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第七章 限界突破のその先は?
73.二人の距離感
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いつも急な行動をとるから驚かされるんだけど、今回もよく分からない。
俺がマイナスな発言をしたから、慰めてくれてるってことか?
「ラウディ?」
「ハル……」
ラウディは俺の名を呼びながら、首筋に唇を触れさせてくる。
くすぐったいし、ここは森の中の道だ。
誰が通るか分からないから、困るんだけど……困るだけじゃない気持ちもあって結局困る。
「何?」
「一緒にいる。僕が……一緒にいる」
「そう……だな。ありがとう」
ラウディを安心させるように背中をぽんぽんと叩くと、漸く開放してくれた。
ラウディの前ではあまり不用意な発言をしない方が良さそうだ。
俺が思う以上に過敏に反応している気がする。
「ほら、俺の家へ行くんだろ? モグを待たせたら心配するぞ。俺はラウディのおかげで大丈夫だから」
「……分かった」
俺が笑いかけると、ラウディも安心してくれたみたいでまた歩き出してくれた。
人の感情に気付きやすいしすぐに寄り添おうとする性格だから、悪いヤツに付け込まれやすいのかもな。
俺はむしろ反応できなくて申し訳ないって感じだけど……良く言えば、元々愛情深い性格なんだろうな。
悪く言えば……一度好きになった相手には一直線で執着するタイプだ。
うん……間違いない。人間関係に疎い俺でも分かるレベルで執着されている気がする。
これからどうなるのか不安もあるけど、ラウディに思われていること自体は嫌じゃない。
むしろ、そこまで俺のことを考えてくれるのかと嬉しい気持ちもある。
「俺が少しでも答えられるといいんだけどな……」
「何か言った?」
「いや、なんでもない。俺、少しお腹が空いてきたかも」
「バードも美味しい食事を用意してくれるって言ってた。一緒に食べよう」
俺はラウディと一緒にまた歩き出す。
一人で歩くよりも、誰かと一緒に歩く方が楽しいのは事実だ。
風で揺れる木々が、良かったねと言ってくれてるような気がする。
乙女ゲームの世界にいるせいか、考えることまで乙女みたいになってしまって思わず笑ってしまう。
「ハル、楽しそう」
「おかげさまでな。最初はさ、帰ることばっかり考えてたから俺はこの世界に慣れ親しんじゃいけないんだって頑なに思ってたんだ」
「……ハルはまだ帰りたいの? 自分のいた世界へ」
ラウディは一旦足を止めて俺に問う。
俺は少し考えてから、曖昧に笑いかけた。
「帰りたくないと言ったら嘘になるけど……今はこの世界でやるべきことをやりたい。だから、ここにいる」
俺がはっきり宣言すると、ラウディは良かったと言いながら俺のまぶたにキスを落とす。
ちゅっちゅと何度もキスをされて、気づくと唇を啄まれていた。
「ちょっ……んむっ」
「ハルの唇、柔らかくて……可愛い」
この感じだといつ家へ辿り着けるか分からない。
最近いる場所も関係なく、スキンシップ激しめな気がするのは気のせいか?
「キスが多いって! もっ……」
「まだ、キスだけ。本当はもっと……」
ラウディは言いながら、俺の腰を引き寄せる。
そして、戯れるように俺の脇腹からツーっと指で撫でおろす。
「ひゃっ!」
「もっとハルに触れたい。もっと、もっと……」
「だ、だからって、こんな外でされても困る! ほら、そろそろ行かないと」
俺はラウディから距離を取ると、早足で歩き始める。
ラウディは不満そうだったけど、仕方なくといった感じでついてくる。
「……」
「ラウディの気持ちは、分かった。でも、今じゃない」
「……」
「……怒ってるのか? じゃあ、夕飯を食べた後なら……」
俺が譲歩すると、ラウディの気配がぱぁっと明るくなった気がした。
夕飯を食べたあとと言っても、何する訳でもないって言わないとだよな。
「だから、その続きをするとかそういうことじゃなくって! って……聞いてるか?」
ラウディから楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
俺、やらかしたかもしれない。
くっつかれるのが嫌って訳じゃないけど、その先とか考えるのは……今は、無理。
俺がマイナスな発言をしたから、慰めてくれてるってことか?
