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第十六章 遊戯に翻弄される魔塔主と弟子と騎士と聖女
394.炎の精霊王
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その場に溢れた炎から逃れるように、魔物使いも慌ただしく動き回ってやがる。
まあ、いきなり俺の指からドラゴンが出てきたように見えるだろうからな。
「炎のドラゴンだと?」
「ああ。お願いを聞いてくれるってよ。助かるぜ。早速だが、サラマンダー。とりあえず場を綺麗にしてくれ。人間はそのままで頼む。ついでに召喚陣も焦がしてもらって構わねぇぜ」
「承知した」
サラマンダーは大きな炎の翼をはためかせ、炎の渦を巻き起こすと的確に合成獣たちだけ焦がしていく。
サラマンダーは上空にいるから、地上の様子がよく見えるはずだ。
だから、俺の計算通りならば合成獣たちのみを一掃し召喚陣を消し去ることが可能という訳だ。
「そうすりゃ、俺はさっさとお前を黙らせることができるわけだ」
「なっ! ッグ……」
サラマンダーに気を取られていた魔物使いを黙らせるために、ある程度ぶちあてれば効果のある魔法を唱えた。
重力の雨は指定範囲に重力を追加して降らせていく魔法で、一か所に収縮する重力縛りより雑に使用しても効果が出やすい。
他にも身動きできないようにできる魔法はあるが、状態異常系は相手によっちゃ効きづらいときもあるからな。
重力系は魔力の扱いに長けているのもそうだが、魔力消費量がやや高いってのも使いづらい点ではある。
俺は特に問題ねぇが、ひよっこだと一発使うとへろへろになっちまうかもな。
「ったく、手間取らせやがって。お前程度じゃ相手にならねぇんだよ。面倒なのはお前の合成獣の能力くらいだからな」
「うぐ……」
かろうじて息はさせてやってるが、本当はこの場で始末したいくらいだ。
レイヴンが嫌がると思って我慢してやってるだけで、宝石が手に入るならコイツの命もどうでもいい。
ただ、生かしとけば一応は交渉材料になる可能性はあるからな。
俺が魔物使いを沈黙させている間に、サラマンダーは俺の狙い通りに辺りの合成獣たちを炎で焦がしていく。
ついでに飛んだ炎が鉄格子の向こう側に存在していたらしい召喚陣すら燃やし尽くしてくれたようだな。
新たに合成獣が湧いてくることもなくなって、そこら中合成獣たちの死骸だらけだ。
「炎が消えればレイヴンの姿が見えるはずだ。サラマンダー、白髪の男と俺の可愛い弟子は確認できるか?」
「精霊使いが荒い男だ。白髪の男は喚いているだけで、お前の求める子の近くにいる」
「レイヴンは無事か?」
「すぐに分かる。安心しろ」
サラマンダーが言うなら間違いなさそうだ。
指し示された方向へ走る。
黒焦げの合成獣たちの間を縫って通り抜けると、見慣れた愛しい黒髪が見えてくる。
「レイヴン!」
「あ……テオ?」
周りの状況よりも、レイヴンの無事に安堵しちまった。
遠目で見ても怪我はなさそうだ。
コッチも辺りには戦いの跡が残ってるし、レイヴンの側にはちまいヤツと美しい青い者がふわりと浮かんでいる。
色々聞きたいことはあるが、まずはレイヴンの側に行くのが優先だ。
「なぜだ! なぜ勝てない? ヴルペも敗れたというのか?」
「誰だそれ。もしかして魔物使いのことか。残念ながら生きてるがな」
レイヴンの方も戦いは終わったみてぇだし、白髪の男は戦意喪失ってところか。
他も……どうやら敵意はないみてぇだな。
「空高く赤いドラゴンが現れたと思ったら……あちらはもしかして?」
「サラマンダーだとよ。で、そっちは……」
俺が説明を求めると、レイヴンがまず美しい方を指し示した。
サラマンダーとは真逆の青で統一された身体に、頭にはドラゴンと似通った角。
で、美しく長い髪と美人すぎる見た目に人魚の身体ときたら……。
「こちらはウンディーネ様です。俺が困っているときに現れて助けてくださいました」
「で、さっきからお前にくっついてる見た目がごちゃついてる子どもは?」
ウンディーネは何となく分かっていたが、ちまいのはどう見てもおかしい。
