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第二章 様子見の魔塔主と距離を置く弟子
47.討伐を終えて<レイヴン視点>
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「……捜索でも、他の個体は捉えられない。母親が戦っていた時に気配を消せるほどの能力があるとは思えないから、やはり……自然発生ではなく……」
今のは一体何だったのだろう……?
回らない頭で考える。
暫く思案していると、狼狽える魔法使いの声で漸く我に返る。
肩口を指さして震えているのを見て、また痛みを思い出す。
フード付きのマントをめくり、ローブのベルトに付けていた回復薬を取り出そうとすると、支えてくれていたウルガーが俺の手を止める。
「調査は後回しだ。レイヴン、神官のところまで戻ろう。回復薬でもいいが、神官たちに仕事を与えてやろう。歩けるか?」
「大げさだな。掠り傷だから……っぅ!」
ペチとウルガーが傷口を叩くと、反射的に声をあげてしまう。
何で傷口を叩くのか……。
「あのなぁ……」
「ほらみろ」
ウルガーが俺の訴えを聞き流して、溜め息をつく。
普段は保護魔法をかけるし、魔法使いは後衛だから傷を負うことは少ないのでどうも大げさになってしまう。
騎士の方が怪我も多いだろうし、常に前衛で敵と対峙するから痛みにも強いのかもしれない。
「痛がってるし、我慢するなって。肩貸してやるからさ?……お前たちも一緒に拠点まで戻るぞ!」
負傷した俺と共に、全員拠点まで下がる。
結界の中、ウルガーの声で慌てて寄ってきた神官が俺の怪我を見て回復をかける。
杖の先から溢れ出した白い光が左肩に当てられると、傷口が徐々に塞がっていく。
「これで応急処置にはなるだろ。しかし、あの魔物たち何か普通の魔物とは違う気がする」
「確かに何か不自然だ。より巨大で凶暴性の高いブラックウルフに、かなり俊敏なブラックウルフの子ども。子どもの出てきたタイミング、あれは犬笛の後だったはず」
「聞き間違えじゃないとしたら、人為的な可能性があるっていうことか?」
治療を終わったところでウルガーを見て静かに頷く。
ウルガーも俺と顔を見合わせて、思い当たるものがあるのか鋭く真剣な目線を先程の戦場へと向ける。
「もしかしたら、魔物使いが絡んでいる可能性がある、ということだ」
「一体何の為にこんなことを……」
俺たちはまた先程の死体の場所まで戻り、報告のための調査を始めた。
魔法使いたちが死体からサンプルなどを採取している間、騎士たちも周辺の警護に当たって辺りを警戒していたが、犬笛が聞こえてくることも、さらなる魔物も現れることはなかった。
一通りの調査をすると大分時間が経過したのか森の中が一段と暗くなり、魔力と体力を回復させるために一旦拠点で夜を明かした後、城へと帰還することになった。
今のは一体何だったのだろう……?
回らない頭で考える。
暫く思案していると、狼狽える魔法使いの声で漸く我に返る。
肩口を指さして震えているのを見て、また痛みを思い出す。
フード付きのマントをめくり、ローブのベルトに付けていた回復薬を取り出そうとすると、支えてくれていたウルガーが俺の手を止める。
「調査は後回しだ。レイヴン、神官のところまで戻ろう。回復薬でもいいが、神官たちに仕事を与えてやろう。歩けるか?」
「大げさだな。掠り傷だから……っぅ!」
ペチとウルガーが傷口を叩くと、反射的に声をあげてしまう。
何で傷口を叩くのか……。
「あのなぁ……」
「ほらみろ」
ウルガーが俺の訴えを聞き流して、溜め息をつく。
普段は保護魔法をかけるし、魔法使いは後衛だから傷を負うことは少ないのでどうも大げさになってしまう。
騎士の方が怪我も多いだろうし、常に前衛で敵と対峙するから痛みにも強いのかもしれない。
「痛がってるし、我慢するなって。肩貸してやるからさ?……お前たちも一緒に拠点まで戻るぞ!」
負傷した俺と共に、全員拠点まで下がる。
結界の中、ウルガーの声で慌てて寄ってきた神官が俺の怪我を見て回復をかける。
杖の先から溢れ出した白い光が左肩に当てられると、傷口が徐々に塞がっていく。
「これで応急処置にはなるだろ。しかし、あの魔物たち何か普通の魔物とは違う気がする」
「確かに何か不自然だ。より巨大で凶暴性の高いブラックウルフに、かなり俊敏なブラックウルフの子ども。子どもの出てきたタイミング、あれは犬笛の後だったはず」
「聞き間違えじゃないとしたら、人為的な可能性があるっていうことか?」
治療を終わったところでウルガーを見て静かに頷く。
ウルガーも俺と顔を見合わせて、思い当たるものがあるのか鋭く真剣な目線を先程の戦場へと向ける。
「もしかしたら、魔物使いが絡んでいる可能性がある、ということだ」
「一体何の為にこんなことを……」
俺たちはまた先程の死体の場所まで戻り、報告のための調査を始めた。
魔法使いたちが死体からサンプルなどを採取している間、騎士たちも周辺の警護に当たって辺りを警戒していたが、犬笛が聞こえてくることも、さらなる魔物も現れることはなかった。
一通りの調査をすると大分時間が経過したのか森の中が一段と暗くなり、魔力と体力を回復させるために一旦拠点で夜を明かした後、城へと帰還することになった。
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