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最終章 全ての元凶

強大な力に飲み込まれる

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「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 結衣が突然咆哮し出す。
 その大声に、全員が耳を手で抑えながら声があがった方を見る。
 結衣は宙に浮いているが、苦しそうに悶えていた。

「結衣さん……」
「このままだと結衣ちゃんが危険じゃないですか!?」

 明葉が心配そうにそれを眺め、緋依はいてもたってもいられない様子で叫ぶ。
 みんな少なからず結衣を助けたいと思っている。
 だがルリだけは、傷だらけの顔で不敵に笑う。

「そうじゃな。何せ二人分の願い――力が、一つの身体に入っているのじゃからな。それにあの二人は願いが強いしのう」
「悠長にそんなこと言ってる場合じゃないだろ! 結衣ちゃんが……結衣ちゃんが……っ!」

 ルリの説明を聞いて、美波が大きな声で叫ぶ。
 結衣のこの状態は、誰の目から見ても危険に違いない。

「結衣おねーさんっ! 今行くですにゃ!」
「あ……! だめ、だよ……っ! 今……行ったら……」

 夏音がこちらに向かってきている動きを、結衣は飢えた肉食獣のような目で注視する。
 ギロリと睨むように見て、魔法陣を展開した。

 さすがにやばいと感じたせーちゃんが、結衣に向かって魔法の効かない武器を投げつける。
 その隙にせーちゃんは夏音を迎えに行く。

「夏音……! 何やってるの! 死にたいの!?」
「せーちゃんさん……でもっ! あのままじゃ結衣おねーさんが……!」
「――わかってるわ。……ええ、わかってるから」

 夏音の叫びを遮るように言ったせーちゃんの声は、妙に重い響きだった。
 それを感じた夏音は、しぶしぶ結衣のそばを離れる。

「結衣おねーさん……絶対、助けますにゃ……」

 せーちゃんの武器をひらりと躱す結衣を見て、夏音はそう決意した。
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