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ミランダは…泣いた。
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ミランダは控えの間に入って、顔を歪ませた。
「侍女まで…人払いするなんて…良い話ではないのは間違いないってことだわ。」
体に悪寒が走り、震える体を抱きしめると、(大丈夫。叔父様がロザリーの手を離すはずはないわ…大丈夫)と、そう何度も口にして、心に言い聞かせながら、国王、王太子、そしてルシアン王子の3人がいる部屋のノブに手をかけた。
だが、中から聞こえる話に…言い聞かせていた言葉が凍りつき…そしてノブにかけていた手までも、凍りついたように固まった。
「ルシアン、話は聞いたか?」
王太子の問いにルシアンは頷くと
「えぇ、ローラン国のジョーダン伯爵から直接。」
「それほど…ローラン国は迷走しているのか?」
父である国王の言葉に、ルシアンは顔を歪めながら
「ローラン王が悪魔に魂を売ったことは、すぐに国内に広がり、今や収拾がつかない状態だそうです。」
ルシアンの言葉に、王太子は眉間に皺を寄せ
「だからと言って!なぜおまえなのだ?!ローラン王には子はいなかったが、異母兄弟は腐るほどいたはずだ。その中から、次の王を選べはよいではないか?ジョーダン伯爵は、ローラン王の治世を支えた一角の人物だと思う。だが…ローラン国の支柱だったローラン王が、悪魔に魂を売ったと大陸中に噂が広がり、今やローラン国は政情不安定だ。そんな中…なぜお前がローラン国を立て直さなければならない。お前はこのブラチフォードの第二王子だ。そんなお前が、なぜ他国の苦労を背負わなければならない!そんな必要はない。」
「兄上…。」
自分を思ってくれる王太子の言葉に、ルシアンは胸を熱くしたが、母の顔が頭を過ぎり…ルシアンは唇を噛んだ。
そんなルシアンを見ながら、ブラチフォード王は…苦笑すると
「母の祖国だから、欲深い輩にこれ以上荒らされたくはない。」
口にするのを躊躇うルシアンの心の声を、ブラチフォード王が代わりにそう口にし、ルシアンは大きく目を見開いた。
「そう…思う心もあるのだろう?ルシアン。」
「わ、私は…」
戸惑うルシアンにブラチフォード王は
「それに、おまえがローラン国を治めるとなれば、わが国にとっても良い事だ。」
「父上!!」
「王太子…そう怒鳴るな。」
王はそう言って微笑むと、ルシアンを見つめ
「この国は…お前にとって生きづらくはないか?王大后や王妃がいない今、あからさまにお前を蔑む者はおらぬだろうが、だがこの国は神と同じ淡い色合いを持つ自分らを…神の子孫などと嘯く輩はまだ多くおる。私はお前の母をその偏見から守れなくて…苦しませた。だがローラン国ならそんなくだらない差別はないし、お前ほどの才があるなら、私はお前はきっと良い国王となれると思う。」
「なにを言っておいでなのです!」
「事実を言っておる。」
「ルシアンを政情不安定なローラン国に、それも王として祭り上げられれば…命を狙われるのは必然!そんなところに、わが国の利になるからやるつもりだと仰るのですか!!」
「なぁ王太子よ。このままルシアンほどの才に長けた王子を…この国で飼い殺すつもりか?」
その言葉に、王太子は顔を真っ赤にし
「か、飼い殺しだと言われるのですか?!ルシアンには、ミランダの右腕となって、この国をより強く、より大きくするために必要な男だと言うのは…いけないことなのですか?!いくら…生母のスミラ様がローラン国の王家の血筋とはいえ、ルシアンはこのブラチフォード国の王子です。ローラン国の民に、貴族に、信用を得て、国を治めるのなら…ローラン国の女性と結婚以外に道があるとは思えません!だがローラン国の女性と例え結婚しても、ローラン国のジョーダン伯爵のように、諸手をあげてルシアンを迎え入れる者ばかりではないはず!…そんなところに、愛する女をあきらめても行くほどの価値があるのですか?!」