灰色の長い髪は人間っぽいが、ネコ耳とコウモリの翼、先が三角の紫尻尾を持つ少女か。
コイツに関しては、目の前でわめいてる男を問いただした方が早そうだな。
まあ、いきなり俺の指からドラゴンが出てきたように見えるだろうからな。
「炎のドラゴンだと?」
「ああ。お願いを聞いてくれるってよ。助かるぜ。早速だが、サラマンダー。とりあえず場を綺麗にしてくれ。人間はそのままで頼む。ついでに召喚陣も焦がしてもらって構わねぇぜ」
「承知した」
サラマンダーは大きな炎の翼をはためかせ、炎の渦を巻き起こすと的確に合成獣たちだけ焦がしていく。
サラマンダーは上空にいるから、地上の様子がよく見えるはずだ。
だから、俺の計算通りならば合成獣たちのみを一掃し召喚陣を消し去ることが可能という訳だ。
「そうすりゃ、俺はさっさとお前を黙らせることができるわけだ」
「なっ! ッグ……」
サラマンダーに気を取られていた魔物使いを黙らせるために、ある程度ぶちあてれば効果のある魔法を唱えた。
重力の雨は指定範囲に重力を追加して降らせていく魔法で、一か所に収縮する重力縛りより雑に使用しても効果が出やすい。
他にも身動きできないようにできる魔法はあるが、状態異常系は相手によっちゃ効きづらいときもあるからな。
重力系は魔力の扱いに長けているのもそうだが、魔力消費量がやや高いってのも使いづらい点ではある。
俺は特に問題ねぇが、ひよっこだと一発使うとへろへろになっちまうかもな。
「ったく、手間取らせやがって。お前程度じゃ相手にならねぇんだよ。面倒なのはお前の合成獣の能力くらいだからな」
「うぐ……」
かろうじて息はさせてやってるが、本当はこの場で始末したいくらいだ。
レイヴンが嫌がると思って我慢してやってるだけで、宝石が手に入るならコイツの命もどうでもいい。
ただ、生かしとけば一応は交渉材料になる可能性はあるからな。
俺が魔物使いを沈黙させている間に、サラマンダーは俺の狙い通りに辺りの合成獣たちを炎で焦がしていく。
ついでに飛んだ炎が鉄格子の向こう側に存在していたらしい召喚陣すら燃やし尽くしてくれたようだな。
新たに合成獣が湧いてくることもなくなって、そこら中合成獣たちの死骸だらけだ。
「炎が消えればレイヴンの姿が見えるはずだ。サラマンダー、白髪の男と俺の可愛い弟子は確認できるか?」
「精霊使いが荒い男だ。白髪の男は喚いているだけで、お前の求める子の近くにいる」
「レイヴンは無事か?」
「すぐに分かる。安心しろ」
サラマンダーが言うなら間違いなさそうだ。
指し示された方向へ走る。
黒焦げの合成獣たちの間を縫って通り抜けると、見慣れた愛しい黒髪が見えてくる。
「レイヴン!」
「あ……テオ?」
周りの状況よりも、レイヴンの無事に安堵しちまった。
遠目で見ても怪我はなさそうだ。
コッチも辺りには戦いの跡が残ってるし、レイヴンの側にはちまいヤツと美しい青い者がふわりと浮かんでいる。
色々聞きたいことはあるが、まずはレイヴンの側に行くのが優先だ。
「なぜだ! なぜ勝てない? ヴルペも敗れたというのか?」
「誰だそれ。もしかして魔物使いのことか。残念ながら生きてるがな」
レイヴンの方も戦いは終わったみてぇだし、白髪の男は戦意喪失ってところか。
他も……どうやら敵意はないみてぇだな。
「空高く赤いドラゴンが現れたと思ったら……あちらはもしかして?」
「サラマンダーだとよ。で、そっちは……」
俺が説明を求めると、レイヴンがまず美しい方を指し示した。
サラマンダーとは真逆の青で統一された身体に、頭にはドラゴンと似通った角。
で、美しく長い髪と美人すぎる見た目に人魚の身体ときたら……。
「こちらはウンディーネ様です。俺が困っているときに現れて助けてくださいました」
「で、さっきからお前にくっついてる見た目がごちゃついてる子どもは?」
ウンディーネは何となく分かっていたが、ちまいのはどう見てもおかしい。
灰色の長い髪は人間っぽいが、ネコ耳とコウモリの翼、先が三角の紫尻尾を持つ少女か。
コイツに関しては、目の前でわめいてる男を問いただした方が早そうだな。
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