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呆気ない事件の解決
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ケヴィンが部屋に帰って来てから間も無く、ニノンもまた部屋へと戻って来た。教団の者曰く、犯人と思われる人物は見つかっているものの、まだ完全に彼の犯行だという証拠が見つかっていない以上、誰しもに犯行の疑いがあるのだそうだ。
それは同じ教団の護衛隊の隊員であっても例外ではない。シン達やケヴィンの見張りとして行動を共にしていた彼女もまた、協力者である可能性や真犯人である容疑者の枠に漏れないのだと待機を命じられたらしい。
ケヴィンよりも更に踏み込んで調査内容を聞いていたニノンによると、犯人のクリストフ・ベルツは犯行に空気の球体に音を閉じ込めて飛ばす能力を有しているらしく、それを用いて密室のジークベルトを殺害したと供述していたらしい。
「音の球体?それってまるで・・・」
「そう、この街の名物でもある”音のシャボン玉“と、性質がよく似ているの。もしかしたらこの街にシャボン玉も彼の仕業なんじゃないかって、その辺の関係性も調査している様よ」
「けど、そのシャボン玉ってずっと前からこの街にあるものなんだろ?何かおかしくないか?」
この世界線で犯人として拘束されたクリストフは、前の世界線でシン達が戦った音楽学校の生徒といった印象とは大きく違い、かなり年配の音楽学校の職員として現れたらしい。
シン達や他の者達の記憶でも、その点には違和感が無い様でまるでこの街に来てから、そんな人物にも会ったなという印象でしかなかった。
ではレオン達の同級生として、マティアス司祭の付き人をしていたクリストフのポジションには一体誰が当てはめられているのだろうか。それとも、そもそもクリスという少年自体が存在しないのか。
「そう言えば、亡くなったと思われていたマティアス司祭だけど、息を吹き返したそうよ」
「息を吹き返した!?じゃぁ他の殺された人達ももしかして・・・」
驚くツクヨに、ニノンはマティアス司祭がこれまでの犯行の犠牲者の中で例外的であった故のものだと答えた。確かに彼だけが心肺停止の状態で見つかった時間帯が違っていた。
調べてみるとと、マティアス司祭は薬物による一時的な仮死状態であった事が判明したらしく、今は何故その様な状態になっていたのか聞き出す為、マティアス司祭の回復を待っているのだという。
「発見された時刻や状態からも、彼だけは別の人物による犯行だと思われるわね。本当にあの男が犯人なのかしら・・・」
犯人は他にいるのではないかと考え始めるニノンに、ケヴィンはオイゲンと企んでいた計画について明かした。これは既に犯人が捕まった事、それに調査内容を話してくれた彼女に対する誠意として、本当の事を語る事にした。
彼もまたこの中に犯人はいないと考えていたからこそ、真実を語ろうと思ったのだろう。
「あぁ・・・すみません、アレは私の仕業でして」
「えっ?」
「マティアス司祭の件です。彼に仮死状態になる薬を与えたのは私なんですよ」
「えッ!?何故そんな事を」
ケヴィンはマティアス司祭が、犯人の次のターゲットになるのではないかと考えていた事を明かした。教団関係者が狙われていく中、役職を持つ人物として最後に残ったマティアス司祭が狙われると推理したケヴィンは、オイゲンの協力を得て先回りして彼を死んだと思わせたのだ。
これで犯人の次の行動を探ろうと思ったが、犯人は教団関係者以外のベルヘルムを狙った。後の調べで彼がジークベルト大司教と、何やら取引をしていた事が発覚。犯人の目的が教団の者と、それに密接な関わりのある人物達である事は明らかだった。
そしてこの世界線での次の日、つまりシン達にとって今日は犠牲者が見つかる事はなく、代わりに自分が犯人だと自供するクリスと同じ名を名乗るクリストフ・ベルツという男が捕まった。
「そんな事が・・・。オイゲンの奴、後で問い詰めてやるッ!」
「彼は私に協力してくれただけですので、どうかお手柔らかにしてあげて下さい。しかしここまでして何ですが、このまま犯人として彼の犯行が認められれば・・・」
「事件解決ね。それとも探偵として何か引っ掛かる事が?」
ケヴィンとニノンが会話を進めていると、彼らの部屋に来客がやって来る。ツクヨが自分が出るといって扉を開けると、そこにいたのは教団の護衛隊の者だった。
ニノンに話があると言う彼に、ニノンが歩み寄る。話の内容は犯人の供述と犯行の関係性に関する調査の結果だった様なのだが、ケヴィンが懸念していた通り、宮殿での一連の事件はクリストフ・ベルツの犯行として証明されたのだと言う。
「そうか、わざわざ済まないな」
「いえ、それから皆さんの外室制限も解除となりました。犯行現場に関してはもう少し立ち入り禁止にはなりますが、帰国される方達に関しては簡単な聴取を経た後に自由行動となりますので、こちらの部屋の皆さんにも・・・」
「あぁ、私から説明しておこう。他に何か手伝える事は?」
「いえ特には。オイゲンさんに顔を見せてあげて下さい。勿論、問い詰めるのは全てが終わった後でという事で」
会話を終え、護衛隊の者が帰っていくとニノンはシン達に宮殿から解放される事になったと、その経緯を含めて説明した。
これで一先ずは自由に行動できる事になった訳だが、シン達にとっても何ともモヤモヤした終わり方の事件となった。ケヴィンに協力する事でアークシティの情報や教団について教えてもらう予定だったが、これでも取引が成されたと思っていいのだろうかと、シンはケヴィンにこれからについて尋ねる事にした。
それは同じ教団の護衛隊の隊員であっても例外ではない。シン達やケヴィンの見張りとして行動を共にしていた彼女もまた、協力者である可能性や真犯人である容疑者の枠に漏れないのだと待機を命じられたらしい。
ケヴィンよりも更に踏み込んで調査内容を聞いていたニノンによると、犯人のクリストフ・ベルツは犯行に空気の球体に音を閉じ込めて飛ばす能力を有しているらしく、それを用いて密室のジークベルトを殺害したと供述していたらしい。
「音の球体?それってまるで・・・」
「そう、この街の名物でもある”音のシャボン玉“と、性質がよく似ているの。もしかしたらこの街にシャボン玉も彼の仕業なんじゃないかって、その辺の関係性も調査している様よ」
「けど、そのシャボン玉ってずっと前からこの街にあるものなんだろ?何かおかしくないか?」
この世界線で犯人として拘束されたクリストフは、前の世界線でシン達が戦った音楽学校の生徒といった印象とは大きく違い、かなり年配の音楽学校の職員として現れたらしい。
シン達や他の者達の記憶でも、その点には違和感が無い様でまるでこの街に来てから、そんな人物にも会ったなという印象でしかなかった。
ではレオン達の同級生として、マティアス司祭の付き人をしていたクリストフのポジションには一体誰が当てはめられているのだろうか。それとも、そもそもクリスという少年自体が存在しないのか。
「そう言えば、亡くなったと思われていたマティアス司祭だけど、息を吹き返したそうよ」
「息を吹き返した!?じゃぁ他の殺された人達ももしかして・・・」
驚くツクヨに、ニノンはマティアス司祭がこれまでの犯行の犠牲者の中で例外的であった故のものだと答えた。確かに彼だけが心肺停止の状態で見つかった時間帯が違っていた。
調べてみるとと、マティアス司祭は薬物による一時的な仮死状態であった事が判明したらしく、今は何故その様な状態になっていたのか聞き出す為、マティアス司祭の回復を待っているのだという。
「発見された時刻や状態からも、彼だけは別の人物による犯行だと思われるわね。本当にあの男が犯人なのかしら・・・」
犯人は他にいるのではないかと考え始めるニノンに、ケヴィンはオイゲンと企んでいた計画について明かした。これは既に犯人が捕まった事、それに調査内容を話してくれた彼女に対する誠意として、本当の事を語る事にした。
彼もまたこの中に犯人はいないと考えていたからこそ、真実を語ろうと思ったのだろう。
「あぁ・・・すみません、アレは私の仕業でして」
「えっ?」
「マティアス司祭の件です。彼に仮死状態になる薬を与えたのは私なんですよ」
「えッ!?何故そんな事を」
ケヴィンはマティアス司祭が、犯人の次のターゲットになるのではないかと考えていた事を明かした。教団関係者が狙われていく中、役職を持つ人物として最後に残ったマティアス司祭が狙われると推理したケヴィンは、オイゲンの協力を得て先回りして彼を死んだと思わせたのだ。
これで犯人の次の行動を探ろうと思ったが、犯人は教団関係者以外のベルヘルムを狙った。後の調べで彼がジークベルト大司教と、何やら取引をしていた事が発覚。犯人の目的が教団の者と、それに密接な関わりのある人物達である事は明らかだった。
そしてこの世界線での次の日、つまりシン達にとって今日は犠牲者が見つかる事はなく、代わりに自分が犯人だと自供するクリスと同じ名を名乗るクリストフ・ベルツという男が捕まった。
「そんな事が・・・。オイゲンの奴、後で問い詰めてやるッ!」
「彼は私に協力してくれただけですので、どうかお手柔らかにしてあげて下さい。しかしここまでして何ですが、このまま犯人として彼の犯行が認められれば・・・」
「事件解決ね。それとも探偵として何か引っ掛かる事が?」
ケヴィンとニノンが会話を進めていると、彼らの部屋に来客がやって来る。ツクヨが自分が出るといって扉を開けると、そこにいたのは教団の護衛隊の者だった。
ニノンに話があると言う彼に、ニノンが歩み寄る。話の内容は犯人の供述と犯行の関係性に関する調査の結果だった様なのだが、ケヴィンが懸念していた通り、宮殿での一連の事件はクリストフ・ベルツの犯行として証明されたのだと言う。
「そうか、わざわざ済まないな」
「いえ、それから皆さんの外室制限も解除となりました。犯行現場に関してはもう少し立ち入り禁止にはなりますが、帰国される方達に関しては簡単な聴取を経た後に自由行動となりますので、こちらの部屋の皆さんにも・・・」
「あぁ、私から説明しておこう。他に何か手伝える事は?」
「いえ特には。オイゲンさんに顔を見せてあげて下さい。勿論、問い詰めるのは全てが終わった後でという事で」
会話を終え、護衛隊の者が帰っていくとニノンはシン達に宮殿から解放される事になったと、その経緯を含めて説明した。
これで一先ずは自由に行動できる事になった訳だが、シン達にとっても何ともモヤモヤした終わり方の事件となった。ケヴィンに協力する事でアークシティの情報や教団について教えてもらう予定だったが、これでも取引が成されたと思っていいのだろうかと、シンはケヴィンにこれからについて尋ねる事にした。
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