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第11章 とうとうこの日が来た 後
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【闘技場】
「よっしゃ!3回戦突破だぜ」
「お兄ちゃん疲れたでしょう?」
「小倉杏さんも勝ち進んでるよ」
「今夜はゆっくり休んで明日に備えるんだね。スタミナの付く魚料理作ってあげるよ」
「シイラの魚料理は、最高に美味いニャ」
「それは楽しみだ」
【宿屋】
「光君は、私と一緒の部屋で良いわよね?」
「すみません餡先生。今日はお兄ちゃんは私と一緒で」
「あら、じゃあ猫まんまちゃんは?」
「猫魔は私達とだよね?だって、シイラの魚が有るし」
「にゃは、七都達と行くニャ」
「俺は…」
「逃がさないわよ。私に付き合いなさい」
「うはっ、捕まった。その、猫つまみはやめろー」
〈ジタバタ、ジタバタ〉
「ジタバタしな~い。さ~ぁ行くわよ~」
〈ジタバタする栗金団を引きずって行く笑顔の餡先生〉
【七都達の部屋】
「(魔界の奴らが人間界に来てるニャ。あいつが…あいつの封印が解けたりしたら大変な事になるニャ)」
「猫魔どうしたの?いつもなら真っ先に料理に手を付けるのに」
「あにゃ、美味そうな匂いニャ」
「猫魔はいつも喜んで食べてくれるから嬉しいわよ」
「シイラの料理はいつだって美味いニャ」
「ありがとう。じゃあ食べてて。これは満達の部屋に持って行くね」
【満達の部屋】
〈窓の外を見ている満〉
「お兄ちゃん、ほら見て。月がとっても綺麗よ」
「うん?」
〈窓の所へ行って満の後ろから空を見上げる光の神〉
「ああ、今宵は満月か」
〈満は光の神の手を取って自分の腰に回す〉
「……(は!またか…物狂おしいような…これは…この身体の持ち主の記憶…我慢…なのか?自分の気持ちを押し殺しているようだ)」
「お兄ちゃん?」
「うん?」
「どうしたの?」
「いや…」
「変なお兄ちゃんね」
「満。お腹空いたでしょう?」
〈シイラが入って来る〉
「え?あ、ごめん、お邪魔だった?」
〈サッと離れる満と光の神〉
「ここ置いとくから食べて。じゃ、じゃあね」
〈シイラは慌てて部屋を出る〉
【扉の前】
「ああ、びっくりした(あの二人兄妹だよね?)」
〈ホーっと息を吐き、部屋に戻るシイラ〉
【餡先生達の部屋】
「たぁーくぅー、何よ。光君のバカぁ。ウィーッ」
「ああ、ああ、呑み過ぎだって」
〈栗金団はワインのボトルを取り上げる〉
「まーだ呑むわよ」
〈ワインのボトルを奪い返す餡〉
「やれやれ…(何かこういう女前に知ってた気がすんな…誰だったかな?)」
「そりゃ本当の兄妹じゃないし、満ちゃんは可愛いわよね」
「餡先生?マ、マジ光の事が好きなのか?」
「ス・キ・よ」
「だって、年下だぞ」
「悪かったわね、オバサンで。ウイーッ」
「いやいや、そんな事は言ってねえから」
「今の光君可愛いじゃない。放っとけないのよね」
「母性本能ってヤツかぁ?」
「ウィーッ」
「しゃっくり止まんねえな…ほれ、水」
「ありがとう。ウイーッ」
【地獄の門】
〈重い扉が開かれる〉
「どうなされた?」
「魔界の扉が開かれた形跡が有るのですが」
「まさか?!」
「あの者はどうしています?」
「あの魂の入った封印の壺は、結界を張り巡らせて厳重に警戒しています」
「そうですか…まさか外に出ている…なんて事は…」
「まさか!!まさか、まさか」
「一応調べさせてもらっても良いですか?」
「そういう事でしたらどうぞ。どうぞお入りください」
〈地獄の門を光の天使が入って行く〉
「(いつ来ても気味が悪いわね…この雰囲気だけは慣れる事は無いわ)」
〈川の中から何本もの手が伸びて来る。その手は光の天使を掴もうとする〉
