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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子
296.追いかけた先には
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「いつもなら慎重に行く癖に。何でこういう時には俺を頼らねぇんだ、あの馬鹿弟子は」
舌打ちして裏通りへと飛び出ると、子どもを庇うように抱きしめているレイヴンと、何人かの雇われと思われる賊が囲んでいた。
視界に入った人数は五人。
大した事ねぇな。
レイヴンは、ちょうど人攫いの現場に出くわしたみたいだな。
反射的に魔法を打とうとしたが、遠目で見えたレイヴンの髪の色はブロンドに変化している。
精霊魔法を行使したってことは、何か策があるってことか。
一旦詠唱を止めて、大人しくその場に佇む。
俺の気配に気づいたレイヴンが、同じく変化しているセルリアンブルーの瞳をこちらに向けてきたのが見えた。
『テオ、今、妖精さんに子どもたちが連れていかれた場所を探ってもらってますから。攻撃するのは少しだけ待ってください』
レイヴンが通信魔道具で、俺に小声で語りかけてくる。
俺も同じ耳飾りをしているから、レイヴンとも他の魔法使いとも連絡は取り合うことが可能だ。
全員声は聞こえているはずだが、俺らが話しているときは黙っているように言ってあるから、おとなしく様子を窺って聞き専に回ってるみたいだな。
『ウルガーを呼びにいったヤツ以外、他の魔法使いは俺らが動けるようになるまで待機だ。騎士にも伝えておけ』
俺が小声で指示を伝えると、順番に了解の声が返ってくる。
レイヴンの咄嗟の判断で、早めにケリがつけられそうだな。
無茶したのはあとで説教してやらねぇといけないが。
不可視の存在の妖精だったら、偵察に向いてる。
聖女サマの予知夢通りなら、子どもが掴まってる確実な場所を特定できるだろうし。
人間相手だったら妖精も危ない目にあうこともねぇだろうから、おとなしくレイヴンの言うことを聞いて働くだろ。
そういやレイヴンのことだけ考えてたら、真正面から飛び出しちまったな。
大した事ねぇのは捜索に引っかかった時点で気づいたんだが、賊に存在を気づかれて喉元に剣を向けられる。
どうみてもただのゴロツキどもだし、倒すのは簡単なんだが。
ここは時間稼ぎでもして、弟子の作戦に乗っかってやるか。
両手を挙げて、目の前の男を見下ろす。
「アンタ……魔法使いか?」
「俺のことを知らねぇとは、大したことなさそうだなァ?」
「そっちの綺麗なお兄ちゃんも魔法使いみたいだが、さっきから固まって動けねぇみたいだし。大したことねぇのはそっちだろ?」
「これだから品のないヤツは。命が惜しけりゃさっさとココで何してたか吐いちまえよ」
「どうみても品のないのはアンタだろうが! 喉元掻っ切られたくなけりゃ、引っ込んでろ!」
こんな下品なヤツと一緒にされたくねぇな。
視線を流して、レイヴンの様子を確認する。
『もう少し! もう少しだけ、時間を稼いでください』
レイヴンは必死に語りかけてくる。
精霊魔法は、レイヴンでもまだ制御に時間がかかるから妖精の報告待ちってとこか。
俺が余裕をかましてるってのに、目の前の賊はなんもしてこねぇな。
馬鹿なのか? それともビビッてんのか?
こっちとしちゃあやりやすいから、構わねぇけど。
黙って待ってると、小さく頷く仕草が目の端で見えた。
「お前らさっきからコソコソと……」
「――とりあえず、お前はコレでいいか。凍れ」
至近距離にいた賊の剣に指先で触れ冷気を流し凍らせる。
慌てだしたところで、左の拳を腹に叩き込んだ。
ぐえっという汚い声と共に身体が折れたところで、肘も背中に叩き込んで沈黙させる。
まずは一人。
さぁて、後の奴らはどう料理してやろうか?
舌打ちして裏通りへと飛び出ると、子どもを庇うように抱きしめているレイヴンと、何人かの雇われと思われる賊が囲んでいた。
視界に入った人数は五人。
大した事ねぇな。
レイヴンは、ちょうど人攫いの現場に出くわしたみたいだな。
反射的に魔法を打とうとしたが、遠目で見えたレイヴンの髪の色はブロンドに変化している。
精霊魔法を行使したってことは、何か策があるってことか。
一旦詠唱を止めて、大人しくその場に佇む。
俺の気配に気づいたレイヴンが、同じく変化しているセルリアンブルーの瞳をこちらに向けてきたのが見えた。
『テオ、今、妖精さんに子どもたちが連れていかれた場所を探ってもらってますから。攻撃するのは少しだけ待ってください』
レイヴンが通信魔道具で、俺に小声で語りかけてくる。
俺も同じ耳飾りをしているから、レイヴンとも他の魔法使いとも連絡は取り合うことが可能だ。
全員声は聞こえているはずだが、俺らが話しているときは黙っているように言ってあるから、おとなしく様子を窺って聞き専に回ってるみたいだな。
『ウルガーを呼びにいったヤツ以外、他の魔法使いは俺らが動けるようになるまで待機だ。騎士にも伝えておけ』
俺が小声で指示を伝えると、順番に了解の声が返ってくる。
レイヴンの咄嗟の判断で、早めにケリがつけられそうだな。
無茶したのはあとで説教してやらねぇといけないが。
不可視の存在の妖精だったら、偵察に向いてる。
聖女サマの予知夢通りなら、子どもが掴まってる確実な場所を特定できるだろうし。
人間相手だったら妖精も危ない目にあうこともねぇだろうから、おとなしくレイヴンの言うことを聞いて働くだろ。
そういやレイヴンのことだけ考えてたら、真正面から飛び出しちまったな。
大した事ねぇのは捜索に引っかかった時点で気づいたんだが、賊に存在を気づかれて喉元に剣を向けられる。
どうみてもただのゴロツキどもだし、倒すのは簡単なんだが。
ここは時間稼ぎでもして、弟子の作戦に乗っかってやるか。
両手を挙げて、目の前の男を見下ろす。
「アンタ……魔法使いか?」
「俺のことを知らねぇとは、大したことなさそうだなァ?」
「そっちの綺麗なお兄ちゃんも魔法使いみたいだが、さっきから固まって動けねぇみたいだし。大したことねぇのはそっちだろ?」
「これだから品のないヤツは。命が惜しけりゃさっさとココで何してたか吐いちまえよ」
「どうみても品のないのはアンタだろうが! 喉元掻っ切られたくなけりゃ、引っ込んでろ!」
こんな下品なヤツと一緒にされたくねぇな。
視線を流して、レイヴンの様子を確認する。
『もう少し! もう少しだけ、時間を稼いでください』
レイヴンは必死に語りかけてくる。
精霊魔法は、レイヴンでもまだ制御に時間がかかるから妖精の報告待ちってとこか。
俺が余裕をかましてるってのに、目の前の賊はなんもしてこねぇな。
馬鹿なのか? それともビビッてんのか?
こっちとしちゃあやりやすいから、構わねぇけど。
黙って待ってると、小さく頷く仕草が目の端で見えた。
「お前らさっきからコソコソと……」
「――とりあえず、お前はコレでいいか。凍れ」
至近距離にいた賊の剣に指先で触れ冷気を流し凍らせる。
慌てだしたところで、左の拳を腹に叩き込んだ。
ぐえっという汚い声と共に身体が折れたところで、肘も背中に叩き込んで沈黙させる。
まずは一人。
さぁて、後の奴らはどう料理してやろうか?
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