俺は空気が読める~魔力0の無能と馬鹿にされてダンジョンに追放された俺、実は災害級のスキルがぶっ壊れていて世界最強にして唯一の剣士になる~

島風

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74長兄テオの蛮行

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「なんだ。せっかくやる気を出させてやろうと思ったのにかえってやる気が失せたのか? 罰が足らんようだな。なら」 

そうテオが言うと。 

「紅蓮」 

「や、止めろー!」 

リナちゃんのお父さん、セオがテオとリナちゃんの間に割って入った。 

「ぎゃああああああああ」 

リナちゃんのお父さん、セオの叫び声があがる。 

「お、お父さん!」 

リナちゃんがお父さんの元に走って行く。 

しまった。迂闊だった。兄、テオもまた紅蓮魔導士の能力を持つ。魔力は一瞬で高まり、放たれた炎の矢は一瞬でリナちゃんのお父さんの胸を貫いた。 

「お父さん、死なないで! 何故? 何故お父さんはこんな悪事に手を染めたゆ?」 

「わ、私はリナに__お母さんのグレースにただいい生活をさせてやりたくて__私に甲斐性がないばかりにお前達に苦労を__だが、聖剣教が__こ、こんな__」 

「お父さんは間違えていゆよ。リナも__お母さんも__ただ側にいて欲しかったよ」 

「リ、リナ、すまない。私は__私は思い違いを__」 

リナちゃん親子を見て、テオへの怒りが満ちる。 

リナちゃんのお父さんは全身火傷を負って、瀕死だ。早く手当をしないと。 

「アリス、リナちゃんのお父さんを頼む」 

「ノア様、わたくしもその男が許せないのです。成敗させて頂きたいのです」 

「悪いがシエナ__こいつは俺の兄なんだ。だから、俺に責任を取らせてくれ」 

「……」 

シエナは無言で頷く。俺はリナちゃん達の前に出て、テオ兄貴と対峙する。 

「お前、ノアか?」 

「ああ、ハズレスキルのノアだ。リリーの敵、お前に殺さた人達の敵、取らせてもらう」 

「ギャハハハハハハッハ! 敵? ずいぶんと一人前の口を聞くな? お前が俺の敵になるととでも思っているのか? それとな、お前は弟なんかじゃない、お前は養子だ。血なんて繋がってねえ。いつまでも兄貴だなんて気安く呼ぶんじゃねえ!」 

そうか、俺はこいつらの家族ではなかったのか__安堵する。こんなヤツらと同じ血が流れていないことを知って罪の意識が拭われる。 

「いいことを教えてくれてありがとう。お前と同じ血が流れていないことに喜びを感じ得ない」 

「何だと? 貴様、ユングリングを愚弄する気か? たかが平民の分際で?」 

「お前が貴族だろうが、なんだろうが、お前はクズだ。クズを愚弄して何が悪い?」 

「貴様__何故生きているのかは知らんが、多少は強くなったと見えるな。そんな恐れ多い言葉を吐くとは__身の程を教えてやろう、紅蓮!」 

「うッ!」 

突然、炎が俺の周囲に立ち上る。テオは無詠唱、しかも一瞬で魔力を高め俺の周囲に炎の魔法を纏わりつかせた。 

「ギャハハハハハハッハ! 加減はしたがな、さっきと違って、消し炭__に」 

炎がおさまると、俺は剣を抜いた。 

「な、何だと? 俺の紅蓮を喰らって__生きている?」 

「悪いが俺のHP60000でな。この服も特別性でお前なんかの炎じゃスス一つつかん」 

「__言わせておけば」 

どう処すか? この男のやったことは何だ? リナちゃんのお母さんを辱め、その上首を刎ねた。その上、リナちゃんのお父さんに大火傷を負わせた。 

だが、罪はそれだけではないだろう。俺は聞いた。 

「一つ聞くが、お前はここで何をやってたんだ? 大貴族のお前が用心棒やこの教団の指揮を取るだけのために来ているとは思えん」 

「はあ? 俺が何をやっていたか? いいだろう。これから死んで行くお前に、いや、お前に待っていることを教えてやろう。俺はこの聖剣教のサービスの拷問を楽しむために来たんだ。何人かバカな信徒の見目よい女を犯し倒して、手足を順に切り落としてやった。ああ、最近覚えたんだが、目をくり抜くのは余程怖いと見える。中々良い悲鳴を楽しめたぞ」 

「__なるほど。つまり殺されても誰も咎めることのない罪を犯した訳だ」 

「はあ? 何を言ってるんだ? 貴族の俺が罪になんてなる訳ないだろう? 平民風情を痛ぶるのは貴族の至高の趣味だ。そうだ。昨日殺った女にしたことをお前にしてやろう。5cm刻みで指から順に手を切り刻んでやった。目もくり抜いて目の前で目を潰してやった。あれは傑作だったな。我なが自分の想像力に関心する」 

「もう、いい。お前と話していると反吐が出る。今から相応の報いを受けさせてやる」 

「どうやって? ハズレスキルのお前が? その手に持っている時代錯誤の剣で何とかなるとでも思っているのか? 剣は魔法には勝てん。300年も前に変わらない事実だろ?」 

こいつは今だに自分の優位性を信じて疑わない。だが、確かにテオは弟ルイよりはるかに強力な能力の持ち主だ。無詠唱での魔法の威力は凄まじいが、詠唱されたらな。 

だが、処すしかない。血は繋がっていなくても責任は感じる。こいつを生かしておくわけにはいかん。 

「テオ、俺は最果てのダンジョンで生まれ変わった。その力を見てもらおう」 

そう言うと俺は剣を一振りし、構えた。そして。 

「我が剣は無限なり。我が剣は輝く閃光、我が剣に勝るものなし!」 

「ギャハハハハハハッハ! 何を訳のわからんことを叫んでやがるんだ!」 

テオの嘲笑を受けるが、武術言語を唱え終わると俺は既に動いていた。 
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