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68.まずはノイオゾの街へ戻ろう

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 ルナちゃんの一押しもあって、王様はいっぱいのお金と宝物をたくさんくれた。
 持ちきれないくらいあったから、宿屋に届けてもらって後でみんなで分けようってことになった。

「もらったものを整理したら、また別の街へ旅立つとしよう」
「また違う街へ行くのも楽しいわよね。でも、一旦ノイオゾの街へ戻って報告するんでしょ?」

 王様とスタンさんへごあいさつしてから、みんなでのんびり城下町を見てまわる。
 この街のご飯もおいしかったけど、ルイーツさんの作ってくれたご飯もおいしかったな。

「そっか。きっとエイナクさんもどうなったかなって気にしてるよね。別の街はそのあとに行く?」
「カステロッシの王から報せは行くはずだが、俺もどちらでも構わない。急ぐ旅ではないし、任せる」

 オルお兄さんもこう言ってくれてるし、まずはノイオゾの街のギルドへ報告しに行かなくっちゃ。
 ギルドマスターのエイナクさんに会うのも久しぶりだ。

「エイナクの顔が見たいのか? フィロは変わってるな。そんなに見ても楽しい顔ではないだろうに」
「ラグお姉さんはエイナクさんのことが好きじゃないの?」
「そういう訳ではないが、面白みはないな」

 言いながら楽しそうなラグお姉さんを見ていると、別に嫌いだって訳じゃなさそうで良かった。
 ルナちゃんはお肉の刺さった串を持ってもぐもぐしながら、ラグお姉さんを見上げてふぅっと息を吐き出した。
 
「まあ、堅物って感じだからラグとは相性は良くなさそうよね。オルとは気が合いそうだけど」
「そうだな。エイナクはギルドマスターという職についているだけあって、人間の中でも信用できる感じだった。あの雰囲気は嫌いじゃない」

 オルお兄さんも真面目だから、気が合うっていうのは分かる気がする。
 でも、ラグお姉さんだって大丈夫だと思うけどなぁ。
 
「ラグお姉さんもちゃんとしてるよ。いつも誰かとお話を進めてくれるのはラグお姉さんだから、エイナクさんもラグお姉さんとお話してたよね?」
「ありがとう、フィロ。一応みんなの中でリーダーのつもりで動いているからな。そもそも私がフィロを旅へ誘ったのだから、表立って動くのは当然だ」

 ラグお姉さんは僕のことを優しくなでてくれた。
 僕は甘えてばかりだけど、みんな本当に優しいな。

「目的地も決まったんだし、宿屋で荷物をまとめたらノイオゾの街へ行きましょ。後のことはそれから考えればいいし」
「そうだな。ノイオゾの街は居心地もいいから、拠点と考えて動くのも悪くない。荷物を預けておく場所も必要だしな」
「俺がある程度持ち歩けるが、それでも使わない武具や道具は預けた方がいいだろう」

 オルお兄さんがいつも荷物を持ってくれてるけど、カッコイイよろいとか重たい武器はあずけておいて必要な時に持っていく方が便利だよね。
 ノイオゾの街はギルドがあるから、大事な物を預かってくれる場所もありそうな気がする。
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