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第四章 ソルフゲイルの謀略
第62話 墓所
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セレスとレオルステイルとミカゲが、意識を失ったコレットを連れて世界樹に行った後、コレットの家の惨劇に対処していたソフィアステイルとベルフォリスは、何とか必要最低限の事は成し遂げていた。
まず、広間に積まれた遺体は、旧トトアトエテルニアの遺跡の中心部近くにある教会の墓所に埋葬した。
ベルフォリスとソフィアステイル2人だけでは人手が足りないので、ソフィアステイルは使い魔を使って迅速に作業をこなして行ったのだが・・・・・
「ベルが、もう少し体力のあるエルフだったら、こんな手間をかけずに済んだのだがな。」
ソフィアステイルは、墓所の近くで息も絶え絶えにゼーハー言っているベルフォリスに目を向ける。
結局、埋葬の作業は、急ごしらえの棺桶に一人一人の遺体を入れて行く所から始まり、墓所の空いている土地に使い魔を使って穴を掘らせ更に、棺桶を一つ一つ入れて行く作業をしなければならないと言う手間がかかっていた。
しかもソフィアステイルは基本的に女手と言う事で、肉体的に非力な自力での作業が難しいと言う事から、自身の魔力を使って使い魔を8体出して対応していたのだが、ベルフォリスにはそう言った手段が無かった。
ベルフォリスは、自身の体力を持って作業に加わっていたのだが、ソフィアステイルの使い魔の中では殆ど役に立っている様には見えなかった。
つまりほぼ無力だったと言っても過言では無かったのだ。
「ほ・・・んとう・・・に、普段・・・か・・・ら、魔法の訓練・・・・して・・・おくべきだったと・・・・」
「実感しただろう?」
ソフィアステイルの言葉にベルフォリスは、首を激しく上下に振った。
その振り具合を見たソフィアステイルは、
「何だ、ベル。意外とまだ体力が残っていそうだな?これなら、最後の仕上げに墓標を立てるのはベルに任せようかな?使い魔達はと言うか私の魔力が、そろそろ限界を迎えそうなんだ。」
そう言って、少し深めの溜息をついた。
彼女の魔力が無尽蔵だと言われているとしても、同時に8体ものがたいの良いミノタウロス風味の使い魔を動かすのには、少々どころか結構な魔力を使っていた事は、それなりに魔力を扱えるベルフォリスにも理解が及んでいたのは間違い無かった。
と言うか、何故ミノタウロス風味?なのかが疑問だったが、ここは何も突っ込まないでおこうと決めていた。
多分ココで何かツッコミを入れた暁には、ベルフォリスの体力値が限りなくゼロに近い状態になりそうだったからだ。
とは言え、これから墓標を立てる作業、結構繊細な角度で差し込まないと、棺桶に刺さってしまっては元も子もないので、ベルフォリス的には今の体力では難しいかも知れないと感じていた。
「そそそ、ソフィアさん?この作業を僕一人でやれと?」
恐る恐る、疲れたアピールしているソフィアステイルに尋ねるベルフォリスだが、彼女は言葉を発せずに鋭い視線を投げかける。
「ですよねー!そうですよね!僕ですよね、非力な僕がやるしかないんですよね・・・・」
うなだれながらベルフォリスは、ソフィアステイルの使い魔がセッセと作った木の墓標を、それぞれの墓に立てて行く作業をする事になる。
コレットの家族の認識がイマイチなされていないまま埋葬してしまっていたが、この辺は後にレオルステイルの魔法で誰が誰なのかを認識する作業をしてもらって、その後で正式な墓標を立ててもらう事になるのだろう。
何を隠そう、レオルステイルは結構な深淵魔法と言うか、流石のステイル姉妹と言うべきかと言う程に得意らしい。
この辺は、今までのソフィアステイルとの付き合いで散々聞かされてきた所だった。
ベルフォリスが墓標を立てる作業をのんびりと見ていたソフィアステイルだったが、ベルフォリスの作業速度があまりにも亀の歩み状態だったのに痺れを切らして、とうとう少しだけ手を貸す事にした。
少し休んでいる間に魔力も少々回復してきたので、使い魔を2体だけ出してベルフォリスの手伝いに行かせる。
今度の使い魔は屈強なミノタウロスではなく、作業に飽きたら飛んで行ってしまいそうなガーゴイル風味だった。
「喜べ!ベル!!この親切極まりない私が、微力だが使い魔を助力してやろう。こやつらを使ってサッサと作業を終わらせるのだ!」
そう言って、2体の使い魔をベルフォリスの所にけしかけた。
「あ、ありがとう!ソフィア~~!!」
と言ったは良いものの、助っ人に来た使い魔がミノタウロス風ではなくガーゴイル風だった事に、ベルフォリスは肩を落とす。
がっくりと肩を落としながらベルフォリスは、
「何だよーー!!こんなの冷やかし程度の助力しか使えないじゃないかーー!!」
ぷんすか怒り始めるベルフォリスを見たソフィアステイルは、
「おやおやベル、そんなに力が余っているならやっぱり一人で出来るんだよな?」
と、意地の悪い返答をした。
楽しそうに笑いながら使い魔を消そうとする彼女にベルフォリスは、
「まーー!!待って待って!!頑張ります~消さないでください~~!!」
と、懇願しながら、一人墓標のを立てる作業を続けて行った。
「そうそう、ベルは実は結構やれば出来るエルフなんだよな~。」
ソフィアステイルは、ベルフォリスの耳には届かない様に小さな声で呟く。
