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10.邪魔者

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「下りるぞー!」

 ミリアは先頭に立っており出した。
 あんなにはしゃいで、大丈夫だろうか?



「なんかシンドい」

 ゼイゼイしながらくたばっているミリア。
 山の怖さを知らないんだな。
 山は登る時もキツいが、実はそれ以上に降りる時の方が足の筋肉を使うのだ。

 俺は骨だから筋肉ないけどな。

 おぶってやるよ。

「ありがと!」

 背中に再び柔らかい物が。
 別に、この感触を楽しみたいからおぶっている訳ではないぞ?
 あぁ。決してそんなことは無い。

 俺に疲れはない。
 ハイペースで降りていく。
 身体強化は止めているが、この位は大丈夫。

 魔力をかなり使ってしまったからな。
 あまり戦闘はしたくないな。

 だから五感をフルに使ってモンスターに会わないようなルートを下りていっている。
 そんな中、もう少しで麓だと言うところで何やら騒がしいことに気づいた。

 草むらに隠れて様子を見ると、盗賊がズラッと並んでいたのだ。

 あの時の奴らの仲間か?

「野郎共! 俺達の仲間を殺したやつが山から下りてくるはずだ! 逃がすなよ!?」

「「「おう!」」」

 結構多いな。
 ざっと三十はいるか。

 アイツが親玉かな?
 ここに居られると邪魔だし。
 片付けるか。

「ナイル? だいじょう──────」

バキッ!

 あちゃあ。
 
 大きな枝を踏んでしまったようだ。
 これじゃあ、奇襲はできないな。
 仕方ない。

 ミリアはここで待っててくれ。

「ご、ごめん……」

 いや、どっちにしろやんなきゃなんないんだから気にするな。
 目と耳塞いでた方がいいぞ。

「おい! そこに隠れてるやつ! 出てこい! 俺達の仲間を殺ったやつか!?」

 草むらから出ていく。
 辺りは暗くなっている。
 見づらいだろうが、普通いきなり骸骨が出てきたらビックリするだろう。

「うおぉ!? なんだ!? 骸骨!?」

「おいおい! なんだよ!?」

 盗賊達はざわつきながら全員が後ろに少し下がる。

「カカカカカ」

 ついでに笑ってみた。

「なんだコイツ!? 殺れ!」

「驚かせやがって!」

 近くの男が斬りかかってきた。
 指で切っ先を掴み捻りながら腕を叩く。
 これは骨だからこその戦法なので、良い子は真似をしないように。

 落とした剣を拾う。
 武器ゲットっと。

 拾った剣で首をはねる。
 盗賊らしくちょっと湾曲しているシャムシールと呼ばれる剣である。

 これもこれで片刃だからなぁ。
 使い方考えないとな。

「やりやがったなぁ!? スケルトン風情が!」

 雪崩のように盗賊達が迫ってくる。
 足をかけて転ばすと迫り来る盗賊の方へ蹴り飛ばした。

「うおあぁぁぁ!」

 何人かを巻き込んで倒れ込む。
 これで勢いは削いだ。
 一人一人斬り裂いて行く。

 盗賊なんぞ、生かしておいてもいい事なんてないだろう。
 どんどん切り伏せていく。

 迫り来る刃をこちらも刃をぶつけてやり合う。
 弾いた隙をついて袈裟斬り。
 倒れた盗賊を蹴り飛ばして奥に進んでいく。

 はぁ。時間がねぇ。
 仕方ない。

 ストロング流剣術 柔剣術
「カタタ(静寂《しじま》)」

 剣をダランと自然体に構え、五感、いや、六感で周辺の情報を整理する。
 この体でも前世で習得した技は再現できるようだ。

 覚えた技は魂に刻まれているのだろうか。
 それは俺が技を放つことで証明されるのではないだろうか。

 二時の方向。
 九時の方向。
 六時の方向。

 次々と迫り来る盗賊を斬り伏せて行く。
 俺の周りには盗賊が群がっていた。

 どこにどう斬りかかってくるか。
 それが瞬時にわかる。
 最小限で避けて斬る。

「おいおい! スケルトンだぞ!? 何やってんだよ!?」

「コイツやべぇっす!」

「いいからさっさと始末しろ!」

「全員でかかれ!」

 一気に全員でかかってきた。

 ストロング流剣術 幻剣術
「カタカカ(月影《つきかげ》)」

 俺の気配は闇に紛れる。

「あれ!? おい! スケルトンは!?」

「どこ行きやがった!?」

「おい! さが──────」

 突如、首が無くなる。

「どうなって──────」

 首が切り裂かれる。
 横のヤツは足を斬ってもがいてる所を頭を踏み砕く。
 足を引っ張り引きずり倒して斬り裂く。

 気づけば最後はリーダー格の男しか残っていなかった。

「なっ!? おい。金と女なら腐るほどあ──────」

 ストロング流剣術 剛剣術
「カタタ(紫電《しでん》)」

 縮地でリーダー格の目の前に肉薄し!勢いを利用しての斬撃を放つ。

 その男は上半身が下半身と別れ、倒れた。

 はぁぁぁ。
 このままでいっか。
 時間ないし。

 ミリアの元に行くと耳を抑えて目をつぶっているミリアが居た。
 トントンと肩を叩き。
 こちらを向いたので手で丸を作る。

 ミリア、もう終わったぞ。
 ちょっと沢山死体があるけど、放っておいて街に戻ろう。

「うん! 目をつぶって走る!」

 それだと転ぶ。
 手を握って。
 俺が案内する。

「わかった!」

 ミリアの手を取ると死体のエリアを抜けるまで案内した。
 森を抜けた所で立ち止まる。

 ここまでくりゃ大丈夫かな。
 もういいぞ。

「うん! ナイル、有難う! じゃあ、街まで行こっか!」

 ここから街までは半日だ。
 ギリギリ間に合うはず。

 ミリア、走るぞ。
 乗れ。

「えっ? うん」

 おぶると街へと走ることにした。
 なんだか、間に合うか心配だ。
 着いたら花から薬を作ってもらわないといけないし。

 果たして、間に合うのだろうか。
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