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第二章 様子見の魔塔主と距離を置く弟子
46.再びの悪夢になりそうで<レイヴン視点>
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「……ふぅ。さすがにやったよな?」
「……生命活動は止まってる。補助魔法、止め!」
号令かけて、一旦騎士たちにかけていた魔法を解く。
俺は何とかやりきったことにホッと息を吐く。
血飛沫は魔法によって遮られて、騎士たちに怪我はなく無事に倒しきることができた。
――はず、なのだが――
倒したことに安堵していたところで、耳に鋭い音が飛び込んでくる。
「この音は……犬笛!?」
「……来るぞ!」
騎士たちは気配を察知し急に飛び込んできた影に反応して各々が剣を振るい、疲弊した身体を動かして何とか撃退する。
魔力残量が残り少ない魔法使いたちは、反応が一歩遅れて保護魔法の展開ができず、悲鳴があがるばかりでその場から動けない。
その影の動きは俊敏で魔物であることは間違いないが、今は分析する余裕がない。
このままじゃ、また……!
指示する? それとも、俺が魔法を?
指示と詠唱は同時にできない。
どちらを優先すれば――
俺が迷った数秒の遅れで飛び込んできた影への対応に遅れてしまった。
保護魔法の詠唱を始めたけど、魔物の動きの方が素早い。
自分と周辺に展開するには、距離と時間も足りないことに気付く。
「……っ! 間に合わない!」
咄嗟に攻撃魔法に切り替えて、狼狽える魔法使いに自分の身体をぶつけて無理矢理屈ませる。
俺もギリギリのところで屈みながら魔法を放つが、飛び掛かってきた影の牙が左肩を掠めてバランスを崩す。
「放電!」
バランスを崩しながら放った魔法は手のひらから伸びて紫の放電を放ち、そのまま影を包み込んで黒く焦がす。
続けざまに次の詠唱を始めようと口を開いた途端に肩の痛みが襲って集中が途切れてしまった。
次の呪文の詠唱に詰まってしまう。
こんな大したことない傷なのに。
この程度で音を上げるわけには!
なのに、身体がすぐに反応してくれない。
心だけ焦ってしまう。
どうする? どうしたらいい?
この数秒の間に色々考えたがまとまらず、時間がゆっくりと流れていく。
俺は身体を立て直すこともできずに重力のままに地面へと落ちていく。
そんな俺を見逃すはずはなく、影は再び襲いかかってくる。
次は、避けられない。
せめて、詠唱の時間があれば!
俺が覚悟を決めた時、視界に銀色の鎧が飛び込んでくる。
「レイヴンっ! 大丈夫か!?」
動き出した時間の中で――
俺の側に駆けつけたウルガーが素早く反応し、さらに襲いかかる影を返す刃で跳ね飛ばして間に割り込み俺の身体を腕で抱き止める。
こういう時、いつも助けてくれるのはウルガーだ。
視野が広く、俺のことも補佐してくれている。
詠唱がないことで俺の危険を察知して、駆けつけてくれたみたいだ。
ウルガーは、騎士団の中でディートリッヒ様に続いて二番手と言われる力を見せつけて魔物を打ち倒す。
俺はウルガーの腕の中で、怪我一つなく収まっていた。
おかげで何とか最悪の事態は免れたようだ。
「……少し掠めただけだ。襲ってきたのはこれで全部か?」
「あぁ。ブラックウルフの子どもだ。おかしい、どこかに隠れてたとでも言うのか?」
騎士たちと俺が先程ギリギリで放った魔法でかろうじて殲滅し、事態が収まると襲いかかってきたものの正体が分かる。
辺りには小さい個体のブラックウルフの死体が何匹か転がっていた。念の為に魔法で周辺の気配を探る。
「……生命活動は止まってる。補助魔法、止め!」
号令かけて、一旦騎士たちにかけていた魔法を解く。
俺は何とかやりきったことにホッと息を吐く。
血飛沫は魔法によって遮られて、騎士たちに怪我はなく無事に倒しきることができた。
――はず、なのだが――
倒したことに安堵していたところで、耳に鋭い音が飛び込んでくる。
「この音は……犬笛!?」
「……来るぞ!」
騎士たちは気配を察知し急に飛び込んできた影に反応して各々が剣を振るい、疲弊した身体を動かして何とか撃退する。
魔力残量が残り少ない魔法使いたちは、反応が一歩遅れて保護魔法の展開ができず、悲鳴があがるばかりでその場から動けない。
その影の動きは俊敏で魔物であることは間違いないが、今は分析する余裕がない。
このままじゃ、また……!
指示する? それとも、俺が魔法を?
指示と詠唱は同時にできない。
どちらを優先すれば――
俺が迷った数秒の遅れで飛び込んできた影への対応に遅れてしまった。
保護魔法の詠唱を始めたけど、魔物の動きの方が素早い。
自分と周辺に展開するには、距離と時間も足りないことに気付く。
「……っ! 間に合わない!」
咄嗟に攻撃魔法に切り替えて、狼狽える魔法使いに自分の身体をぶつけて無理矢理屈ませる。
俺もギリギリのところで屈みながら魔法を放つが、飛び掛かってきた影の牙が左肩を掠めてバランスを崩す。
「放電!」
バランスを崩しながら放った魔法は手のひらから伸びて紫の放電を放ち、そのまま影を包み込んで黒く焦がす。
続けざまに次の詠唱を始めようと口を開いた途端に肩の痛みが襲って集中が途切れてしまった。
次の呪文の詠唱に詰まってしまう。
こんな大したことない傷なのに。
この程度で音を上げるわけには!
なのに、身体がすぐに反応してくれない。
心だけ焦ってしまう。
どうする? どうしたらいい?
この数秒の間に色々考えたがまとまらず、時間がゆっくりと流れていく。
俺は身体を立て直すこともできずに重力のままに地面へと落ちていく。
そんな俺を見逃すはずはなく、影は再び襲いかかってくる。
次は、避けられない。
せめて、詠唱の時間があれば!
俺が覚悟を決めた時、視界に銀色の鎧が飛び込んでくる。
「レイヴンっ! 大丈夫か!?」
動き出した時間の中で――
俺の側に駆けつけたウルガーが素早く反応し、さらに襲いかかる影を返す刃で跳ね飛ばして間に割り込み俺の身体を腕で抱き止める。
こういう時、いつも助けてくれるのはウルガーだ。
視野が広く、俺のことも補佐してくれている。
詠唱がないことで俺の危険を察知して、駆けつけてくれたみたいだ。
ウルガーは、騎士団の中でディートリッヒ様に続いて二番手と言われる力を見せつけて魔物を打ち倒す。
俺はウルガーの腕の中で、怪我一つなく収まっていた。
おかげで何とか最悪の事態は免れたようだ。
「……少し掠めただけだ。襲ってきたのはこれで全部か?」
「あぁ。ブラックウルフの子どもだ。おかしい、どこかに隠れてたとでも言うのか?」
騎士たちと俺が先程ギリギリで放った魔法でかろうじて殲滅し、事態が収まると襲いかかってきたものの正体が分かる。
辺りには小さい個体のブラックウルフの死体が何匹か転がっていた。念の為に魔法で周辺の気配を探る。
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