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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子
295.見回り中に
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魔塔に戻った俺たちは、陛下から下された命を遂行するために魔法使いたちを招集する。
説明役は俺ではなくレイヴンだ。
俺が説明すると妙に緊張しやがって青ざめるヤツもいるし、単純に嚙み砕いて分かりやすく説明するのは面倒なんだよな。
その点、俺の弟子は優秀な真面目君だから人望も厚いし、説明役にピッタリだ。
「――以上。私と魔塔主様を含む隊を組む。今回は街中での戦闘になることも考慮し、基本は捜索の精度が高い者で探索をし、怪しい物、気配、気になることを見つけたら逐次報告。戦闘に入る場合は基本補助、私と魔塔主様で攻撃魔法を使用する」
レイヴンが俺に話を締めろと目くばせしてくる。
たまにはちゃんと言えってことかぁ? 仕方ねぇ。
「……と、言うわけだ。お前ら、気合い入れろよ。怪しいヤツを見つけたらすぐに報告しろ。俺とレイヴンが攻撃を始めたら、手の空いてる者は街をうろついてる騎士を呼んでこい」
説明を引き継いで追加事項を述べた後、見回りに出る隊を組む者たちを選出する。
少人数で隊を組み、基本の戦闘は俺とレイヴンが担当する。
街中での戦闘は、騎士が主体で動くことになってるからな。
魔法使い隊は、補助魔法が得意な者を選抜して探索をし、結果を俺らに報告する流れだ。
「補佐官様、よろしくお願いします」
「あぁ、よろしく頼む」
レイヴンに挨拶している若いのも、確か補助系が得意なヤツだ。
聞いた話だと、判断能力に優れていて補助魔法をかける順番もきちんと理解しているらしい。
補佐官殿から、将来性と伸びしろのありそうなヤツは報告を受けてるからな。
魔法は年齢じゃねぇから、経験が浅くてもやる気があるヤツはどんどん実地に出た方がいい。
魔法使いは前線に立つことが少ないし、基本は後方支援だからな。
攻撃魔法も重要だが、いかに味方の被害を少なくする補助ができるのかってのも重要だ。
慣れてりゃ前線で戦う騎士の後ろから攻撃魔法をぶっ放してもいいが、騎士を巻き込んだら意味がねぇ。
……ってのが正論だが、俺からしたら魔法が飛んで来たら避けろって話なんだよな。
俺やレイヴンくらい上手く操ることができれば、魔法使いとしても一人前なんだが。
最近はきな臭い召還陣のせいでバタついてるが、魔法使いが出張る事案なんてねぇのが現状だ。
いざというときのために鍛錬するくらいしか、今はやることがねぇからな。
+++
俺とレイヴン、他八名の魔法使いで城下町へと向かいまずは通りを普通に歩く。
現在の時間は夕刻すぎ。
少しずつ暗くなる時間帯だ。
『こちらは異常ありません』
「引き続き西通りを――師匠、私たちは裏通りを……」
レイヴンが通信用の耳飾りの魔道具で他の魔法使いと連絡を取りあっているのを聞きながら、俺も捜索を広範囲にかけて異常がないか探る。
急に足が止まったレイヴンの視線の先を見遣ると、小さな影がふっと路地裏へと消えるのが見えた。
「あれは……? おかしい、この道の先に住居なんてないはずなのに」
言うと同時に、レイヴンは何も言わずに走り出しちまった。
「おい、先走るんじゃねぇって。レイヴン! ――いいか? お前らはさっさと騎士を呼んでこい。この道から出て左に真っすぐ走ると、副団長のウルガーがいるはずだ」
「分かりました!」
捜索で見つけていた、この場所から一番近くて使えるヤツのところに行くように指示をだす。
俺の後ろからついてきていた魔法使い二名は、慌てて言われた通りに背中を向けて必死に走り出す。
確認して俺もすぐに、レイヴンの後を追いかけた。
説明役は俺ではなくレイヴンだ。
俺が説明すると妙に緊張しやがって青ざめるヤツもいるし、単純に嚙み砕いて分かりやすく説明するのは面倒なんだよな。
その点、俺の弟子は優秀な真面目君だから人望も厚いし、説明役にピッタリだ。
「――以上。私と魔塔主様を含む隊を組む。今回は街中での戦闘になることも考慮し、基本は捜索の精度が高い者で探索をし、怪しい物、気配、気になることを見つけたら逐次報告。戦闘に入る場合は基本補助、私と魔塔主様で攻撃魔法を使用する」
レイヴンが俺に話を締めろと目くばせしてくる。
たまにはちゃんと言えってことかぁ? 仕方ねぇ。
「……と、言うわけだ。お前ら、気合い入れろよ。怪しいヤツを見つけたらすぐに報告しろ。俺とレイヴンが攻撃を始めたら、手の空いてる者は街をうろついてる騎士を呼んでこい」
説明を引き継いで追加事項を述べた後、見回りに出る隊を組む者たちを選出する。
少人数で隊を組み、基本の戦闘は俺とレイヴンが担当する。
街中での戦闘は、騎士が主体で動くことになってるからな。
魔法使い隊は、補助魔法が得意な者を選抜して探索をし、結果を俺らに報告する流れだ。
「補佐官様、よろしくお願いします」
「あぁ、よろしく頼む」
レイヴンに挨拶している若いのも、確か補助系が得意なヤツだ。
聞いた話だと、判断能力に優れていて補助魔法をかける順番もきちんと理解しているらしい。
補佐官殿から、将来性と伸びしろのありそうなヤツは報告を受けてるからな。
魔法は年齢じゃねぇから、経験が浅くてもやる気があるヤツはどんどん実地に出た方がいい。
魔法使いは前線に立つことが少ないし、基本は後方支援だからな。
攻撃魔法も重要だが、いかに味方の被害を少なくする補助ができるのかってのも重要だ。
慣れてりゃ前線で戦う騎士の後ろから攻撃魔法をぶっ放してもいいが、騎士を巻き込んだら意味がねぇ。
……ってのが正論だが、俺からしたら魔法が飛んで来たら避けろって話なんだよな。
俺やレイヴンくらい上手く操ることができれば、魔法使いとしても一人前なんだが。
最近はきな臭い召還陣のせいでバタついてるが、魔法使いが出張る事案なんてねぇのが現状だ。
いざというときのために鍛錬するくらいしか、今はやることがねぇからな。
+++
俺とレイヴン、他八名の魔法使いで城下町へと向かいまずは通りを普通に歩く。
現在の時間は夕刻すぎ。
少しずつ暗くなる時間帯だ。
『こちらは異常ありません』
「引き続き西通りを――師匠、私たちは裏通りを……」
レイヴンが通信用の耳飾りの魔道具で他の魔法使いと連絡を取りあっているのを聞きながら、俺も捜索を広範囲にかけて異常がないか探る。
急に足が止まったレイヴンの視線の先を見遣ると、小さな影がふっと路地裏へと消えるのが見えた。
「あれは……? おかしい、この道の先に住居なんてないはずなのに」
言うと同時に、レイヴンは何も言わずに走り出しちまった。
「おい、先走るんじゃねぇって。レイヴン! ――いいか? お前らはさっさと騎士を呼んでこい。この道から出て左に真っすぐ走ると、副団長のウルガーがいるはずだ」
「分かりました!」
捜索で見つけていた、この場所から一番近くて使えるヤツのところに行くように指示をだす。
俺の後ろからついてきていた魔法使い二名は、慌てて言われた通りに背中を向けて必死に走り出す。
確認して俺もすぐに、レイヴンの後を追いかけた。
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