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69.ノイオゾの街は久しぶり

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 みんなで荷物をまとめて宿屋を出てから、ノイオゾの街へ戻る馬車を捕まえに行く。
 オルお兄さんがいっぱい荷物を持ってくれたけど、それでもあふれちゃった荷物はみんなで分け合って持つ。

「フィロ、大丈夫か? 無理しなくていいんだぞ」
「僕にも手伝わせて。いつもみんなが優しくしてくれるから、少しでもお返ししたいんだ」
「フィロはいつも余計なことばっかり考えるわよね。子どもの面倒を見るくらい大したことじゃないから、気にせず甘えなさいよ」

 ラグお姉さんとルナちゃんはいつも通り甘やかそうとしてくれる。
 オルお兄さんも何も言わずに重たい荷物を背中に背負ったまま、すたすたと歩いていっちゃう。
 力持ちだから本当に重たい荷物を持っているのかなってくらい軽々運んじゃうし、すごいと思う。

「オルお兄さん、重たくないの?」
「確かに行きよりは荷物が増えたが、これくらい大したことない。それにノイオゾの街で預けるし問題ない」
「フィロは優しいな。後は馬車が見つかれば……お、あの馬車はノイオゾの街へ行きそうだな」

 城下町の出入り口になっている門から出ると、ちょうど馬車が一台止まっているのが見えた。
 みんなで側へよると御者さんはビックリしたみたいで、あわてて僕たちの方へ振り返ってくれた。

「皆さんどちらへ?」
「ノイオゾの街へ行きたいんですけど……」
「ノイオゾならちょうど目的地です。皆さん全員乗られますか?」
「勿論だ。頼む」

 誰も乗ってなかったから、みんなで乗り込めそうだ。
 ノイオゾの街まで向かってもらえそうでよかった。
 御者さんもお客さんを待ってたみたいだし、ちょうどよかったみたいだ。

 +++

 乗ってる間はやっぱり眠くなっちゃって寝ちゃったけど、着いた時にオルお兄さんが起こしてくれた。
 ノイオゾの街はなんだか久しぶりな気がしちゃうけど、ずっと離れていた訳じゃないのに不思議な気持ちだ。

「さて、早速荷物を預けにいくとしようか。それで構わないな」

 ラグお姉さんが言うと、みんなもうなずく。
 いろいろ行きたいところはあるけど、まずは荷物を預けないとだよね。

「ギルドの側だったか? その辺りのはずなんだが……」
「たぶんそうよ。持つのが大変なくらいたくさん報酬をもらえてよかったわよね」

 ルナちゃんはうれしそうにニコニコしてる。
 ルナちゃんのおねだりのおかげだから、笑顔になっちゃうよね。
 ラグお姉さんも楽しそうに笑ってる。

「もらうものがあればあるほど、私たちは助かるのだからな。ルナのお手柄だろう」
「でしょう? 恥ずかしがらずに素直に言えばいいのよ」
「それは少し違う気もするけど……でも、いっぱいもらえて良かった」

 笑いながらゆっくりと歩いて行くと、少しずつギルドが見えてきた。
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