「ラウディ?」
「ハル……」
ラウディは俺の名を呼びながら、首筋に唇を触れさせてくる。
くすぐったいし、ここは森の中の道だ。
誰が通るか分からないから、困るんだけど……困るだけじゃない気持ちもあって結局困る。
「何?」
「一緒にいる。僕が……一緒にいる」
「そう……だな。ありがとう」
ラウディを安心させるように背中をぽんぽんと叩くと、漸く開放してくれた。
ラウディの前ではあまり不用意な発言をしない方が良さそうだ。
俺が思う以上に過敏に反応している気がする。
「ほら、俺の家へ行くんだろ? モグを待たせたら心配するぞ。俺はラウディのおかげで大丈夫だから」
「……分かった」
俺が笑いかけると、ラウディも安心してくれたみたいでまた歩き出してくれた。
人の感情に気付きやすいしすぐに寄り添おうとする性格だから、悪いヤツに付け込まれやすいのかもな。
俺はむしろ反応できなくて申し訳ないって感じだけど……良く言えば、元々愛情深い性格なんだろうな。
悪く言えば……一度好きになった相手には一直線で執着するタイプだ。
うん……間違いない。人間関係に疎い俺でも分かるレベルで執着されている気がする。
これからどうなるのか不安もあるけど、ラウディに思われていること自体は嫌じゃない。
むしろ、そこまで俺のことを考えてくれるのかと嬉しい気持ちもある。
「俺が少しでも答えられるといいんだけどな……」
「何か言った?」
「いや、なんでもない。俺、少しお腹が空いてきたかも」
「バードも美味しい食事を用意してくれるって言ってた。一緒に食べよう」
俺はラウディと一緒にまた歩き出す。
一人で歩くよりも、誰かと一緒に歩く方が楽しいのは事実だ。
風で揺れる木々が、良かったねと言ってくれてるような気がする。
乙女ゲームの世界にいるせいか、考えることまで乙女みたいになってしまって思わず笑ってしまう。
「ハル、楽しそう」
「おかげさまでな。最初はさ、帰ることばっかり考えてたから俺はこの世界に慣れ親しんじゃいけないんだって頑なに思ってたんだ」
「……ハルはまだ帰りたいの? 自分のいた世界へ」
ラウディは一旦足を止めて俺に問う。
俺は少し考えてから、曖昧に笑いかけた。
「帰りたくないと言ったら嘘になるけど……今はこの世界でやるべきことをやりたい。だから、ここにいる」
俺がはっきり宣言すると、ラウディは良かったと言いながら俺のまぶたにキスを落とす。
ちゅっちゅと何度もキスをされて、気づくと唇を啄まれていた。
「ちょっ……んむっ」
「ハルの唇、柔らかくて……可愛い」
この感じだといつ家へ辿り着けるか分からない。
最近いる場所も関係なく、スキンシップ激しめな気がするのは気のせいか?
「キスが多いって! もっ……」
「まだ、キスだけ。本当はもっと……」
ラウディは言いながら、俺の腰を引き寄せる。
そして、戯れるように俺の脇腹からツーっと指で撫でおろす。
「ひゃっ!」
「もっとハルに触れたい。もっと、もっと……」
「だ、だからって、こんな外でされても困る! ほら、そろそろ行かないと」
俺はラウディから距離を取ると、早足で歩き始める。
ラウディは不満そうだったけど、仕方なくといった感じでついてくる。
「……」
「ラウディの気持ちは、分かった。でも、今じゃない」
「……」
「……怒ってるのか? じゃあ、夕飯を食べた後なら……」
俺が譲歩すると、ラウディの気配がぱぁっと明るくなった気がした。
夕飯を食べたあとと言っても、何する訳でもないって言わないとだよな。
「だから、その続きをするとかそういうことじゃなくって! って……聞いてるか?」
ラウディから楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
俺、やらかしたかもしれない。
くっつかれるのが嫌って訳じゃないけど、その先とか考えるのは……今は、無理。
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