やっぱりやらねば(続)

Anastasia

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アイラと廉

その7-04

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「セスのボケボケ。ドレスまで買ってないんだから、なにやってるのよ、あの男!」
「普通は、そんなものだろう?」

「うちの一族では、普通じゃないの。そんな情けない男なんて、うちの一族では、通用しないんだから」
「それは、怖いねえ」

「情けないったら、ありゃしないわ。グエン伯母さんの苦労が目に見えて、ホント、私も同情しちゃうわ」

 まあ、その予定はなかったのだが、それでも、一応、


(その失敗は、繰り返さない方が身の為だろう)


と廉も無言でこぼしていたのだった。

 アイラが自分の髪の毛を乾かし終えたらしく、続きのバスルームから出てきて、ベッドの横に立って廉を見下ろすようにした。

 それから、艶かしく、自分の着ている短いローブを、肩からスルスルと落とし出した。

「ねえ、これどう?」

 ポトっと、ローブが床に落ちていき、気取ってポーズを取ったアイラの体には――随分、扇情的せんじょうてきな下着がつけられていた。

 今度は、赤色のレースの入ったもののようで、最低限だけを隠しているだけのその小さな下着が、アイラの柔らかな体にピッタリとつけられていて、お揃いのガーターベルトをつけて、アイラの口元に艶笑が浮かんでいく。

「いいね」
「そうでしょう」

「それ、結婚式用のやつ?」
「違うわよ。こ・れ・は、この間のセールで買ったやつ。結婚式用のは、ちゃんと揃えるから、心配しなくてもいいのよん、レンちゃん」

「心配はしてないけどね」

 廉はベッドで少し起き上がって、アイラの方に腕を伸ばした。

 アイラがその手を受け取ると同時に、グイッ――と、廉がアイラを強く引き寄せて、そのままベッドに押し倒す。

 すぐに、廉の口がアイラの首元に押し付けられてくる。

「これねぇ、フロントホックなのよー。私の胸じゃあ、フロントのやつ探すの大変なんだから」
「俺はどっちでもいいけど」

「ねえ、ミカがいるのに、やる気じゃない」
「なんで?」

「ゲストが来てるのに、節度を保って――だったっけ? 日本人でしょう」
「やめて欲しいの?」

 その言葉の割には、廉は下着越しからアイラの胸を揉みしだきだしていた。

 そして、躊躇いもなく、アイラの柔らかな胸に廉の口が届き、アイラの口からなまめかしい吐息が漏れていた。

「なんで? ミカなんか、うちらがセックスしてるの知ってるじゃない」
「だったら、アイラの言いたかったことは?」

 アイラは押し寄せくる快感に身をよだねながら、ふっと、薄くその口元に微笑を浮かべた。

「次の日、セックスしてるってバレバレよ。ミカに、見せびらかすな、って怒鳴られるわよ」
「俺が?」

「他に誰がいるのよ」
「まあ、それも仕方がない」

「やる気ねぇ」
「誰かさんが、あからさまに誘ってくるから」

「誘わなかったら、やらないのぉ?」
「さあ」

 廉の返事は、至極、淡々としたものだったが、アイラはそこで笑っていた。

 はっきり言って、この外見からは、到底、想像できないが、随分、廉は、その冷めた顔とは反して、ベッドの上では、かなり燃え上がる男だったのだ。

 抱き合わないことには、そんなことも知らなかったアイラだったが、その事実を知ったからと言って、文句があるのでもない。

 最初だけで尻つぼみ――とはゴメンこうむりたい。

 まあ、一応、本人は、まだまだやる気らしく、一緒に住み始めてからも、アイラに触れてこない日はないほどだ。

 週末になると、暇なものだから、更に、その回数が増してくる。

「レンちゃん~、私ねぇ、パワーもスタミナもある男、好きよぉ。こっちまで、パワーが溢れてくる感じだから」

 アイラの場合は、それを源にして食い尽くす――と言った感じなのだが。

「それは、どうも」
「ねえ、だから熱くして。燃え上がるほど、熱くしてぇ。――うーん……、いい感じ」

 抱かれている状態でも、男を平気で誘惑してくるのである。

 快感に酔っているアイラの口元には、艶かしい微笑が上がっていた。

 アイラは自分の性感を隠しもしようとはせず、恥ずかしげもなく、その要求を簡単に口に出してくる。
 アイラ自身も、自分の欲しいものは自分で手に入れる――ことが常だ。

 癖になってはまり込んでいる廉の欲求を知って尚、アイラはそれ以上の要求で、自分の性欲に貪欲だ。
 パワーで負かされそうなのは――廉の方である。

「――いい……わ……。――もっと―――」

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