私が産んだ子は誰の子なのでしょう?

しゃーりん

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ブランシェはアンゼムと前を向いて共に歩む決意をした。

アンゼムが浮気した事実は消えない。
ブランシェが八か月間、行方不明だった事実も消えない。

社交界では、アンゼムがリンゼと再婚するのではないかと噂されていたというし、見つかったブランシェが離婚することなく表に出てくることをよく思わない貴族もいるはず。 

それでも、何も悪いことをしていないので堂々とするつもりでいる。


義両親もブランシェを受け入れてくれている。

頼りないアンゼムにはブランシェのような、しっかりした女性がいなければ後を任せられないと婚約者時代から言われていた。 

そういう意味では、図々しく強引なリンゼを義母が追い出さずに後妻候補として置いていたのもわからなくはない。 

リンゼが義母のお気に召す女性となっていたら、ブランシェは元の居場所に戻れなかったと思う。

リンゼが妄想癖のある嘘つき女で助かった。
 



ブランシェが見つかったことは徐々に広まっていった。

騎士たちとも話し合い、ブランシェは『赤子と共に監禁されていた』ということになった。
赤子の世話をしていたと誤認されるように。

間違ってはいない。お腹の中にいたグレースを世話していたようなものなのだから。

赤子が誰の子かが不明で、ブランシェに懐いているためエメック侯爵家でお世話をしているということになっている。


ブランシェが妊娠していたことは騎士数人とエメック侯爵家の使用人の多くが知っているため、箝口令を敷いてもいつかはバレるかもしれない。

特に、解雇した侍女たちは噂を広める可能性がある。
しかし、グレースがブランシェの子ではないと証明できるため、嘘つき呼ばわりされるのは彼女たちになるというわけである。

魔術で子供を腹に移したなど、誰も想像しないし、知られていないことなのだから。
 

こうしてブランシェは、お茶会や夜会に顔を出して”元気”な姿を見せ始めた。




「ご無事でよかったですわ。お変わりない姿を見て安心しました。」

「ありがとう。」


ここまではどの夫人も同じ。
ここから、二手に分かれる。

他愛ない話や八か月の間にあった変化を教えてくれる夫人と、夫の浮気の話や監禁時の実情を探ろうとする夫人か。


「旦那様の愛人、追い出したのですって?さすが、ブランシェ様ですわねぇ。」


この夫人は後者だった。
まぁ、性格上、そうだとは思っていた。目と口で面白がっているのだとわかる。


「愛人?あぁ、あの妄想癖のある侍女のことですわね。彼女に感化された他の侍女まで義母に歯向かうような言動が見られるようになったので、纏めて解雇せざるを得ない状況になってしまって。
お気をつけてくださいね、嘘を真実だと思い込まされないように、関わってはダメですよ?」
 

解雇された侍女たちは、エメック侯爵家の話をして雇ってもらおうと動き回っているらしい。

リンゼに至っては、アンゼムに側にいてほしいと縋られたのに、ブランシェが怖くて殺される前に逃げ出したのだとペラペラと嘘を話しているという。

ブランシェの話ばかりにならないよう、リンゼや侍女たちが動き回っているのを放置していたが、そろそろ我慢の限界だからリンゼの家に抗議し、守秘義務違反をした元侍女たちは捕らえると義母が言っていた。
 

「おっほほほ……。関わりませんわ、そんな、怪しい解雇された侍女なんて。ええ。雇いませんとも。」


顔が引き攣っているわ。侍女として雇う前に、情報源としてお金でも払ったのかしら。


 

 
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