しかし、地獄耳を自称するベルフォリスの耳には、その呟きが届いていた事をソフィアステイルは知らない。
コッソリと一人、墓標を立てながら喜ぶベルフォリスだった。
まず、広間に積まれた遺体は、旧トトアトエテルニアの遺跡の中心部近くにある教会の墓所に埋葬した。
ベルフォリスとソフィアステイル2人だけでは人手が足りないので、ソフィアステイルは使い魔を使って迅速に作業をこなして行ったのだが・・・・・
「ベルが、もう少し体力のあるエルフだったら、こんな手間をかけずに済んだのだがな。」
ソフィアステイルは、墓所の近くで息も絶え絶えにゼーハー言っているベルフォリスに目を向ける。
結局、埋葬の作業は、急ごしらえの棺桶に一人一人の遺体を入れて行く所から始まり、墓所の空いている土地に使い魔を使って穴を掘らせ更に、棺桶を一つ一つ入れて行く作業をしなければならないと言う手間がかかっていた。
しかもソフィアステイルは基本的に女手と言う事で、肉体的に非力な自力での作業が難しいと言う事から、自身の魔力を使って使い魔を8体出して対応していたのだが、ベルフォリスにはそう言った手段が無かった。
ベルフォリスは、自身の体力を持って作業に加わっていたのだが、ソフィアステイルの使い魔の中では殆ど役に立っている様には見えなかった。
つまりほぼ無力だったと言っても過言では無かったのだ。
「ほ・・・んとう・・・に、普段・・・か・・・ら、魔法の訓練・・・・して・・・おくべきだったと・・・・」
「実感しただろう?」
ソフィアステイルの言葉にベルフォリスは、首を激しく上下に振った。
その振り具合を見たソフィアステイルは、
「何だ、ベル。意外とまだ体力が残っていそうだな?これなら、最後の仕上げに墓標を立てるのはベルに任せようかな?使い魔達はと言うか私の魔力が、そろそろ限界を迎えそうなんだ。」
そう言って、少し深めの溜息をついた。
彼女の魔力が無尽蔵だと言われているとしても、同時に8体ものがたいの良いミノタウロス風味の使い魔を動かすのには、少々どころか結構な魔力を使っていた事は、それなりに魔力を扱えるベルフォリスにも理解が及んでいたのは間違い無かった。
と言うか、何故ミノタウロス風味?なのかが疑問だったが、ここは何も突っ込まないでおこうと決めていた。
多分ココで何かツッコミを入れた暁には、ベルフォリスの体力値が限りなくゼロに近い状態になりそうだったからだ。
とは言え、これから墓標を立てる作業、結構繊細な角度で差し込まないと、棺桶に刺さってしまっては元も子もないので、ベルフォリス的には今の体力では難しいかも知れないと感じていた。
「そそそ、ソフィアさん?この作業を僕一人でやれと?」
恐る恐る、疲れたアピールしているソフィアステイルに尋ねるベルフォリスだが、彼女は言葉を発せずに鋭い視線を投げかける。
「ですよねー!そうですよね!僕ですよね、非力な僕がやるしかないんですよね・・・・」
うなだれながらベルフォリスは、ソフィアステイルの使い魔がセッセと作った木の墓標を、それぞれの墓に立てて行く作業をする事になる。
コレットの家族の認識がイマイチなされていないまま埋葬してしまっていたが、この辺は後にレオルステイルの魔法で誰が誰なのかを認識する作業をしてもらって、その後で正式な墓標を立ててもらう事になるのだろう。
何を隠そう、レオルステイルは結構な深淵魔法と言うか、流石のステイル姉妹と言うべきかと言う程に得意らしい。
この辺は、今までのソフィアステイルとの付き合いで散々聞かされてきた所だった。
ベルフォリスが墓標を立てる作業をのんびりと見ていたソフィアステイルだったが、ベルフォリスの作業速度があまりにも亀の歩み状態だったのに痺れを切らして、とうとう少しだけ手を貸す事にした。
少し休んでいる間に魔力も少々回復してきたので、使い魔を2体だけ出してベルフォリスの手伝いに行かせる。
今度の使い魔は屈強なミノタウロスではなく、作業に飽きたら飛んで行ってしまいそうなガーゴイル風味だった。
「喜べ!ベル!!この親切極まりない私が、微力だが使い魔を助力してやろう。こやつらを使ってサッサと作業を終わらせるのだ!」
そう言って、2体の使い魔をベルフォリスの所にけしかけた。
「あ、ありがとう!ソフィア~~!!」
と言ったは良いものの、助っ人に来た使い魔がミノタウロス風ではなくガーゴイル風だった事に、ベルフォリスは肩を落とす。
がっくりと肩を落としながらベルフォリスは、
「何だよーー!!こんなの冷やかし程度の助力しか使えないじゃないかーー!!」
ぷんすか怒り始めるベルフォリスを見たソフィアステイルは、
「おやおやベル、そんなに力が余っているならやっぱり一人で出来るんだよな?」
と、意地の悪い返答をした。
楽しそうに笑いながら使い魔を消そうとする彼女にベルフォリスは、
「まーー!!待って待って!!頑張ります~消さないでください~~!!」
と、懇願しながら、一人墓標のを立てる作業を続けて行った。
「そうそう、ベルは実は結構やれば出来るエルフなんだよな~。」
ソフィアステイルは、ベルフォリスの耳には届かない様に小さな声で呟く。
しかし、地獄耳を自称するベルフォリスの耳には、その呟きが届いていた事をソフィアステイルは知らない。
コッソリと一人、墓標を立てながら喜ぶベルフォリスだった。
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