして、いつもと同じく夕方の薬屋が閉まる頃に迎えに来るようになった。

それから、変わらない日々を送っていたある日。何やらすっきりしたような雰囲気のルーに、休みの前日、帰宅して早々に寝室へと連れ込まれた。

「えっ、ちょ、ど、どうし……んぅ……!」

上着を脱ぐ暇も惜しいと言わんばかりに、押し倒されて唇を合わせられながらスルスルと服を脱がされていく。

「る、ルー……んんっ……!」

ルーの熱い舌が僕のそれを捉えて絡められる。水音が響いて、いやらしさに顔が熱くなる。口内で動くルーの舌に必死でついていきながらも、貪るようなキスに翻弄される。

「はぁっ、ノルン……。あぁ、可愛いな……。」

唇が離されると、首筋に顔を埋めてそこを舐められ、そのまますぐに足の間で芯を持ち始めたそこを、服の中に手を入れて直接握り込まれた。

「あっ、だめ、擦らないで……!」

すぐに達しそうになり、涙目でルーに懇願するも、聞こえていない様子で再度口付けられる。そのまま呆気なく出してしまうが、ルーはおかまいなしで、はだけられた胸元に顔を埋めて、すでにピンと立っている突起を口に含まれ舌で転がされる。

「んっあぁ……っ!」

ビクビクと体が反応し、声がひっきりなしに出てしまう。腰を撫でられながら胸元に刺激を与えられ、否応なしまた熱が集まってくる。

「どこもかしこも綺麗だ、可愛い……。」

熱を持った瞳で、服を纏わない身体を見られ、恥ずかしくて目が熱くなる。

「……ん、ルー、好き……。」

「っあぁ!ノルン!愛してる……!」

両手を上げて、ルーの首に抱き着くと、嬉しそうにそう返されて痛いくらい抱き締められたと思うと、ズンッとルーの熱い硬くなったものを押し入れられて息が止まりそうになる。

「あっ……あぁっ!る、ルー、ゆっくり……っ……ぁっ……!」

そのまま中で敏感なところを的確に突かれて、背中が仰け反る。そして、そのまま達しても尚、執拗に求められて愛されるのだった。



――――



「ん……。あれ……?」

翌日、目が覚めるとルーの姿はなく、しばらくベッドの上でボーっとしていた。

……今日が休みで良かった。

最近はあまりルーとこういうことをしていなかったため、久しぶりの濃い触れ合いにお互い歯止めが効かなかった。

夜のことを思い出して顔が熱くなるが、ルーの忙しい期間は終わったらしいと少しホッとする。ルーの仕事終わりの時間は以前と同じに戻ってはいたのだが、家に帰ってからも何やら書類に書き込んでいたり、計算をし出したりしていたため、何やら大変そうだと思っていたのだ。昨日の解放されたようなルーの様子から、きっと大変なことは終わったのだろう。

僕は、ようやく起き上がると、もうすでに昼を過ぎていることに気付き、寝室を出た。が、ルーの姿はない。

……どこに行ったんだろう。

何も言わずにどこかに行くなんて珍しいと思いながら、何とか身体を動かして洗面台へ。顔を洗うと、服に着替えて、お茶を入れる。ホッと一息。テーブルと見ると、サンドイッチが置かれていた。僕の好きな卵サンドだ。それを食べてお腹を満たし、外を見るもまだ帰ってくる気配がない。

僕は朝ご飯でも作ろうと台所に行くが、食材がないことに気付いて買い物に行こうと財布を持つ。外に出て歩きながら、きょろきょろとルーの姿を探す。

「おや、一人かい?ルーベルト様なら薬屋の方に向かっていたよ。」

「あれ、一人?ルーベルト様、さっきあっちに行くのを見たよ。」

「ノルン、一人で買い物とは珍しいな。ルーベルト様はどうした?」

あちらこちらから話し掛けられながら、どうやらルーは薬屋にいることが判明。買い物を済ませ、薬屋へと足を進める。見えてきた薬屋の横に、ドーム状の物が置かれていることに気付き、首を傾げる。

僕の薬屋に謎の場所があるのだけれど……?

「ルー……?」

「……!?ノルン!一人で来たのか!すまない、もう少し早く終わるはずだったんだが、少々手間取ってしまった。でももう完成したから大丈夫だ。買い物に行ったのか?体は大丈夫か?今日は俺が作るからゆっくりしてくれ。さぁ、帰ろう。」

何やらそのドーム状のものに、小さい丸い何かを取り付けたルーが振り返ったため名前を呼ぶと、そう話しながら僕の荷物を持って肩を抱かれる。

……いやいやいや!

「え、あの、あれは何?」

僕の店なんですけれど。得体の知れないものが出来上がっているんですけれど。ルーだけが分かっている様子だが、僕は何一つ分かってないんだけれど。

「?あぁ、あれはようやく完成してな。思ってたより時間がかかってしまったが、あれで言っていた薬草を育てることが可能になった。街の外にしか生えない薬草の発生条件を満たすのに、必要な材料が集まらなくてな。しかしやっと装置も完成し、実験でも成功したから大丈夫だ。これが鍵になるから渡しておく。ノルン、この材料で何を作る気だったんだ?パスタなら家にあったから、これで……。」

「ちょ、ちょっと待って待って!」

すごいことを言われた気がするのだが。ルーは何てこともないように説明し出して、鍵を渡され話が終わり、今日の夕ご飯について続けられるも、入ってこない。いや、夕ご飯は今どうでもいい。

「どういうこと?薬草を育てる?」

とにかく、ゆっくり説明して欲しい。僕は一度深呼吸する。

「可愛いな。腹が減ったのか?」

……減ってるわけないでしょ。むしろこんな状況でお腹を空かせられないよ。

「ルー、あそこで薬草を作るって何?どういうこと?」

「?どうもこうも、そのままの意味だ。あの場は湿度、温度、光、魔素、雫を調整できる装置を開発し取り付けてある。街の外にしか生えない薬草も、あそこで栽培することが可能だ。もうすでに調整はしているから、後は好きな薬草を植えたらいい。」

……好きな薬草を栽培できる?

僕は、ルーの言葉を聞いて唖然とする。

そもそも、人が栽培できる薬草は決まっており、今まで色んな人が試行錯誤してきたが街の外にしか生えない薬草はどう頑張っても栽培ができなかったのだ。栽培しようとするも枯れたり、効能を失ったりと成功した試しはない。それはもう、偉い先生たちが何度も何度も様々な手法で試みてきたが成し得なかったことなのだ。

それは魔物や魔草が関係しており、人類の手で育てるのには限界があるためだと言われていた。それが自然の摂理であり、人が介入できない領域なのだと。

……それが、あの場では栽培が可能?

それが本当ならば、とんでもないことだ。理解できた僕はあまりの衝撃にわなわなと身体が震える。

「どうした、ノルン。震えている、寒いのか?すぐに家に帰ろう。風邪をひくといけない。」

だが、当の本人はどれだけすごい物を作ったのかを分かっていないようで、見当違いのことを言って僕を心配そうに見つめてくる。僕はどうしたらいいのか分からず、そのままルーに連れられて家へと帰った。家に着いて、ルーが夕ご飯を作ってくれても、まだ衝撃から抜け出せず。そんな僕に何を思ったのか、喜々としてルーが世話をやいてくる。

されるがままお世話され、抱え込まれて眠りについたのだった。



―――



「……夢じゃなかった。」

次の日、薬屋に行くと昨日見たドーム状のそれがそのままそこにあった。恐る恐る、ルーにもらった鍵で扉を開け、半透明の硝子のような周りの壁で囲まれているその中に足を踏み入れた。

そこには、僕が街の外で採取してきた薬草がそれぞれ植えられており、均等に場所が分けられ、枯れることなく生い茂っていた。ただ、昨日に植えたのだろうからもしかしたら経過すると枯れてしまうかもしれないが、ルーが作った物であるなら、枯れることはないのだろうと分かってしまう。

これが知れ渡ってしまえば、とんでもない激震が走るのは間違いない。それはきっと、薬屋業界だけに留まらないだろう。

「ルーって、本当にすごい……。」

僕は、改めて自分の夫のルーベルト魔術師団長という人物の凄さを実感したのだった。



―――そして月日が過ぎ。

例の薬草たちは枯れることなく生い茂り、街の外に行っては採取したり依頼して持って来てもらっていた薬草も一房植えるだけで増えていき、野生の薬草の強さを垣間見た僕。

しかし、栽培する薬草が増えた時、管理や調整が難しくて、図鑑を片手に泣きながらああでもない、こうでもないと、ぐずぐずしていると、迎えにきたルーが血相を変えてすぐさまオート機能に作り直してくれた。季節ごとに取れる薬草もあったが、それすらここで栽培できるようになり、僕が仕事関係で街の外へと出ることはなくなった。

そして、ルーのこの発明がもたらした成果が凄まじい。

一般ではなかなか手が出しにくく、高価だったポーションが大量生産できるようになり、安価に手に入れることができるようになった。他にも、難病に効く薬草の栽培が可能となったことや、不治の病だと言われていた病気の治療薬ができたり。多くの人の命が救われることに繋がった。

また一つ、偉大なことを成し遂げたルーだが、本人はそんなことを気にも掛けず。

相変わらず心配性なルーは、一人で何処かに行かないようにと何度も説明してきては、新たな防犯グッズを僕に渡してくるのだった。







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