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第七章 限界突破のその先は?
72.光の精霊の評価
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神殿の治療室から自宅療養へ切り替えていいとイアリスに許可を得て、ラウディと一緒に自宅へ向かうことになった。
治療室を出たところで、俺のことを待っていたらしいアウレリオルに出くわす。
今回のことで迷惑をかけただろうし、きちんと話をしたかったからちょうどいい。
「アウレリオル様、この度はご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「正直、運び込まれたお前を見たときは驚いたが……付き添いはラウディがするのだな」
ラウディは無言で頷く。ラウディはモグの言う通り、精霊でも心を許した者にしか言葉を発しない。
アウレリオルのことが嫌いとかそういう訳ではないのだろうけど……過去にあったことに関係しているのかもしれないな。
「ハル、お前は何故そこまで一人で育成することに拘っていた? 我々の力を借りようとしない理由があるというのか?」
「それは……自分自身の力でやり遂げたいというのが一つ、そして俺の目指す形は精霊様たちのお力を均等に恵みの樹へ与えなければならなかったので、アイテムの力を借りるのが一番だと判断しました」
俺は前もって用意しておいた答えを告げる。
アウレリオルは暫く考えこんでいたけど、俺の方へ美しく輝く銀の瞳を向けてきた。
「成程。目指す形があるというのならば、我が余計な口出しをするのはおかしな話だ。しかし、自身を顧みない危険な行為は慎むように」
「はい。すみませんでした。それと……俺に対して力を送ってくださり、ありがとうございました」
俺が頭を下げてお礼を言うと、アウレリオルは表情も変えずに頷く。
「精霊として当然のことをしたまでだ。ただ、我もハルのことを少々誤解していたようだ。お前は真摯に育成と向き合っていたのだな」
「そんなことは……ないのですが……」
改めて評価されるとどうしていいか分からない。すると、隣にいたラウディが無言で俺の頭をなでてきた。
その様子が視界に入ったのか、アウレリオルが厳しい目元を少し緩めて微笑する。
初めて微笑んでいるところを見たせいか、固まってしまった。
「どうやらラウディはハルのことを気に入ったらしい。我もお前の恵みの樹がどのように育つのか楽しみにしていよう。では、失礼する」
アウレリオルはポニーテールを揺らしてくるりと背を向けると、颯爽と去っていった。
残された俺とラウディの間に微妙な空気が流れる。
「ハル……レリオルに見惚れてた」
「は? いや、初めて笑ってるところを見たから驚いただけで……って、痛いって!」
ラウディが俺の腕を両腕でがんじがらめにしてくるから、圧で痛い。
時々馬鹿力を発揮するのが怖いんだよな。
「ハルが見るのは僕だけにして」
「いや、お前なぁ……。無理だろ、それは……って。分かった、分かった! ほら、行くぞ」
前髪の間から悲しそうに瞳を潤ませるのは反則だろ。
カティみたいなやり口までするとは……ラウディって意外とやり手なのか?
それとも、俺が流されやすいだけか?
