World of Fantasia

神代 コウ

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再び聞こえる声

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 決意の先に手にした絶好のチャンスに、プラチドは自身の持てる最大のスキルを用いて、アンナにトドメを刺さんとする。錫杖に魔力を集中させるプラチド。次第に溢れ出した魔力が彼の背後に女神のようなビジョンを作り出した。

「アイツ・・・あんな魔力をッ・・・!」

「プラチドさん・・・!」

 そしてその女神のビジョンは両手を広げながらアンナの方へと伸ばすと、優しく包み込むように両手の掌で包み込む。アンナも必死に逃げようとしていたようだが、まるで吸い寄せられるように女神の手の中に留まっていた。

 強くも温かい光を放つ女神の手元。するとそれに応じて、周囲にいたケイシーが相手をしていた謎の人物達や、ツクヨが布都御魂剣の能力で特定していたシャボン玉などが、突如として次々に消滅していったのだ。

「な・・・消えた?」

「やったのか?」

 何が起きているのか状況を把握出来ずにいた二人は、目の前の脅威が去ると同時に自分達の発動していたスキルを解除する。行き場を失った魔力は宙を舞い露へと消える。

 気配を探りながら身の回りの気配に気を配るツクヨとケイシーは、強い光を放っていたプラチドのビジョンの方に目をやると、彼のスキルが生み出した女神のビジョンも、まるで砂金のように綺麗な光の粒となって姿を消していく。

 そしてその中から現れたプラチドは、全ての魔力を使い果たしたかのようにその場にうつ伏せの状態で倒れてしまう。

「馬鹿野郎ッ・・・!やっぱり捨て身の攻撃だったのかよ!」

 魔力や体力の消費が激しかったのは、ケイシーやツクヨも同じ。フラつく足取りで床に倒れるプラチドの元へ向かうケイシーとツクヨ。小人の身体では身体を起き上がらせられないケイシーに代わり、ツクヨがプラチドの身体を仰向けにし、その身体を抱える。

「プラチドさん!しっかしりして下さい、聞こえてますか?」

「俺のスキルで回復させる。そのままにしてろ」

 ツクヨはケイシーに言われるがままその場でプラチドの身体を固定して動かないように固定すると、その間にケイシーが床に植物の種らしき物を置くと、種から現れた根っこが床を貫き地中の魔力を吸い上げ、葉や茎を大きくして急成長する。

 蕾をつけた植物が花を咲かすと、その中心から魔力を意識を失っているプラチドへと送る。暫くして意識を取り戻した彼は、自分の力でツクヨの腕の中から起き上がると、自分が気を失っている間の出来事と状況について尋ねた。

「俺はどれくらい・・・?あの女はどうなった?」

「大丈夫、あれからそれ程経っていません。それに彼女もあれから姿を見せていない・・・。これで終わったんでしょうか?」

「それはどうだろうな。宮殿の他の場所ではまだ戦闘が行われてるようだぜ?まだそこら中から戦闘音が聞こえる」

 通常の人間とは違い、気配感知も五感も優秀である小人族。ツクヨには聞こえない音も彼には聞こえていたようで、彼曰くまだ謎に人物達も他の場所には出現しているらしい。

 彼らの前から姿を消したのは、あくまでアンナによって召喚された謎の人物達だけだったようだ。それに伴い、彼女の生み出していた音の衝撃を閉じ込めたシャボン玉も、既にツクヨの感知には引っ掛からなかった。

「でも良かった。これで入り口の脅威が去ったのなら、私達も司令室へ・・・」

 バッハの後妻であるアンナを退けた一行は、仲間達のいる司令室に戻り入口での戦闘に報告と、他の宮殿で起きている戦闘状況の確認、そして援護を行う為戻ろうと話している時。何者かの声が、消失した筈のアンナに向けて言葉を連ねる。

「まさか貴方が倒されるなんて・・・。少し他の場所へ意識を割き過ぎたのかもしれませんね。ですが私の方の準備が整った以上、計画に変更はありません。もう一度貴方のお力を貸して頂けますか?」

 その声は一行には聞こえることなく、まるで突然湧き出したかのように、彼らの前に再びアンナ・マグダレーナが姿を現した。それもこれまで以上に溢れ出る魔力を帯びながら・・・。

「おいッ・・・アレ!!」

「何の・・・冗談だ・・・!?」

 満身創痍の彼らの前に再び現れるだけでなく、見るからにパワーアップした状態で現れたアンナを前に、最早新たな作戦など考えられず思考が停止してしまう。

 万全の状態でもアレだけ苦戦したアンナに、これ以上どうやって戦えばいいのか。そんな絶望の空気を漂わせる一行には、アンナは無慈悲にも周囲に複数のシャボン玉を生成する。

 最早隠す必要もないと言わんばかりに、肉眼でも確認できる程の高密度な魔力で作り上げられたソレは、まさに逃げ場もないほどの量の銃口を向けられているようだった。
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