84 / 119
第八章 真のハッピーエンディングを目指して
81.下級精霊たちの歓迎
しおりを挟む
カティは前髪を切ったラウディを見て、カッコイイとか言いながらもじもじしてたけど……ラウディが苦笑しながら、カティの頭もポンと一度だけなでた。
ラウディ……カティのことも乗り越えたのかな?
カティは無意識で地雷を踏みぬいたけど、アレでも本人に悪気はなかったはずだ。
まあ、余計なことを言うのと人との距離感が近すぎるのは俺もどうかと思うけどな。
「ラウディ様……! 嬉しいありがとうございますっ!」
カティがラウディに飛びつこうとしたので、俺がそっと間に入って邪魔をする。
「ラウディを驚かすなって。お前はいつもはしゃぎすぎなんだよ」
「ちょっと、ハルが邪魔するのズルくない?」
カティがブーブー言っていると、ヴォルカングがカティの後ろからぎゅうっとカティを抱きしめた。
「いいんだよ、コレで。カティは俺っちのモノだからな」
「ルカンったら……ボク、恥ずかしいよ……」
うわぁ……なんか二人の世界を見せつけられてげんなりしてきた。
他の精霊も微妙な顔をしてるし、シアンはお先にと言い残してさっさといなくなってしまった。
気づけば、他の精霊もそっといなくなってしまっていた。
「……いや、ラウディも真似しなくていいから」
「……」
ルカンに煽られて、ラウディまで俺を後ろから抱きしめはじめたし。
コレ、どういう状況?
「ハルだって、ラウディ様とらぶらぶしてるくせにー。ボクはルカンと仲良く頑張っちゃうんだから!」
「おう……がんばれー」
「おい、もっと心を込めて言えよ! 男だろ?」
「……付き合いきれるか。ほら、ラウディ。行くぞ」
俺が肘でラウディを突くと、ラウディは仕方なくという表情で俺を開放してくれた。
全く……いいんだよ相手につられなくて。
アイツらは炎の如くアツアツみたいだからな。
俺は土の如くじっくりのんびりするのが相応しいと思ってるし。
白の神殿を出ると、今度はわっと下級精霊たちに囲まれた。
一体どうしたんだ?
「ハルさぁん! ラウディ様! お疲れさまでしたぁー」
「よう、ハル。主が迷惑かけてないか? カティに想いを伝えてからどうも浮ついていて、見ているこっちがかゆくて仕方ない」
モグがジャンプして飛びついてくれたので、俺は屈んでキャッチしてから自分の肩へ乗せる。
しゃがんだ体勢のままウルフの背中をなでていると、今度はバードとフェアリーが俺の周りを飛び回って祝福してくれた。
「ハルさん、お疲れ様でした。あと少し頑張ってくださいね。あたしも美味しい料理を作って応援します」
「ハルー! レリオル様もすごく褒めてたよ! 厳しいレリオル様の笑顔……僕たちも久しぶりに見たんだから!」
「そうそう、ハルはすごいよ!」
「すごいー」
俺は飛び回るみんなに、ありがとうと声をかける。
すると、お次はユニコとカラスがやってきた。
カラスとは会うこと自体が久しぶりな気がする。
「ハル、イアリス様と一緒にすごく心配したんだから! でも、元気になって良かった。育成もまた頑張るんだよね? 応援してるよ」
「ハル、久しぶりだな。実はハルのために剣を一振り打ってみた。シアン様がその方がいいだろうとおっしゃってな」
「ユニコ、心配かけてごめんな。カラス、それって俺が持てるものですか?」
俺は立ち上がると、改めてカラスから剣を受け取る。
すると、前に持たせてもらったものより軽くて俺でも振り回せそうな感じがした。
細身の刀剣は、鈍く光って俺の手にピタリと収まる。
俺が感触を確かめると、剣をいれるケースも一緒に渡してくれた。
ベルトを巻くと、腰に剣が付けられるようになるらしい。
「使う場面がないことを祈るが、念のためだ」
「もらってしまっていいのですか? ありがとうございます。今度また手伝いに……」
カラスは俺の話を止めるように、そっと手を突き出した。
一体どうしたんだろう?