ラウディに引っ張られながら、神殿から自宅へと向かう。
モグは先に俺の部屋の状態を確かめておくと言って、色々気を回してくれているらしい。
行く前にラウディへ耳打ちしていたのが気になるんだけど……歩いている間はラウディも大人しくしているみたいだ。
「ラウディ、俺の側にいてくれるのはありがたいけど……お前だって精霊としてやることがあるんだろう?」
「……たまに」
「たまに、ねえ? ずっと俺の側にいなくてもいいんだからな?」
「それは、いてほしくないってこと?」
ラウディが寂しそうな声色で言ってくるから、俺は遠ざけられない。
人から必要とされない寂しさを知っているから……ラウディの気持ちが痛いほど分かる。
「……そんなことないよ。ただ、俺も慣れないだけ。今までこんなに自分の為にしてもらうことなんてなかったからさ」
俺が苦笑しながら言うと、ラウディはピタリと足を止めた。
どうしたんだと首を傾げると、ぎゅうっと抱きしめられた。
治療室を出たところで、俺のことを待っていたらしいアウレリオルに出くわす。
今回のことで迷惑をかけただろうし、きちんと話をしたかったからちょうどいい。
「アウレリオル様、この度はご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「正直、運び込まれたお前を見たときは驚いたが……付き添いはラウディがするのだな」
ラウディは無言で頷く。ラウディはモグの言う通り、精霊でも心を許した者にしか言葉を発しない。
アウレリオルのことが嫌いとかそういう訳ではないのだろうけど……過去にあったことに関係しているのかもしれないな。
「ハル、お前は何故そこまで一人で育成することに拘っていた? 我々の力を借りようとしない理由があるというのか?」
「それは……自分自身の力でやり遂げたいというのが一つ、そして俺の目指す形は精霊様たちのお力を均等に恵みの樹へ与えなければならなかったので、アイテムの力を借りるのが一番だと判断しました」
俺は前もって用意しておいた答えを告げる。
アウレリオルは暫く考えこんでいたけど、俺の方へ美しく輝く銀の瞳を向けてきた。
「成程。目指す形があるというのならば、我が余計な口出しをするのはおかしな話だ。しかし、自身を顧みない危険な行為は慎むように」
「はい。すみませんでした。それと……俺に対して力を送ってくださり、ありがとうございました」
俺が頭を下げてお礼を言うと、アウレリオルは表情も変えずに頷く。
「精霊として当然のことをしたまでだ。ただ、我もハルのことを少々誤解していたようだ。お前は真摯に育成と向き合っていたのだな」
「そんなことは……ないのですが……」
改めて評価されるとどうしていいか分からない。すると、隣にいたラウディが無言で俺の頭をなでてきた。
その様子が視界に入ったのか、アウレリオルが厳しい目元を少し緩めて微笑する。
初めて微笑んでいるところを見たせいか、固まってしまった。
「どうやらラウディはハルのことを気に入ったらしい。我もお前の恵みの樹がどのように育つのか楽しみにしていよう。では、失礼する」
アウレリオルはポニーテールを揺らしてくるりと背を向けると、颯爽と去っていった。
残された俺とラウディの間に微妙な空気が流れる。
「ハル……レリオルに見惚れてた」
「は? いや、初めて笑ってるところを見たから驚いただけで……って、痛いって!」
ラウディが俺の腕を両腕でがんじがらめにしてくるから、圧で痛い。
時々馬鹿力を発揮するのが怖いんだよな。
「ハルが見るのは僕だけにして」
「いや、お前なぁ……。無理だろ、それは……って。分かった、分かった! ほら、行くぞ」
前髪の間から悲しそうに瞳を潤ませるのは反則だろ。
カティみたいなやり口までするとは……ラウディって意外とやり手なのか?
それとも、俺が流されやすいだけか?
ラウディに引っ張られながら、神殿から自宅へと向かう。
モグは先に俺の部屋の状態を確かめておくと言って、色々気を回してくれているらしい。
行く前にラウディへ耳打ちしていたのが気になるんだけど……歩いている間はラウディも大人しくしているみたいだ。
「ラウディ、俺の側にいてくれるのはありがたいけど……お前だって精霊としてやることがあるんだろう?」
「……たまに」
「たまに、ねえ? ずっと俺の側にいなくてもいいんだからな?」
「それは、いてほしくないってこと?」
ラウディが寂しそうな声色で言ってくるから、俺は遠ざけられない。
人から必要とされない寂しさを知っているから……ラウディの気持ちが痛いほど分かる。
「……そんなことないよ。ただ、俺も慣れないだけ。今までこんなに自分の為にしてもらうことなんてなかったからさ」
俺が苦笑しながら言うと、ラウディはピタリと足を止めた。
どうしたんだと首を傾げると、ぎゅうっと抱きしめられた。
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