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Chap.2 ちいさなアリス
Chap.2 Sec.6
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「サクラさん」
別室から戻ってきたセトがサクラに声をかけた。ソファに横座りして端末を見ていたサクラは、彼に一瞥を投げる。
「どうかしたか?」
「ウサギの……いや、あいつの話だけどよ。あいつ、本当に娼婦なんだよな?」
「そう聞いている」
サクラは退屈そうな表情で答えを返した。セトは納得がいかないように横を向いた。
「——それが?」
「いや……あいつ、その……出血してる……みてぇだったから。……やってるときは……気づかなかった、けど……終わったあと、……血がついたから。まさか、初めてじゃねぇか、なんて思って……」
「摩擦による出血じゃないか?」
「乱暴には、してねぇぞ。それなりに……配慮は、した」
「お前の主張だけ聞いても、私に判断はできない。気に障るなら、次からは潤滑剤でも使えばいいだろう?」
「そういう問題じゃねぇよ」
咬み付くような低いセトの声音に、イシャンが何事かと振り返った。サクラは依然としてそっけない態度で、すでにセトから目を外し端末を操作している。
ただ、サクラもまたひどく冷ややかな声音で応えた。
「処女を装うための薬品もあるそうだよ。お前の気を惹きたくて使ったのなら成功だな」
「……それなら、べつに。俺は確認したいだけだ」
「あれは娼婦だ。本人がそう言ったのだから、それ以上確認しようがない」
「………………」
「あまりあれに振り回されないよう頼むよ」
「……なら、あいつが逃げちまっても、俺らは追わなくていいんだよな?」
「帰るまでに逃亡したのならば、要らない。ただ、お前が逃がした場合は、それなりの対応をしようか」
「……どういう意味だ?」
「私は連れて帰ると言ったからな。逃がすなら、私に背くということだろう?」
「なんでだよ? 俺が連れてこなきゃ、なんの関係もなかった人間だろ? 俺が逃がしたところで、なんになるんだ……?」
「——私に、反抗するのか?」
支配するような重圧のなか、響くその声は温度がない。閉鎖的な空間が、まるで牢獄のような息苦しさを生じさせる。セトもイシャンも、言葉を発せずに黙した。
§
「おはよぉう。そろそろ夜ごはんかな~? ……ん?」
ティアと共にリビングに入ろうとしたところ、急に立ち止まった彼の背中に頭をぶつけた。「あっごめんね?」ティアは顔だけ振り返って謝罪のような言葉をつぶやき、すぐに前を向いて進んだ。
「どうかしたの?」
ティアの背中越しにのぞく。ソファに座ったままのサクラと、その前に立つセト。ディスプレイの前にいたイシャンはイスごと回して身体をこちらに向けている。
セトがティアの方を向いた。
「なんでもねぇよ」
「そう? じゃ、ご飯食べる?」
「要らねぇ」
「どこ行くの?」
「シャワー」
私たちの横を通るセト。すれ違いざまに目が合ったが、すぐにそらされた。
「サクラさんは?ご飯食べる?」
「そうだな」
「イシャン君は?」
「……頂こう」
「うん。では、僕がメル君にお願いして作ってもらった、とっておきのコテージパイを出してあげよう」
ティアが大仰な感じで何か宣言した。しかし、サクラもイシャンも反応がない。
「もぅ。ノリが悪いな~?」
不満そうな顔のティアは、キッチンへと戻っていった。どことなく居場所がないリビングよりも、キッチンのほうが絶対に気が楽だと思えて私もついていくことにした。もしかすると夕食の準備かもしれない。手伝えることはないだろうか、という下心もある。
「あれ? アリスちゃんも来ちゃった?」
『夕食ですか?』
「そうだよ。もしかして手伝いたい?」
食べる仕草をしてみせると、頷いてもらえた。おいで、と手招きされる。
冷凍庫のような戸棚から取り出された、大きな深さのある角皿。ホワイトソースのような白いものが入っている。なかなかのボリュームだ。それを別の機械にいれてから、ティアは何か唱えた。電子レンジみたいなものだろうか。あるいはオーブンだろうか。
「野菜のスープも出そうね。あのひとたち、放っておくと加工食しか食べないから」
次にティアは、金属のような光沢がある円柱状の容器を棚から抜き出した。
「アリスちゃん、そこのカップを4つ出して」
指を4本立てて、彼は私の背後の棚を示した。示された場所にあったマグカップをひとつずつ取り出し、カップボードの上にならべる。
ティアはそれらに、とくとくと液体を注いでいった。スープだと思う。すでに温かいようだ。
「それ、あっちに持っていってね」
「はい」
運ぶよう指示されたと思う。マグカップを2つずつ、往復してリビングのテーブルへと運んだ。
戻ると、プレートとカトラリーセットが入ったケースを渡される。それも運んでいく。
「これは熱いから、近づかないでね」
大きな角皿はティアが運んでいった。こうばしいポテトのような匂いがする。それからミートソースのような香りも。
テーブルにはイシャンとティアが向かい合うように奥に座った。イシャンがディスプレイ側で、ティアはキッチン側。サクラも当然座るのだろう。私は座っていいものかどうか、分からずに立ち尽くす。
「どうしたの? 座っていいよ?」
ティアが着席を促すようにイスを引いてくれる。彼の隣に座った。サクラもソファから立ち上がって、私の向かいに着席した。正面でサクラと向かい合うのは緊張する。サクラのほうは私のことなど、まったく目に入れていないが。
サクラから逃げるように下を向いていると、ティアが、両の掌を顔の前でぱちんと合わせた。
「はい、では手を合わせて。いただきます」
「「いただきます」」
え。
思わず、顔をあげて全員の姿を見回してしまった。イシャンは中央にあった角皿から手許のプレートに中身を取り分け始める。サクラはスープを手に取る。ティアと目が合う。
「ん?」
「……いただきます?」
「うん、そう。上手だね」
手を合わせて同じ動作をしてみせると、褒めるように頷いてもらえた。
まただ。また、知ってる言葉。
〈おかえり〉や〈ただいま〉と同じ、私の知っている文化の言葉。なぜだろう。彼らには似合わない言葉のはずなのに、とてもなじんでいる。
「ほら、アリスちゃんも食べて」
私のプレートに、ティアが角皿のなかの食べ物をよそってくれた。いただきますの疑問を残したまま、目の前の美味しい香りにひかれて、フォークを手に取る。
勝手にグラタンかと思っていたが、違った。チーズがない。ホワイトソースだと思っていた物も異なる。ミートソースで味つけられたひき肉を敷きつめた上に、なめらかなマッシュポテトを重ねて焼いた物。味はハンバーグにすこし似ている。こんがりと焼けたマッシュポテトがひき肉と合わさると、ポテトの甘さが加わってとても美味しい。甘いスパイスも効いている。ひき肉には野菜も含まれている気がする。
「オイシイ」
「でしょ?」
美味しいことを伝えると、ティアが嬉しそうに笑ってくれた。彼が作った物なのだろうか。それか、彼の好物なのかも。
ご機嫌なティアとは対照的に、サクラとイシャンは粛々としている。イシャンにいたってはサクラの顔色をうかがっているようにも見える。どことなく雰囲気がおかしい。ティアは気づいていないのか……それとも、気づかないフリを、しているのだろうか。
ティアが、サクラを見た。
「サクラさん、もっとしっかり食べないと」
「必要ない」
どうやらサクラは食べ終わったらしい。使い終えた食器を持って立ち上がった。
食欲がないのか、スープしか口にしていない。ティアはそんなサクラを咎めている気がする。けれど、サクラは気にせず食器を片付けに行ってしまった。残されたティアが、小さく吐息した。
「……倒れても、僕は知らないよ」
ティアにしては冷淡な声音が、よそよそしく響いた。そのまま、気にせずに彼は食事を続ける。
なにか言いたげな顔をしたイシャンと、私の視線が重なった。彼はとりわけ何も言うことなく、視線をはずして食事を再開した。
もうすぐ、また、夜がくる。
別室から戻ってきたセトがサクラに声をかけた。ソファに横座りして端末を見ていたサクラは、彼に一瞥を投げる。
「どうかしたか?」
「ウサギの……いや、あいつの話だけどよ。あいつ、本当に娼婦なんだよな?」
「そう聞いている」
サクラは退屈そうな表情で答えを返した。セトは納得がいかないように横を向いた。
「——それが?」
「いや……あいつ、その……出血してる……みてぇだったから。……やってるときは……気づかなかった、けど……終わったあと、……血がついたから。まさか、初めてじゃねぇか、なんて思って……」
「摩擦による出血じゃないか?」
「乱暴には、してねぇぞ。それなりに……配慮は、した」
「お前の主張だけ聞いても、私に判断はできない。気に障るなら、次からは潤滑剤でも使えばいいだろう?」
「そういう問題じゃねぇよ」
咬み付くような低いセトの声音に、イシャンが何事かと振り返った。サクラは依然としてそっけない態度で、すでにセトから目を外し端末を操作している。
ただ、サクラもまたひどく冷ややかな声音で応えた。
「処女を装うための薬品もあるそうだよ。お前の気を惹きたくて使ったのなら成功だな」
「……それなら、べつに。俺は確認したいだけだ」
「あれは娼婦だ。本人がそう言ったのだから、それ以上確認しようがない」
「………………」
「あまりあれに振り回されないよう頼むよ」
「……なら、あいつが逃げちまっても、俺らは追わなくていいんだよな?」
「帰るまでに逃亡したのならば、要らない。ただ、お前が逃がした場合は、それなりの対応をしようか」
「……どういう意味だ?」
「私は連れて帰ると言ったからな。逃がすなら、私に背くということだろう?」
「なんでだよ? 俺が連れてこなきゃ、なんの関係もなかった人間だろ? 俺が逃がしたところで、なんになるんだ……?」
「——私に、反抗するのか?」
支配するような重圧のなか、響くその声は温度がない。閉鎖的な空間が、まるで牢獄のような息苦しさを生じさせる。セトもイシャンも、言葉を発せずに黙した。
§
「おはよぉう。そろそろ夜ごはんかな~? ……ん?」
ティアと共にリビングに入ろうとしたところ、急に立ち止まった彼の背中に頭をぶつけた。「あっごめんね?」ティアは顔だけ振り返って謝罪のような言葉をつぶやき、すぐに前を向いて進んだ。
「どうかしたの?」
ティアの背中越しにのぞく。ソファに座ったままのサクラと、その前に立つセト。ディスプレイの前にいたイシャンはイスごと回して身体をこちらに向けている。
セトがティアの方を向いた。
「なんでもねぇよ」
「そう? じゃ、ご飯食べる?」
「要らねぇ」
「どこ行くの?」
「シャワー」
私たちの横を通るセト。すれ違いざまに目が合ったが、すぐにそらされた。
「サクラさんは?ご飯食べる?」
「そうだな」
「イシャン君は?」
「……頂こう」
「うん。では、僕がメル君にお願いして作ってもらった、とっておきのコテージパイを出してあげよう」
ティアが大仰な感じで何か宣言した。しかし、サクラもイシャンも反応がない。
「もぅ。ノリが悪いな~?」
不満そうな顔のティアは、キッチンへと戻っていった。どことなく居場所がないリビングよりも、キッチンのほうが絶対に気が楽だと思えて私もついていくことにした。もしかすると夕食の準備かもしれない。手伝えることはないだろうか、という下心もある。
「あれ? アリスちゃんも来ちゃった?」
『夕食ですか?』
「そうだよ。もしかして手伝いたい?」
食べる仕草をしてみせると、頷いてもらえた。おいで、と手招きされる。
冷凍庫のような戸棚から取り出された、大きな深さのある角皿。ホワイトソースのような白いものが入っている。なかなかのボリュームだ。それを別の機械にいれてから、ティアは何か唱えた。電子レンジみたいなものだろうか。あるいはオーブンだろうか。
