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魔王side
しおりを挟むスー、スーと寝息を立てるルリに、自然と笑みがこぼれた。
起こさないようにそっと涙の後を拭い、後ろで呆然としているクラルを見た。
「クラル」
「あ、はい」
名前を呼ばれ、珍しく慌てたのか持っていたコスピーノの残りを落とした。
「あ、申し訳ございません」
その事に即座に謝り、コスピーノを慌てて拾っていた。
「ああ
それより、痛みを感じるようにするにはどうすればいい」
痛みは感じない方がいいが、そうすることで色々と支障が起きるだろう
「・・それは、
申し訳ございません、そのような事例は今までなかった事ですので憶測にすぎませんが、よろしいでしょうか」
クラルは少しの沈黙の後、言いづらそうな顔をしながらそう言った。
「ああ」
憶測でも、可能性があるのなら聞いた方がいいだろう
「はい
恐らく、ルリ様は治癒の力が強いのかと思います」
クラルはルリの方をチラリと見てからそう答えた。
「ああ、それはルリに魔力を与える時にそう感じた
だが、ルリの魔力が制御できていないことと関係があるのか?」
「ええ、恐らくですが
一番の問題は、ルリ様の精神的なダメージが大きいからだと思います
体力が回復してからになりますが、一度、ルリ様の魔力をみた方が良いかもしれません」
「ふむ、そうだな」
確かに、確認する必要があるか・・・
「では一度私は戻ることに致します
目の治療の方はルリ様次第になりますが、魔王様恐れながらお伝え願えるでしょうか」
「ああ」
「ありがとうございます
では失礼致します」
クラルはそう言って、部屋を出て行った。
治癒力が高いか・・・
治癒魔法を使えるものは限られている
あいつらが神子を召喚したのは、大方治癒魔法を使える者でも召喚したかったのだろう
あいつらの国には治癒魔法を使える者は、10人にも満たないと聞いた
それにその者たちの魔力量は少ないとも
あいつらが神子と言っていた騒がしいあいつは、恐らく何の能力も持たない奴だっただろうな
魔力をそれ程感じなかった
それを踏まえると、神子はルリになる、のか
ルリの魔力量は平均よりかは多い方だ
それに加え、自己治癒能力が高い
クラルよりかは優れた治癒力を持っている事は明らかだろう
そんな事を考えながらルリの寝顔を暫く見た後、仕事をするために隣の部屋に戻った。
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