やっぱりやらねば(続)

Anastasia

文字の大きさ
23 / 45
アイラと廉

その7-04

しおりを挟む
「セスのボケボケ。ドレスまで買ってないんだから、なにやってるのよ、あの男!」
「普通は、そんなものだろう?」

「うちの一族では、普通じゃないの。そんな情けない男なんて、うちの一族では、通用しないんだから」
「それは、怖いねえ」

「情けないったら、ありゃしないわ。グエン伯母さんの苦労が目に見えて、ホント、私も同情しちゃうわ」

 まあ、その予定はなかったのだが、それでも、一応、


(その失敗は、繰り返さない方が身の為だろう)


と廉も無言でこぼしていたのだった。

 アイラが自分の髪の毛を乾かし終えたらしく、続きのバスルームから出てきて、ベッドの横に立って廉を見下ろすようにした。

 それから、艶かしく、自分の着ている短いローブを、肩からスルスルと落とし出した。

「ねえ、これどう?」

 ポトっと、ローブが床に落ちていき、気取ってポーズを取ったアイラの体には――随分、扇情的せんじょうてきな下着がつけられていた。

 今度は、赤色のレースの入ったもののようで、最低限だけを隠しているだけのその小さな下着が、アイラの柔らかな体にピッタリとつけられていて、お揃いのガーターベルトをつけて、アイラの口元に艶笑が浮かんでいく。

「いいね」
「そうでしょう」

「それ、結婚式用のやつ?」
「違うわよ。こ・れ・は、この間のセールで買ったやつ。結婚式用のは、ちゃんと揃えるから、心配しなくてもいいのよん、レンちゃん」

「心配はしてないけどね」

 廉はベッドで少し起き上がって、アイラの方に腕を伸ばした。

 アイラがその手を受け取ると同時に、グイッ――と、廉がアイラを強く引き寄せて、そのままベッドに押し倒す。

 すぐに、廉の口がアイラの首元に押し付けられてくる。

「これねぇ、フロントホックなのよー。私の胸じゃあ、フロントのやつ探すの大変なんだから」
「俺はどっちでもいいけど」

「ねえ、ミカがいるのに、やる気じゃない」
「なんで?」

「ゲストが来てるのに、節度を保って――だったっけ? 日本人でしょう」
「やめて欲しいの?」

 その言葉の割には、廉は下着越しからアイラの胸を揉みしだきだしていた。

 そして、躊躇いもなく、アイラの柔らかな胸に廉の口が届き、アイラの口からなまめかしい吐息が漏れていた。

「なんで? ミカなんか、うちらがセックスしてるの知ってるじゃない」
「だったら、アイラの言いたかったことは?」

 アイラは押し寄せくる快感に身をよだねながら、ふっと、薄くその口元に微笑を浮かべた。

「次の日、セックスしてるってバレバレよ。ミカに、見せびらかすな、って怒鳴られるわよ」
「俺が?」

「他に誰がいるのよ」
「まあ、それも仕方がない」

「やる気ねぇ」
「誰かさんが、あからさまに誘ってくるから」

「誘わなかったら、やらないのぉ?」
「さあ」

 廉の返事は、至極、淡々としたものだったが、アイラはそこで笑っていた。

 はっきり言って、この外見からは、到底、想像できないが、随分、廉は、その冷めた顔とは反して、ベッドの上では、かなり燃え上がる男だったのだ。

 抱き合わないことには、そんなことも知らなかったアイラだったが、その事実を知ったからと言って、文句があるのでもない。

 最初だけで尻つぼみ――とはゴメンこうむりたい。

 まあ、一応、本人は、まだまだやる気らしく、一緒に住み始めてからも、アイラに触れてこない日はないほどだ。

 週末になると、暇なものだから、更に、その回数が増してくる。

「レンちゃん~、私ねぇ、パワーもスタミナもある男、好きよぉ。こっちまで、パワーが溢れてくる感じだから」

 アイラの場合は、それを源にして食い尽くす――と言った感じなのだが。

「それは、どうも」
「ねえ、だから熱くして。燃え上がるほど、熱くしてぇ。――うーん……、いい感じ」

 抱かれている状態でも、男を平気で誘惑してくるのである。

 快感に酔っているアイラの口元には、艶かしい微笑が上がっていた。

 アイラは自分の性感を隠しもしようとはせず、恥ずかしげもなく、その要求を簡単に口に出してくる。
 アイラ自身も、自分の欲しいものは自分で手に入れる――ことが常だ。

 癖になってはまり込んでいる廉の欲求を知って尚、アイラはそれ以上の要求で、自分の性欲に貪欲だ。
 パワーで負かされそうなのは――廉の方である。

「――いい……わ……。――もっと―――」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...