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しおりを挟むララベルの養父でエカテリーナの父でもある公爵は既に亡くなっていた。
密約を交わした相手の前国王も亡くなっていることから、王太子とララベルの女の子は後継者にはならず、王女としてどこかに嫁ぐことになり、後継者は王太子の21歳年下の弟バーミルに決まった。
国王ウラジールから王太子ベンジャミン、その次がバーミルである。
ウラジールが51歳の時、病に倒れてベンジャミンが国王陛下、バーミルが王太子になった。
ウラジールは52歳で亡くなったが、妻であるブライディアはまだ30歳。
しかも王太子の実母である。
ブライディアは子供を2人出産した後から本格的に改革案を出し、多くが認められてきた。
ウラジールが国王陛下であるときに王城で働く相談役のような立場を得ることができ、それは既に確たる地位を得ていることで、ウラジールが亡くなった後も働くことができた。
ベンジャミンは父が亡くなった後、ブライディアに秘密の愛人にならないかと持ち掛けた。
つまり、ララベルには知られたくないということだ。
ベンジャミンは父の側妃になったブライディアを見た時、物凄く後悔した。
どうして側妃を受け入れなかったのか、と。
ベンジャミンは、父と祖父の尻ぬぐいのような真実の愛を貫くつもりでいた。
ララベルに愛情はある。
しかし、体形は好みではなかった。
母であるラフィーナが身近にいたのだ。女性とはあんな体形になると思っていた。
しかし、ララベルは凹凸が乏しいのだ。
ララベルの母であるエカテリーナもそうであり、エカテリーナの母である公爵夫人もそうだった。
つまり、私の娘も……
要するに、父も祖父も凹凸の乏しい女性と婚約解消し、凹凸の素晴らしい女性を選んだのだ。
なんで自分だけ許されないんだ?
せっかく父の真実の愛を貶めて、口車に乗せて側妃を娶らせたというのに、その父の側妃に一目惚れするなんて。
しかし、父が亡くなってチャンスが回ってきた。
真実の愛を貫いているように見せているため、側妃も愛妾も受け入れていない。
ブライディアを秘密の愛人にできれば、周りの目も誤魔化せていいと思った。
ブライディアの答えは………
『ウラジール様に真実の愛はあげたの。3度目の正直って喜んでくれたわ。
そして、先に旅立つ自分の代わりに私専用の男娼を用意してくれたの。
体が寂しくなったら相手をしてもらえって。
彼のことは息子も娘も知っているわ。もちろん侍女たちもね。
だから、愛人は必要ないの。』
実はブライディアはウラジールから、『ベンジャミンが誘ってくるかもしれない』と聞いていた。
愛人になりたければなればいいとも言われた。
だけど、『ララベルとも良い関係を築いているのに、なぜベンジャミンを選ぶ必要があるのか。
それならば傍目からは愛人に見えるような仕事に役立つ者が欲しい。』
そう言うと、男娼…ではなくブライディアの手足になって動く男を紹介してくれたのだ。
もう誰とも、体の関係を持つ気はない。ウラジールが愛してくれた体を忘れたくないから。
男娼のフリをした男は、元貴族で今は平民。
平民の生活やどういう待遇があれば仕事がしやすいかなどを調べて貰ったりしている。
つまり、仕事の一環とベンジャミン除けであった。
ブライディアは王太子である息子バーミルが国王陛下になった時、相談役を降りて静かに暮らすことを望んだ。
そして、ウラジールが亡くなった52歳で同じように亡くなった。
ウラジールのブライディアとの3度目の真実の愛は小説になるほど人々に人気だった。
紆余曲折してようやく辿り着けた美しい愛に感動し、涙する人が続出したからである。
一方、ちゃんと子供の頃からの真実の愛を貫いていたベンジャミンは、それが当然のことだと思われているために人々の娯楽とはならなかったのである。
ベンジャミンが真実の愛を貫いたことを最後に、王族は真実の愛という言葉を婚約者や妻に言うことはなくなった。
真実の愛で縛られるのはもうごめんだとベンジャミンが言ったから………
<終わり>
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