「嫌ぁん」
〈光の天使は翼を広げてふわっと舞い上がる〉
「お気を付けください」
「(もう、早く言ってよね)」
〈地獄の番人に案内されて奥へと進む光の天使〉
【封印の間】
〈話しながら歩く二人〉
「ちゃんとこの奥に、封印の壺に入れて…」
〈地獄の番人は視線を天使から封印の間の奥に移す〉
「ああっ!!!け、け、結界が!!こ、これは…これは一体どうした事か?!」
「やっぱりか…(当たるのよね、私の…悪い予感…まあ、ここを出たところで転生禁止だから、もう一度人間として生まれる事は無いけど…また嫌な予感)」
〈呆然と立ち尽くす地獄の番人〉
【闘技場】
「よっしゃ!準決勝進出!」
「お兄ちゃん強い」
「まあ、俺の剣のおかげだな」
「くりきんとんのおかげじゃなくて、魔法石のおかげでしょう?」
「うっせえなあ、誰も俺のおかげなんて言ってねえだろ」
「小倉杏ちゃんも残ってるわよ」
【天上界女神の泉】
「おおっ!準決勝が始まるぞ!負けんなよ、そっちの俺!中身は神様なんだけどよ、身体は俺のもんだからな、何だか他人のような気がしねえよな」
〈水面に闘技場が映し出されている。光の神の剣が火を噴く。一面炎の海になる〉
「おお、すげー!よし!そこだ!」
【闘技場】
「それまで!勝者紫月光!」
「おお!わあー!」
「やったね、遂に決勝だよ」
「相手は誰かしら?」
「誰だって構わねえ、ここまで来たら優勝してもらわねえとな」
〈険しい顔で席を立ち上がる猫魔〉
「猫魔どうしたの?」
「ちょっと行って来るニャ」
「どこ行くの?」
「俺が戻らなかったら置いて帰れば良いニャ」
「え?どういう事?ちょっと猫魔!」
「行っちゃったね。まだ魚こんなに有るのに」
【闘技場前】
「(あれは気のせいなんかじゃないニャ。確かに奴の気配がしたのニャ)」
【公爵の屋敷】
〈怪しい祭壇で祈る祈祷師。黒いエネルギー体が現れる〉
「おお!遂に、遂に呼び出す事が出来たか!!」
〈黒いエネルギー体が祈祷師の体の中に入って行く。そして祈祷師の口を借りて語り始める〉
「私を呼び出したのはお前か?何の用だ?」
〈今度は変わって祈祷師が喋る〉
「魔物を召喚するのだよ。あんたなら出来るだろう?」
「容易い事だ」
「この国はザッハトルテ公爵様が治めるべきなのだ」
「それで?魔物を召喚してどうしようと言うのだ?」
「邪魔な者どもを葬り去るのだよ」
「良かろう。だが、どうなっても知らんぞ」
【闘技場控え室】
〈光の神が剣を研いている〉
「神様大変ニャ!」
「どうした?猫魔」
「奴の気配を感じるニャ、あの魔道士ニャ」
「なんだって?!あの者が人間界に来ていると言うのか?」
「間違い無いニャ。あれは奴の気配ニャ」
「お前がそう言うのなら確かで有ろう」
「人間界に来て何をするつもりなのニャ?」
「それを知ってどうするつもりかね?」
「誰ニャ?」
「ほほう、私を知らんのか。まあ、お前のような物の怪に名乗った所で何の得にもならんが教えてやろう。私はザッハトルテ公爵。いずれこの国を、いや世界を治める王となるのだ、覚えておくが良い」
「奴が居るニャ!どこニャ!」
「フフフフフ、ハハハハハ、ハッハッハ」
「コイツが怪しいニャ」
〈クンクンと祈祷師の身体の臭いを嗅ぐ猫魔〉
「久しぶりだな、猫魔」
「何で俺の名前を知ってるニャ?俺はお前なんか知らないニャ」
「この体は私の物ではない。この男の体を借りているだけの事」
「どういう事ニャ?」
「そんな事をお前が知る必要は無い。これから死ぬお前がな、ハハハハハ」
「やっぱりお前が怪しいニャ!」
【試合会場観客席】
〈ザワザワ、ザワザワ…決勝開始時刻になっても紫月光が現れないので観客が騒ぎ始めた〉
「いつになったら始まるんだ?」
「もう一人はどうしたんだよ?」
「怖気付いて逃げ出したんじゃねえか?」
「ちょっとそこの人、失礼な事言わないでよね。光は逃げたりしないわよ」
「七都ったら、やめなよ」
【貴賓席】
「(光さんはどうして姿を見せないの?何か有ったのかしら?)」
〈ズキン!!とフィナンシェ姫の胸が痛む〉
「今のは何?(この感覚…遠い昔…覚えが有るような…いいえ、そんなはず…でも、何だかとても嫌な予感がするの)」
【試合会場観客席】
〈ザワザワ、ザワザワ〉
「おい、まだかよ?」
「お兄ちゃん…」
「大丈夫。光はきっと来るよ」
【試合会場】
「(本当に、光ったらどうしたのよ。私が貴方と戦う為にどれだけ苦労したと思ってるの?不戦勝なんて嫌よ。それじゃあ意味無いんだから)」
【控え室】
〈祈祷師の体を借りた魔道士の魂は魔物を召喚する〉
「来たね、私の可愛いペットよ」
「グガーー!」
「さあ、お前の餌だ、この二人を食べて良いぞ」
〈猫魔は光の神を守るように前に出る〉
「俺が相手になるニャ」
「猫魔、私だって戦える」
「(ダメなのニャ。神様は優し過ぎるのニャ。だからあの時みたいに…あの時みたいなのは嫌なのニャ。神様の事は俺が守るニャ)」
【天上界女神の泉】
「どうなってんだ?あいつ…おーい神様。どうしたんだよ?」
〈光の天使が戻って来る。女神と話す光の天使〉
「そうですか。では、やはり魔界の門が開かれたのはあの者の仕業ですね」
「恐らく」
〈女神は水面に光の神の姿を映し出す〉
「おおっ!こんなとこに居やがった。何だ?あいつらは…」
【闘技場貴賓席】
〈フィナンシェ姫が席を立つ〉
「姫様どちらへ?」
「あ…ちょっと、気になる事が有るのです」
〈会場を出るフィナンシェ姫を騎士隊長が警護する〉
【天上界女神の泉】
「あん?何だ?化物か?」
「何ですって?」
〈水面を覗き込む光の天使。そこには魔物と戦う猫魔の姿が映し出されていた〉
【闘技場控え室】
〈魔物と戦う猫魔は息を切らしている。その時紫色の光が降りて来る〉
「あーら、可愛いモンスターちゃんね、こんな奴の言う事聞いちゃダメよ」
「光の天使、遅いニャ」
「ごめんねー。上で色々忙しかったのよ」
「誰と話しておるのだ?」
「公爵様にはお見えにならないようですが、邪魔者が現れました」
「さあ、こっちへいらっしゃーい」
〈光の天使がそう言って両手を広げると、魔物は子犬のように穏やかになりそばに行った〉
「良い子ねー」
「何だ、寝てしまったではないか。使えない奴め。何をしておる!もっと強い魔物を召喚しろ!」
「何事です」
「これはこれはフィナンシェ姫様。ご機嫌麗しゅう」
「ここで何をしているのです、ザッハトルテ公爵」
〈床で眠っているいる魔物〉
「物の怪か?!姫様!」
〈騎士隊長は剣を抜いてフィナンシェ姫の前に出る〉
「これはいったいどういう事です、公爵。事と次第によっては公爵家とて許すわけには参りませんぞ」
「私はただ、武術大会を見物に来ただけだ」
「ならば観客席に参られよ」
「ふん、生意気な近衛騎士め」
「参るぞ、祈祷師」
「はっ」
〈猫魔達を睨みつける祈祷師〉
「今日のところはこのぐらいにしておいてやる」
〈姫を威嚇するように部屋を出るザッハトルテ公爵達〉
「光さん…あ、腕が」
「ああ、大した事は無い。後で餡先生に」
「わたくしが」
〈フィナンシェは光の神の腕の血を拭き傷口にハンカチを巻く〉
「これで良いわ。後は餡先生に診てもらってください」
「ありがとう」
「この物の怪の始末は我々近衛騎士隊が」
「待ってくれ。そいつは俺が責任をもって魔界に連れて帰るニャ」
【試合会場】
「対戦相手欠場により、勝者小倉杏!」
「わー!わー!」
「ザワザワ、ザワザワ」
「(何よ、光ったら、とうとう来なかったじゃない。不戦勝だなんて、ちっとも嬉しくないわ)」
「よっしゃ!3回戦突破だぜ」
「お兄ちゃん疲れたでしょう?」
「小倉杏さんも勝ち進んでるよ」
「今夜はゆっくり休んで明日に備えるんだね。スタミナの付く魚料理作ってあげるよ」
「シイラの魚料理は、最高に美味いニャ」
「それは楽しみだ」
【宿屋】
「光君は、私と一緒の部屋で良いわよね?」
「すみません餡先生。今日はお兄ちゃんは私と一緒で」
「あら、じゃあ猫まんまちゃんは?」
「猫魔は私達とだよね?だって、シイラの魚が有るし」
「にゃは、七都達と行くニャ」
「俺は…」
「逃がさないわよ。私に付き合いなさい」
「うはっ、捕まった。その、猫つまみはやめろー」
〈ジタバタ、ジタバタ〉
「ジタバタしな~い。さ~ぁ行くわよ~」
〈ジタバタする栗金団を引きずって行く笑顔の餡先生〉
【七都達の部屋】
「(魔界の奴らが人間界に来てるニャ。あいつが…あいつの封印が解けたりしたら大変な事になるニャ)」
「猫魔どうしたの?いつもなら真っ先に料理に手を付けるのに」
「あにゃ、美味そうな匂いニャ」
「猫魔はいつも喜んで食べてくれるから嬉しいわよ」
「シイラの料理はいつだって美味いニャ」
「ありがとう。じゃあ食べてて。これは満達の部屋に持って行くね」
【満達の部屋】
〈窓の外を見ている満〉
「お兄ちゃん、ほら見て。月がとっても綺麗よ」
「うん?」
〈窓の所へ行って満の後ろから空を見上げる光の神〉
「ああ、今宵は満月か」
〈満は光の神の手を取って自分の腰に回す〉
「……(は!またか…物狂おしいような…これは…この身体の持ち主の記憶…我慢…なのか?自分の気持ちを押し殺しているようだ)」
「お兄ちゃん?」
「うん?」
「どうしたの?」
「いや…」
「変なお兄ちゃんね」
「満。お腹空いたでしょう?」
〈シイラが入って来る〉
「え?あ、ごめん、お邪魔だった?」
〈サッと離れる満と光の神〉
「ここ置いとくから食べて。じゃ、じゃあね」
〈シイラは慌てて部屋を出る〉
【扉の前】
「ああ、びっくりした(あの二人兄妹だよね?)」
〈ホーっと息を吐き、部屋に戻るシイラ〉
【餡先生達の部屋】
「たぁーくぅー、何よ。光君のバカぁ。ウィーッ」
「ああ、ああ、呑み過ぎだって」
〈栗金団はワインのボトルを取り上げる〉
「まーだ呑むわよ」
〈ワインのボトルを奪い返す餡〉
「やれやれ…(何かこういう女前に知ってた気がすんな…誰だったかな?)」
「そりゃ本当の兄妹じゃないし、満ちゃんは可愛いわよね」
「餡先生?マ、マジ光の事が好きなのか?」
「ス・キ・よ」
「だって、年下だぞ」
「悪かったわね、オバサンで。ウイーッ」
「いやいや、そんな事は言ってねえから」
「今の光君可愛いじゃない。放っとけないのよね」
「母性本能ってヤツかぁ?」
「ウィーッ」
「しゃっくり止まんねえな…ほれ、水」
「ありがとう。ウイーッ」
【地獄の門】
〈重い扉が開かれる〉
「どうなされた?」
「魔界の扉が開かれた形跡が有るのですが」
「まさか?!」
「あの者はどうしています?」
「あの魂の入った封印の壺は、結界を張り巡らせて厳重に警戒しています」
「そうですか…まさか外に出ている…なんて事は…」
「まさか!!まさか、まさか」
「一応調べさせてもらっても良いですか?」
「そういう事でしたらどうぞ。どうぞお入りください」
〈地獄の門を光の天使が入って行く〉
「(いつ来ても気味が悪いわね…この雰囲気だけは慣れる事は無いわ)」
〈川の中から何本もの手が伸びて来る。その手は光の天使を掴もうとする〉
「嫌ぁん」
〈光の天使は翼を広げてふわっと舞い上がる〉
「お気を付けください」
「(もう、早く言ってよね)」
〈地獄の番人に案内されて奥へと進む光の天使〉
【封印の間】
〈話しながら歩く二人〉
「ちゃんとこの奥に、封印の壺に入れて…」