王太子はそう一気にいって、顔を歪め
「ルシアンは…王家に生まれながら、幼い頃から苦労ばかりだった。一度はこの国のために、私やミランダの為に、この国を出てようとまでしてくれた。だが!あの時とは違う!この国でルシアンは、ようやく愛する女を見つけたのです。幸せを見つけたのです!ようやく…ルシアンが…見つけた幸せを…あきらめろと…!」
「ぁ、兄上!!」
「これ以上ルシアンに苦労を背負わせるおつもりなのですか!…飼い殺し…むしろ……国のために愛する女をあきらめろと言っている父上のほうが…むごいことをなさる!」
王太子の言葉に、王は微笑むと
「王太子…お前は本当に優しい男だ。腹違いの弟をこれほど大事に思ってくれているのだな。だが…私がもしルシアンの立場ならローラン国へ行く。ルシアン…お前はどうしたい?お前の望みはなんだ?」
ブラチフォード王は、ルシアンの赤い瞳を、その燃えるような赤い瞳の中にある思いを見ていた。
ルシアンは小さく笑うと…
「父上は…ミランダ同様に人の心の色が見えることを失念しておりました。」
ブラチフォード王はクスリと笑うと、
「ローラン国が手に入るのなら掴み取れ。お前なら、ローラン国の貴族たちを黙らせて、国を治めることが出来るはずだ。」
「御意。」
「ルシアン!お前は…なにを」
王太子の戸惑う顔に、ルシアンは少し潤んだ赤い瞳を揺らしながら
「兄上…私はブラチフォード国の利になる事も、確かに考えております、ですが…その為だけに、ローラン国へ乗り込むわけではありません。幼くして母を亡くした私には、母との思い出が少ないからでしょうか。いつも母を思い浮かべる時は…あの日、母が血に染まったあの姿なんです。」
「ルシアン…」
「…ぁ…」
ブラチフォード王は、ルシアンの名を呼び俯き、王太子は言葉が見つからず…小さく叫んだ。
ルシアンは自分の言葉でブラチフォード王と王太子に、これ以上暗い気持ちになってもらいたくなくて、精一杯笑みを浮かべ、
「だから、母が生まれ育った国が…母そのもののように思えるのです。だから…守りたい。守れることができうる立場と力があるのなら…守りたいと」
「だが…どうするのだ?好きなのだろう?お前は…あの…ウィンスレット侯爵の…」
王太子の言葉に、扉の向こうで聞いていたミランダの瞳は…大きな涙の粒を零していた。
ルシアンはそう言った王太子に微笑むと、なぜだかブラチフォード王に
「つきましては、陛下にお願いがございます。」
「ルシアン?」
「政情が不安定なローラン国に行くにあたって、腕の良い者が必要です。どうか…私にウィンスレット侯爵家のシリルと、そして…その姉のロザリーを一緒に連れてゆくことをお許しください。」
ブラチフォード王は大きな声で笑い出すと
「…なるほど…シリルも一緒にか…それでウィンスレット侯爵家を救うつもりか。では…ロザリーは何のために?」
「もちろん、妻としてです。」
「ローラン国の民や、貴族は…それを受け入れると思うか?」
「受け入れさせます!父上が…お前なら、ローラン国の貴族たちを黙らせて、国を治めることが出来るはずだと仰ってくださったではないですか。」
「手ごわい王が…現れたな。」
そう言って、また笑い出したブラチフォード王に、王太子も…クスリと笑い
「誠に…」と言って、ルシアンの肩を叩き笑った。
ルシアンは父とそして兄を見つめ…その視線を扉へと移し、
「そろそろ、よろしいですか?」
と言って、また二人に視線を移すと、ブラチフォード王は微笑み、王太子は頷いた。
ルシアンはにっこり笑うと、扉に向かって大きな声で
「ミランダ!悪いがお前のお気に入りのシリルとロザリーは、俺が貰いうけた!」
ガタン!!!
扉は大きな音を立てて開くと、ミランダが転がるように飛び出してきたが、その歩みはゆっくりで、ようやくルシアンに近づいたが、何も言わず、ムスッとした顔で抱きついた。
だがその顔はだんだんと泣き顔に変わり
「もう!もう!…心配したんだから!…バカ~!」
と、叫ぶように言うと、堪えていた涙をポロポロと零し、何度も、何度もルシアンの胸を叩き始めた。
そんなミランダをルシアンは抱きしめ、輝くような銀色の髪に頬を寄せ「すまない。」と口にすると、ミランダの泣き声はより大きくなっていった。
「侍女まで…人払いするなんて…良い話ではないのは間違いないってことだわ。」
体に悪寒が走り、震える体を抱きしめると、(大丈夫。叔父様がロザリーの手を離すはずはないわ…大丈夫)と、そう何度も口にして、心に言い聞かせながら、国王、王太子、そしてルシアン王子の3人がいる部屋のノブに手をかけた。
だが、中から聞こえる話に…言い聞かせていた言葉が凍りつき…そしてノブにかけていた手までも、凍りついたように固まった。
「ルシアン、話は聞いたか?」
王太子の問いにルシアンは頷くと
「えぇ、ローラン国のジョーダン伯爵から直接。」
「それほど…ローラン国は迷走しているのか?」
父である国王の言葉に、ルシアンは顔を歪めながら
「ローラン王が悪魔に魂を売ったことは、すぐに国内に広がり、今や収拾がつかない状態だそうです。」
ルシアンの言葉に、王太子は眉間に皺を寄せ
「だからと言って!なぜおまえなのだ?!ローラン王には子はいなかったが、異母兄弟は腐るほどいたはずだ。その中から、次の王を選べはよいではないか?ジョーダン伯爵は、ローラン王の治世を支えた一角の人物だと思う。だが…ローラン国の支柱だったローラン王が、悪魔に魂を売ったと大陸中に噂が広がり、今やローラン国は政情不安定だ。そんな中…なぜお前がローラン国を立て直さなければならない。お前はこのブラチフォードの第二王子だ。そんなお前が、なぜ他国の苦労を背負わなければならない!そんな必要はない。」
「兄上…。」
自分を思ってくれる王太子の言葉に、ルシアンは胸を熱くしたが、母の顔が頭を過ぎり…ルシアンは唇を噛んだ。
そんなルシアンを見ながら、ブラチフォード王は…苦笑すると
「母の祖国だから、欲深い輩にこれ以上荒らされたくはない。」
口にするのを躊躇うルシアンの心の声を、ブラチフォード王が代わりにそう口にし、ルシアンは大きく目を見開いた。
「そう…思う心もあるのだろう?ルシアン。」
「わ、私は…」
戸惑うルシアンにブラチフォード王は
「それに、おまえがローラン国を治めるとなれば、わが国にとっても良い事だ。」
「父上!!」
「王太子…そう怒鳴るな。」
王はそう言って微笑むと、ルシアンを見つめ
「この国は…お前にとって生きづらくはないか?王大后や王妃がいない今、あからさまにお前を蔑む者はおらぬだろうが、だがこの国は神と同じ淡い色合いを持つ自分らを…神の子孫などと嘯く輩はまだ多くおる。私はお前の母をその偏見から守れなくて…苦しませた。だがローラン国ならそんなくだらない差別はないし、お前ほどの才があるなら、私はお前はきっと良い国王となれると思う。」
「なにを言っておいでなのです!」
「事実を言っておる。」
「ルシアンを政情不安定なローラン国に、それも王として祭り上げられれば…命を狙われるのは必然!そんなところに、わが国の利になるからやるつもりだと仰るのですか!!」
「なぁ王太子よ。このままルシアンほどの才に長けた王子を…この国で飼い殺すつもりか?」
その言葉に、王太子は顔を真っ赤にし
「か、飼い殺しだと言われるのですか?!ルシアンには、ミランダの右腕となって、この国をより強く、より大きくするために必要な男だと言うのは…いけないことなのですか?!いくら…生母のスミラ様がローラン国の王家の血筋とはいえ、ルシアンはこのブラチフォード国の王子です。ローラン国の民に、貴族に、信用を得て、国を治めるのなら…ローラン国の女性と結婚以外に道があるとは思えません!だがローラン国の女性と例え結婚しても、ローラン国のジョーダン伯爵のように、諸手をあげてルシアンを迎え入れる者ばかりではないはず!…そんなところに、愛する女をあきらめても行くほどの価値があるのですか?!」
王太子はそう一気にいって、顔を歪め
「ルシアンは…王家に生まれながら、幼い頃から苦労ばかりだった。一度はこの国のために、私やミランダの為に、この国を出てようとまでしてくれた。だが!あの時とは違う!この国でルシアンは、ようやく愛する女を見つけたのです。幸せを見つけたのです!ようやく…ルシアンが…見つけた幸せを…あきらめろと…!」
「ぁ、兄上!!」
「これ以上ルシアンに苦労を背負わせるおつもりなのですか!…飼い殺し…むしろ……国のために愛する女をあきらめろと言っている父上のほうが…むごいことをなさる!」
王太子の言葉に、王は微笑むと
「王太子…お前は本当に優しい男だ。腹違いの弟をこれほど大事に思ってくれているのだな。だが…私がもしルシアンの立場ならローラン国へ行く。ルシアン…お前はどうしたい?お前の望みはなんだ?」
ブラチフォード王は、ルシアンの赤い瞳を、その燃えるような赤い瞳の中にある思いを見ていた。
ルシアンは小さく笑うと…
「父上は…ミランダ同様に人の心の色が見えることを失念しておりました。」
ブラチフォード王はクスリと笑うと、
「ローラン国が手に入るのなら掴み取れ。お前なら、ローラン国の貴族たちを黙らせて、国を治めることが出来るはずだ。」
「御意。」
「ルシアン!お前は…なにを」
王太子の戸惑う顔に、ルシアンは少し潤んだ赤い瞳を揺らしながら
「兄上…私はブラチフォード国の利になる事も、確かに考えております、ですが…その為だけに、ローラン国へ乗り込むわけではありません。幼くして母を亡くした私には、母との思い出が少ないからでしょうか。いつも母を思い浮かべる時は…あの日、母が血に染まったあの姿なんです。」
「ルシアン…」
「…ぁ…」
ブラチフォード王は、ルシアンの名を呼び俯き、王太子は言葉が見つからず…小さく叫んだ。
ルシアンは自分の言葉でブラチフォード王と王太子に、これ以上暗い気持ちになってもらいたくなくて、精一杯笑みを浮かべ、
「だから、母が生まれ育った国が…母そのもののように思えるのです。だから…守りたい。守れることができうる立場と力があるのなら…守りたいと」
「だが…どうするのだ?好きなのだろう?お前は…あの…ウィンスレット侯爵の…」
王太子の言葉に、扉の向こうで聞いていたミランダの瞳は…大きな涙の粒を零していた。
ルシアンはそう言った王太子に微笑むと、なぜだかブラチフォード王に
「つきましては、陛下にお願いがございます。」
「ルシアン?」
「政情が不安定なローラン国に行くにあたって、腕の良い者が必要です。どうか…私にウィンスレット侯爵家のシリルと、そして…その姉のロザリーを一緒に連れてゆくことをお許しください。」
ブラチフォード王は大きな声で笑い出すと
「…なるほど…シリルも一緒にか…それでウィンスレット侯爵家を救うつもりか。では…ロザリーは何のために?」
「もちろん、妻としてです。」
「ローラン国の民や、貴族は…それを受け入れると思うか?」
「受け入れさせます!父上が…お前なら、ローラン国の貴族たちを黙らせて、国を治めることが出来るはずだと仰ってくださったではないですか。」
「手ごわい王が…現れたな。」
そう言って、また笑い出したブラチフォード王に、王太子も…クスリと笑い
「誠に…」と言って、ルシアンの肩を叩き笑った。
ルシアンは父とそして兄を見つめ…その視線を扉へと移し、
「そろそろ、よろしいですか?」
と言って、また二人に視線を移すと、ブラチフォード王は微笑み、王太子は頷いた。
ルシアンはにっこり笑うと、扉に向かって大きな声で
「ミランダ!悪いがお前のお気に入りのシリルとロザリーは、俺が貰いうけた!」
ガタン!!!
扉は大きな音を立てて開くと、ミランダが転がるように飛び出してきたが、その歩みはゆっくりで、ようやくルシアンに近づいたが、何も言わず、ムスッとした顔で抱きついた。
だがその顔はだんだんと泣き顔に変わり
「もう!もう!…心配したんだから!…バカ~!」
と、叫ぶように言うと、堪えていた涙をポロポロと零し、何度も、何度もルシアンの胸を叩き始めた。
そんなミランダをルシアンは抱きしめ、輝くような銀色の髪に頬を寄せ「すまない。」と口にすると、ミランダの泣き声はより大きくなっていった。
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