「野菜のスープも出そうね。あのひとたち、放っておくと加工食しか食べないから」
次にティアは、金属のような光沢がある円柱状の容器を棚から抜き出した。
「アリスちゃん、そこのカップを4つ出して」
指を4本立てて、彼は私の背後の棚を示した。示された場所にあったマグカップをひとつずつ取り出し、カップボードの上にならべる。
ティアはそれらに、とくとくと液体を注いでいった。スープだと思う。すでに温かいようだ。
「それ、あっちに持っていってね」
「はい」
運ぶよう指示されたと思う。マグカップを2つずつ、往復してリビングのテーブルへと運んだ。
戻ると、プレートとカトラリーセットが入ったケースを渡される。それも運んでいく。
「これは熱いから、近づかないでね」
大きな角皿はティアが運んでいった。こうばしいポテトのような匂いがする。それからミートソースのような香りも。
テーブルにはイシャンとティアが向かい合うように奥に座った。イシャンがディスプレイ側で、ティアはキッチン側。サクラも当然座るのだろう。私は座っていいものかどうか、分からずに立ち尽くす。
「どうしたの? 座っていいよ?」
ティアが着席を促すようにイスを引いてくれる。彼の隣に座った。サクラもソファから立ち上がって、私の向かいに着席した。正面でサクラと向かい合うのは緊張する。サクラのほうは私のことなど、まったく目に入れていないが。
サクラから逃げるように下を向いていると、ティアが、両の掌を顔の前でぱちんと合わせた。
「はい、では手を合わせて。いただきます」
「「いただきます」」
え。
思わず、顔をあげて全員の姿を見回してしまった。イシャンは中央にあった角皿から手許のプレートに中身を取り分け始める。サクラはスープを手に取る。ティアと目が合う。
「ん?」
「……いただきます?」
「うん、そう。上手だね」
手を合わせて同じ動作をしてみせると、褒めるように頷いてもらえた。
まただ。また、知ってる言葉。
〈おかえり〉や〈ただいま〉と同じ、私の知っている文化の言葉。なぜだろう。彼らには似合わない言葉のはずなのに、とてもなじんでいる。
「ほら、アリスちゃんも食べて」
私のプレートに、ティアが角皿のなかの食べ物をよそってくれた。いただきますの疑問を残したまま、目の前の美味しい香りにひかれて、フォークを手に取る。
勝手にグラタンかと思っていたが、違った。チーズがない。ホワイトソースだと思っていた物も異なる。ミートソースで味つけられたひき肉を敷きつめた上に、なめらかなマッシュポテトを重ねて焼いた物。味はハンバーグにすこし似ている。こんがりと焼けたマッシュポテトがひき肉と合わさると、ポテトの甘さが加わってとても美味しい。甘いスパイスも効いている。ひき肉には野菜も含まれている気がする。
「オイシイ」
「でしょ?」
美味しいことを伝えると、ティアが嬉しそうに笑ってくれた。彼が作った物なのだろうか。それか、彼の好物なのかも。
ご機嫌なティアとは対照的に、サクラとイシャンは粛々としている。イシャンにいたってはサクラの顔色をうかがっているようにも見える。どことなく雰囲気がおかしい。ティアは気づいていないのか……それとも、気づかないフリを、しているのだろうか。
ティアが、サクラを見た。
「サクラさん、もっとしっかり食べないと」
「必要ない」
どうやらサクラは食べ終わったらしい。使い終えた食器を持って立ち上がった。
食欲がないのか、スープしか口にしていない。ティアはそんなサクラを咎めている気がする。けれど、サクラは気にせず食器を片付けに行ってしまった。残されたティアが、小さく吐息した。
「……倒れても、僕は知らないよ」
ティアにしては冷淡な声音が、よそよそしく響いた。そのまま、気にせずに彼は食事を続ける。
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