〈地獄の番人は視線を天使から封印の間の奥に移す〉
「ああっ!!!け、け、結界が!!こ、これは…これは一体どうした事か?!」
「やっぱりか…(当たるのよね、私の…悪い予感…まあ、ここを出たところで転生禁止だから、もう一度人間として生まれる事は無いけど…また嫌な予感)」
〈呆然と立ち尽くす地獄の番人〉
【闘技場】
「よっしゃ!準決勝進出!」
「お兄ちゃん強い」
「まあ、俺の剣のおかげだな」
「くりきんとんのおかげじゃなくて、魔法石のおかげでしょう?」
「うっせえなあ、誰も俺のおかげなんて言ってねえだろ」
「小倉杏ちゃんも残ってるわよ」
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「おお!わあー!」
「やったね、遂に決勝だよ」
「相手は誰かしら?」
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「猫魔どうしたの?」
「ちょっと行って来るニャ」
「どこ行くの?」
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「え?どういう事?ちょっと猫魔!」
「行っちゃったね。まだ魚こんなに有るのに」
【闘技場前】
「(あれは気のせいなんかじゃないニャ。確かに奴の気配がしたのニャ)」
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「おお!遂に、遂に呼び出す事が出来たか!!」
〈黒いエネルギー体が祈祷師の体の中に入って行く。そして祈祷師の口を借りて語り始める〉
「私を呼び出したのはお前か?何の用だ?」
〈今度は変わって祈祷師が喋る〉
「魔物を召喚するのだよ。あんたなら出来るだろう?」
「容易い事だ」
「この国はザッハトルテ公爵様が治めるべきなのだ」
「それで?魔物を召喚してどうしようと言うのだ?」
「邪魔な者どもを葬り去るのだよ」
「良かろう。だが、どうなっても知らんぞ」
【闘技場控え室】
〈光の神が剣を研いている〉
「神様大変ニャ!」
「どうした?猫魔」
「奴の気配を感じるニャ、あの魔道士ニャ」
「なんだって?!あの者が人間界に来ていると言うのか?」
「間違い無いニャ。あれは奴の気配ニャ」
「お前がそう言うのなら確かで有ろう」
「人間界に来て何をするつもりなのニャ?」
「それを知ってどうするつもりかね?」
「誰ニャ?」
「ほほう、私を知らんのか。まあ、お前のような物の怪に名乗った所で何の得にもならんが教えてやろう。私はザッハトルテ公爵。いずれこの国を、いや世界を治める王となるのだ、覚えておくが良い」
「奴が居るニャ!どこニャ!」
「フフフフフ、ハハハハハ、ハッハッハ」
「コイツが怪しいニャ」
〈クンクンと祈祷師の身体の臭いを嗅ぐ猫魔〉
「久しぶりだな、猫魔」
「何で俺の名前を知ってるニャ?俺はお前なんか知らないニャ」
「この体は私の物ではない。この男の体を借りているだけの事」
「どういう事ニャ?」
「そんな事をお前が知る必要は無い。これから死ぬお前がな、ハハハハハ」
「やっぱりお前が怪しいニャ!」
【試合会場観客席】
〈ザワザワ、ザワザワ…決勝開始時刻になっても紫月光が現れないので観客が騒ぎ始めた〉
「いつになったら始まるんだ?」
「もう一人はどうしたんだよ?」
「怖気付いて逃げ出したんじゃねえか?」
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〈ズキン!!とフィナンシェ姫の胸が痛む〉
「今のは何?(この感覚…遠い昔…覚えが有るような…いいえ、そんなはず…でも、何だかとても嫌な予感がするの)」