ラウディ……カティのことも乗り越えたのかな?
カティは無意識で地雷を踏みぬいたけど、アレでも本人に悪気はなかったはずだ。
まあ、余計なことを言うのと人との距離感が近すぎるのは俺もどうかと思うけどな。
「ラウディ様……! 嬉しいありがとうございますっ!」
カティがラウディに飛びつこうとしたので、俺がそっと間に入って邪魔をする。
「ラウディを驚かすなって。お前はいつもはしゃぎすぎなんだよ」
「ちょっと、ハルが邪魔するのズルくない?」
カティがブーブー言っていると、ヴォルカングがカティの後ろからぎゅうっとカティを抱きしめた。
「いいんだよ、コレで。カティは俺っちのモノだからな」
「ルカンったら……ボク、恥ずかしいよ……」
うわぁ……なんか二人の世界を見せつけられてげんなりしてきた。
他の精霊も微妙な顔をしてるし、シアンはお先にと言い残してさっさといなくなってしまった。
気づけば、他の精霊もそっといなくなってしまっていた。
「……いや、ラウディも真似しなくていいから」
「……」
ルカンに煽られて、ラウディまで俺を後ろから抱きしめはじめたし。
コレ、どういう状況?
「ハルだって、ラウディ様とらぶらぶしてるくせにー。ボクはルカンと仲良く頑張っちゃうんだから!」
「おう……がんばれー」
「おい、もっと心を込めて言えよ! 男だろ?」
「……付き合いきれるか。ほら、ラウディ。行くぞ」
俺が肘でラウディを突くと、ラウディは仕方なくという表情で俺を開放してくれた。
全く……いいんだよ相手につられなくて。
アイツらは炎の如くアツアツみたいだからな。
俺は土の如くじっくりのんびりするのが相応しいと思ってるし。
白の神殿を出ると、今度はわっと下級精霊たちに囲まれた。
一体どうしたんだ?
「ハルさぁん! ラウディ様! お疲れさまでしたぁー」
「よう、ハル。主が迷惑かけてないか? カティに想いを伝えてからどうも浮ついていて、見ているこっちがかゆくて仕方ない」
モグがジャンプして飛びついてくれたので、俺は屈んでキャッチしてから自分の肩へ乗せる。
しゃがんだ体勢のままウルフの背中をなでていると、今度はバードとフェアリーが俺の周りを飛び回って祝福してくれた。
「ハルさん、お疲れ様でした。あと少し頑張ってくださいね。あたしも美味しい料理を作って応援します」
「ハルー! レリオル様もすごく褒めてたよ! 厳しいレリオル様の笑顔……僕たちも久しぶりに見たんだから!」
「そうそう、ハルはすごいよ!」
「すごいー」
俺は飛び回るみんなに、ありがとうと声をかける。
すると、お次はユニコとカラスがやってきた。
カラスとは会うこと自体が久しぶりな気がする。
「ハル、イアリス様と一緒にすごく心配したんだから! でも、元気になって良かった。育成もまた頑張るんだよね? 応援してるよ」
「ハル、久しぶりだな。実はハルのために剣を一振り打ってみた。シアン様がその方がいいだろうとおっしゃってな」
「ユニコ、心配かけてごめんな。カラス、それって俺が持てるものですか?」
俺は立ち上がると、改めてカラスから剣を受け取る。
すると、前に持たせてもらったものより軽くて俺でも振り回せそうな感じがした。
細身の刀剣は、鈍く光って俺の手にピタリと収まる。
俺が感触を確かめると、剣をいれるケースも一緒に渡してくれた。
ベルトを巻くと、腰に剣が付けられるようになるらしい。
「使う場面がないことを祈るが、念のためだ」
「もらってしまっていいのですか? ありがとうございます。今度また手伝いに……」
カラスは俺の話を止めるように、そっと手を突き出した。
一体どうしたんだろう?
343
あなたにおすすめの小説
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。
叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。
幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。
大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。
幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。
他サイト様にも投稿しております。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる