216 / 298
忘却の……
1
しおりを挟む
次の日。
僕は一睡もできず、朝日を浴びてしまった。
結果、2日連続寝てないわけで……
はぁぁと深いため息をつき、ベッドに腰掛け、火照った顔を手で押さえながら、思案にくれる。
髪飾りのせいであんな状況になったとはいえ、僕が義姉さまにキスしようとした事は事実で……さすがの義姉さまも僕の気持ちに気づいたと思う。
どう思ったんだろ……
義姉弟なのに気持ち悪い……脳裏によぎった言葉にズキリと胸が痛む。
……怖い。
義姉さまが僕を嫌悪するかもしれない不安にゾクッと身体を震わせ、その言葉を追い出すようにブンブンと頭を左右に振った。
義姉さまはそんな風に思う女性じゃない。
気持ちを切り替える為、思いっきり両腕を上げ、体を限界まで伸ばす。
今更、考えても仕方ないことだ。
いずれ義姉さまに告白するつもりだったんだから。
よしっと気合を入れて、朝食にむかうべく部屋を出た。が、なぜか義姉さまが扉の外で待っていた事に慌ててしまい、早々に気合はどこかにいってしまう。
「……あの……えっと」
「おはよう! ミカエル。昨日はお疲れ様。ありがとう。お礼を1番に言いたくて、待ってたの」
あ……れ……?
いつもと変わらない?
「えっと……おはよ……あの……義姉さま? 昨夜……さ」
「ミカエルが頑張ってくれたから、楽しいパーティーだったと招待客の方々も満足してくれたみたい。本当にありがとう! 素敵な誕生日が迎えられたわ」
「あーうん……それは良かったけど……そうじゃなくてさ……」
「そうじゃなくて?」
歯切れの悪い僕の顔を義姉さまは不思議そうに覗き込む。近い顔にボッと体温が高くなり、僕は目を逸らした。
「どうしたの? 具合悪い?」
熱を測ろうとおでこに躊躇なく伸ばしてくる手にドギマギしてしまい、しどろもどろ返事をする。
「だ、大丈夫……早く、ご飯、食べに行こ」
どうしても昨夜の事を意識してしまう僕は、この場にとどまっているのが耐えられず、フイッと体を翻した。
「う、うん……」
腑に落ちない様子の義姉さまは大股で歩き始めた僕を慌てて追いかけてくる。
ちょっと……これは予想外だ。
ドキドキしているのは僕だけ? なんで義姉さまは平気なのさ……あのバルコニーでの事、なんとも思ってない?
それって……それってさ……男として最悪じゃないかっ。
僕は一睡もできず、朝日を浴びてしまった。
結果、2日連続寝てないわけで……
はぁぁと深いため息をつき、ベッドに腰掛け、火照った顔を手で押さえながら、思案にくれる。
髪飾りのせいであんな状況になったとはいえ、僕が義姉さまにキスしようとした事は事実で……さすがの義姉さまも僕の気持ちに気づいたと思う。
どう思ったんだろ……
義姉弟なのに気持ち悪い……脳裏によぎった言葉にズキリと胸が痛む。
……怖い。
義姉さまが僕を嫌悪するかもしれない不安にゾクッと身体を震わせ、その言葉を追い出すようにブンブンと頭を左右に振った。
義姉さまはそんな風に思う女性じゃない。
気持ちを切り替える為、思いっきり両腕を上げ、体を限界まで伸ばす。
今更、考えても仕方ないことだ。
いずれ義姉さまに告白するつもりだったんだから。
よしっと気合を入れて、朝食にむかうべく部屋を出た。が、なぜか義姉さまが扉の外で待っていた事に慌ててしまい、早々に気合はどこかにいってしまう。
「……あの……えっと」
「おはよう! ミカエル。昨日はお疲れ様。ありがとう。お礼を1番に言いたくて、待ってたの」
あ……れ……?
いつもと変わらない?
「えっと……おはよ……あの……義姉さま? 昨夜……さ」
「ミカエルが頑張ってくれたから、楽しいパーティーだったと招待客の方々も満足してくれたみたい。本当にありがとう! 素敵な誕生日が迎えられたわ」
「あーうん……それは良かったけど……そうじゃなくてさ……」
「そうじゃなくて?」
歯切れの悪い僕の顔を義姉さまは不思議そうに覗き込む。近い顔にボッと体温が高くなり、僕は目を逸らした。
「どうしたの? 具合悪い?」
熱を測ろうとおでこに躊躇なく伸ばしてくる手にドギマギしてしまい、しどろもどろ返事をする。
「だ、大丈夫……早く、ご飯、食べに行こ」
どうしても昨夜の事を意識してしまう僕は、この場にとどまっているのが耐えられず、フイッと体を翻した。
「う、うん……」
腑に落ちない様子の義姉さまは大股で歩き始めた僕を慌てて追いかけてくる。
ちょっと……これは予想外だ。
ドキドキしているのは僕だけ? なんで義姉さまは平気なのさ……あのバルコニーでの事、なんとも思ってない?
それって……それってさ……男として最悪じゃないかっ。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。
愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。
梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。
ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。
え?イザックの婚約者って私でした。よね…?
二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。
ええ、バッキバキに。
もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる