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プロローグ
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【毎週日曜日・更新】
全然、エッチじゃないところからスタート。
本編は真衣ちゃん視点です。
ファンティア等でも同時公開しています。
***
どんな業種でも『嫌な客』というのは必ず居るものだ。
オイルマッサージ店で働いていると、特に風俗店と勘違いして入って来る客が後を絶たない。
僕が店長をしている店舗は、男性のお客様が9割のオイルマッサージ店だ。
回春マッサージとよく誤解されるが、エッチなサービスなどはない健全なお店。ホームページにもしっかり記載している。
でも、メニューページのイメージ画像は男性になっているし、セラピストは女性だけを採用している。
オーナー曰く「女性専用のオイルマッサージ店は多いけど、男性も通える健全なお店は少ないからウチはそこを狙う」と言って男性が入りやすい店構えにしたそうだ。
エッチなサービスは無いが、制服は男性ウケを狙っていると思う。短いスカートに見える上着、黒いズボンはかなりタイトで肉感的だ。
オーナーが女性じゃなかったら、スタッフから何か言われてもおかしくない気がしている。
少しグレーゾーンにしている効果もあるのか、お店の稼働率は上々。オーナーが経営しているオイルマッサージ店は、僕が任されている店舗を含めて3店舗あるけど、どこも繁盛しているようだ。
ただ、スタッフの入れ替わりは結構ある。
冒頭でも話したように「風俗店」と勘違いしてくる客が減らないからだ。
受付を担当する男性スタッフは大丈夫だが、女性セラピストはセクハラ客にメンタルをやられる子も多い。
それをケアするのも僕の仕事だったりする。
「はぁ… 」
閉店後の事務所内で深い溜息が聴こえた。
溜息の主は田所真衣ちゃん。
真衣ちゃんは小柄で美人というよりは可愛い感じの女の子。普段は舞台役者をしているらしく、施術に入っている時の姿勢がとても綺麗だ。
ピンと伸びた背筋からは変な力みは感じられず、手のひら全体に圧がかかるように自分の体重をしっかりと乗せている。体感が良いのかな?
僕も体感は気にして筋トレするようにしているけど、現役でセラピストをしていた頃のようには筋肉も付かなくなったな。
最近は事務作業に追われる毎日で、座っている時間が長くなったせいか腰痛に悩まされている。
あ、これはスタッフたちには内緒ね。
少し話が逸れてしまったけど、彼女の溜息の理由は僕が一番知っている。
今日、風俗店と勘違いしたお客に理不尽なクレームを受けたからだ。
施術の途中で彼女が事務所に顔を出したから、中断しなければ危ない程のクソ客なのだとすぐに分かって対応した。
僕に対しても「スタッフの教育不足だ」とか「金を払うレベルじゃない」とか色々言ってきたから、真衣ちゃん本人にも酷いことを言ったのだろう。
そりゃ気持ちも沈んで当然だ。
新人研修は僕が直接おこなっているから、真衣ちゃんも僕が教えた教え子だ。
最終の技術チェックも問題なく、新人にしては上手な方だった。
もう半年の経験もあるし、指名のお客様も増えている。
言い掛かりなのは明らかだったが、言われた時の悪感が簡単に消えることは無いし、自分に何の落ち度もないと分かっていても暴言を吐かれれば心は深く傷つく。
勿論、個人差はあると思うけど、人の心はそんなに丈夫じゃない… と僕は思っている。
こういう時、僕は誰かに「大丈夫だよ」って言って欲しいんだ。
だから僕は、彼女に声を掛けた。
――― 真衣ちゃん、君は大丈夫だよ。
全然、エッチじゃないところからスタート。
本編は真衣ちゃん視点です。
ファンティア等でも同時公開しています。
***
どんな業種でも『嫌な客』というのは必ず居るものだ。
オイルマッサージ店で働いていると、特に風俗店と勘違いして入って来る客が後を絶たない。
僕が店長をしている店舗は、男性のお客様が9割のオイルマッサージ店だ。
回春マッサージとよく誤解されるが、エッチなサービスなどはない健全なお店。ホームページにもしっかり記載している。
でも、メニューページのイメージ画像は男性になっているし、セラピストは女性だけを採用している。
オーナー曰く「女性専用のオイルマッサージ店は多いけど、男性も通える健全なお店は少ないからウチはそこを狙う」と言って男性が入りやすい店構えにしたそうだ。
エッチなサービスは無いが、制服は男性ウケを狙っていると思う。短いスカートに見える上着、黒いズボンはかなりタイトで肉感的だ。
オーナーが女性じゃなかったら、スタッフから何か言われてもおかしくない気がしている。
少しグレーゾーンにしている効果もあるのか、お店の稼働率は上々。オーナーが経営しているオイルマッサージ店は、僕が任されている店舗を含めて3店舗あるけど、どこも繁盛しているようだ。
ただ、スタッフの入れ替わりは結構ある。
冒頭でも話したように「風俗店」と勘違いしてくる客が減らないからだ。
受付を担当する男性スタッフは大丈夫だが、女性セラピストはセクハラ客にメンタルをやられる子も多い。
それをケアするのも僕の仕事だったりする。
「はぁ… 」
閉店後の事務所内で深い溜息が聴こえた。
溜息の主は田所真衣ちゃん。
真衣ちゃんは小柄で美人というよりは可愛い感じの女の子。普段は舞台役者をしているらしく、施術に入っている時の姿勢がとても綺麗だ。
ピンと伸びた背筋からは変な力みは感じられず、手のひら全体に圧がかかるように自分の体重をしっかりと乗せている。体感が良いのかな?
僕も体感は気にして筋トレするようにしているけど、現役でセラピストをしていた頃のようには筋肉も付かなくなったな。
最近は事務作業に追われる毎日で、座っている時間が長くなったせいか腰痛に悩まされている。
あ、これはスタッフたちには内緒ね。
少し話が逸れてしまったけど、彼女の溜息の理由は僕が一番知っている。
今日、風俗店と勘違いしたお客に理不尽なクレームを受けたからだ。
施術の途中で彼女が事務所に顔を出したから、中断しなければ危ない程のクソ客なのだとすぐに分かって対応した。
僕に対しても「スタッフの教育不足だ」とか「金を払うレベルじゃない」とか色々言ってきたから、真衣ちゃん本人にも酷いことを言ったのだろう。
そりゃ気持ちも沈んで当然だ。
新人研修は僕が直接おこなっているから、真衣ちゃんも僕が教えた教え子だ。
最終の技術チェックも問題なく、新人にしては上手な方だった。
もう半年の経験もあるし、指名のお客様も増えている。
言い掛かりなのは明らかだったが、言われた時の悪感が簡単に消えることは無いし、自分に何の落ち度もないと分かっていても暴言を吐かれれば心は深く傷つく。
勿論、個人差はあると思うけど、人の心はそんなに丈夫じゃない… と僕は思っている。
こういう時、僕は誰かに「大丈夫だよ」って言って欲しいんだ。
だから僕は、彼女に声を掛けた。
――― 真衣ちゃん、君は大丈夫だよ。
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