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第八章 真のハッピーエンディングを目指して

81.下級精霊たちの歓迎

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 カティは前髪を切ったラウディを見て、カッコイイとか言いながらもじもじしてたけど……ラウディが苦笑しながら、カティの頭もポンと一度だけなでた。
 ラウディ……カティのことも乗り越えたのかな?
 カティは無意識で地雷を踏みぬいたけど、アレでも本人に悪気はなかったはずだ。
 まあ、余計なことを言うのと人との距離感が近すぎるのは俺もどうかと思うけどな。

「ラウディ様……! 嬉しいありがとうございますっ!」

 カティがラウディに飛びつこうとしたので、俺がそっと間に入って邪魔をする。
 
「ラウディを驚かすなって。お前はいつもはしゃぎすぎなんだよ」
「ちょっと、ハルが邪魔するのズルくない?」

 カティがブーブー言っていると、ヴォルカングがカティの後ろからぎゅうっとカティを抱きしめた。

「いいんだよ、コレで。カティは俺っちのモノだからな」
「ルカンったら……ボク、恥ずかしいよ……」

 うわぁ……なんか二人の世界を見せつけられてげんなりしてきた。
 他の精霊も微妙な顔をしてるし、シアンはお先にと言い残してさっさといなくなってしまった。
 気づけば、他の精霊もそっといなくなってしまっていた。

「……いや、ラウディも真似しなくていいから」
「……」

 ルカンに煽られて、ラウディまで俺を後ろから抱きしめはじめたし。
 コレ、どういう状況?

「ハルだって、ラウディ様とらぶらぶしてるくせにー。ボクはルカンと仲良く頑張っちゃうんだから!」
「おう……がんばれー」
「おい、もっと心を込めて言えよ! 男だろ?」
「……付き合いきれるか。ほら、ラウディ。行くぞ」

 俺が肘でラウディを突くと、ラウディは仕方なくという表情で俺を開放してくれた。
 全く……いいんだよ相手につられなくて。
 アイツらは炎の如くアツアツみたいだからな。
 俺は土の如くじっくりのんびりするのが相応しいと思ってるし。
 
 白の神殿を出ると、今度はわっと下級精霊たちに囲まれた。
 一体どうしたんだ?

「ハルさぁん! ラウディ様! お疲れさまでしたぁー」
「よう、ハル。あるじが迷惑かけてないか? ハルに想いを伝えてからどうもうわついていて、見ているこっちがかゆくて仕方ない」

 モグがジャンプして飛びついてくれたので、俺は屈んでキャッチしてから自分の肩へ乗せる。
 しゃがんだ体勢のままウルフの背中をなでていると、今度はバードとフェアリーが俺の周りを飛び回って祝福してくれた。

「ハルさん、お疲れ様でした。あと少し頑張ってくださいね。あたしも美味しい料理を作って応援します」
「ハルー! レリオル様もすごく褒めてたよ! 厳しいレリオル様の笑顔……僕たちも久しぶりに見たんだから!」
「そうそう、ハルはすごいよ!」
「すごいー」

 俺は飛び回るみんなに、ありがとうと声をかける。
 すると、お次はユニコとカラスがやってきた。
 カラスとは会うこと自体が久しぶりな気がする。

「ハル、イアリス様と一緒にすごく心配したんだから! でも、元気になって良かった。育成もまた頑張るんだよね? 応援してるよ」
「ハル、久しぶりだな。実はハルのために剣を一振り打ってみた。シアン様がその方がいいだろうとおっしゃってな」
「ユニコ、心配かけてごめんな。カラス、それって俺が持てるものですか?」

 俺は立ち上がると、改めてカラスから剣を受け取る。
 すると、前に持たせてもらったものより軽くて俺でも振り回せそうな感じがした。
 細身の刀剣は、鈍く光って俺の手にピタリと収まる。
 俺が感触を確かめると、剣をいれるケースも一緒に渡してくれた。
 ベルトを巻くと、腰に剣が付けられるようになるらしい。

「使う場面がないことを祈るが、念のためだ」
「もらってしまっていいのですか? ありがとうございます。今度また手伝いに……」

 カラスは俺の話を止めるように、そっと手を突き出した。
 一体どうしたんだろう?
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