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「おい、まだかよ?」
「お兄ちゃん…」
「大丈夫。光はきっと来るよ」
【試合会場】
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「グガーー!」
「さあ、お前の餌だ、この二人を食べて良いぞ」
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「(ダメなのニャ。神様は優し過ぎるのニャ。だからあの時みたいに…あの時みたいなのは嫌なのニャ。神様の事は俺が守るニャ)」
【天上界女神の泉】
「どうなってんだ?あいつ…おーい神様。どうしたんだよ?」
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「恐らく」
〈女神は水面に光の神の姿を映し出す〉
「おおっ!こんなとこに居やがった。何だ?あいつらは…」
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〈フィナンシェ姫が席を立つ〉
「姫様どちらへ?」
「あ…ちょっと、気になる事が有るのです」
〈会場を出るフィナンシェ姫を騎士隊長が警護する〉
【天上界女神の泉】
「あん?何だ?化物か?」
「何ですって?」
〈水面を覗き込む光の天使。そこには魔物と戦う猫魔の姿が映し出されていた〉
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「あーら、可愛いモンスターちゃんね、こんな奴の言う事聞いちゃダメよ」
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「ごめんねー。上で色々忙しかったのよ」
「誰と話しておるのだ?」
「公爵様にはお見えにならないようですが、邪魔者が現れました」
「さあ、こっちへいらっしゃーい」
〈光の天使がそう言って両手を広げると、魔物は子犬のように穏やかになりそばに行った〉
「良い子ねー」
「何だ、寝てしまったではないか。使えない奴め。何をしておる!もっと強い魔物を召喚しろ!」
「何事です」
「これはこれはフィナンシェ姫様。ご機嫌麗しゅう」
「ここで何をしているのです、ザッハトルテ公爵」
〈床で眠っているいる魔物〉
「物の怪か?!姫様!」
〈騎士隊長は剣を抜いてフィナンシェ姫の前に出る〉
「これはいったいどういう事です、公爵。事と次第によっては公爵家とて許すわけには参りませんぞ」
「私はただ、武術大会を見物に来ただけだ」
「ならば観客席に参られよ」
「ふん、生意気な近衛騎士め」
「参るぞ、祈祷師」
「はっ」
〈猫魔達を睨みつける祈祷師〉
「今日のところはこのぐらいにしておいてやる」
〈姫を威嚇するように部屋を出るザッハトルテ公爵達〉
「光さん…あ、腕が」
「ああ、大した事は無い。後で餡先生に」
「わたくしが」
〈フィナンシェは光の神の腕の血を拭き傷口にハンカチを巻く〉
「これで良いわ。後は餡先生に診てもらってください」
「ありがとう」
「この物の怪の始末は我々近衛騎士隊が」
「待ってくれ。そいつは俺が責任をもって魔界に連れて帰るニャ」
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「わー!わー!」
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ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
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