ぶよぶよ人間

クイン

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プロローグ

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 お父さんがいなくなってから、お母さんは笑ってくれなくなりました。
 小学校には数えるほどしか通っていません。身体が弱いからというのもありますが、クラスメイトと仲良くできないのです。学校というところは何かとみんなでやらせたがります。僕がまだ学校に行っていた時に、図工の時間に好きな絵を描こうと言われたので『ぶよぶよ人間』を描いたらクラスの子に気味悪がられてしまいました。
 家に帰るとお母さんは、部屋の隅でずっと何か言いながら座っています。――お腹がすいた。お腹を擦りながら僕は六畳一間の部屋の隅でうずくまっている。お母さんは何か独り言をぶつぶつといいながら僕に近づいてきた。お母さんの手が僕の首に触れ、そのまま強く握られる。僕はそのまま意識を失った。
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