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第一章 少女たちの願い(後編)

魔法を酷使してまで

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「……しっかし、見つからないね……」
「人が多くて土地も広いですからねぇ~……見つけるのは至難の業かと」

 結衣は既に変身し、探索魔法をかけている。
 だが、夏音を見つけることは出来ていない。
 魔法も万能ではないということだ。

「はぁ……はぁ……」
「大丈夫ですか、結衣様? 少し休まれた方が……」

 そう。結衣は夏音を探すため、魔力を使いすぎたのだ。
 飛行魔法、認識阻害魔法、探索魔法を同時に使えばそうなるだろう。

 結衣の身体は疲弊し切っていて、顔色が悪い。
 足元もおぼつかなくて、フラフラしている。

「でも……っ、こうしているうちにも夏音ちゃんが危険な目に遭ってたら……っ!」

 結衣はあらゆる可能性を危惧する。
 誘拐された可能性。
 あるいは、ただの迷子である可能性。

 ……あるいは。
 新たな敵に捕らわれている可能性。

「夏音ちゃん……!」

 結衣はいてもたってもいられなくなって、叫び出す。
 だが、その叫びに応えるものはいない。
 結衣は泣きそうになるが、必死に堪える。
 泣いても、事態が好転することはないと分かっているからだ。

 結衣は再び、探索魔法をかける。
 無理をしてでも、絶対に夏音を見つけなくてはならない。
 そう、美波と約束したから。

「……あれ? あ! 見てください、結衣様!」
「え? ……あ! 夏音ちゃん!?」

 結衣は今、園の入口付近を飛んでいる。
 その真下辺りに、夏音らしき人物がいるのが見えた。

 結衣は夏音を見つけた高揚感で満ち溢れている。
 地面に降り立ち、認識阻害魔法と変身を解く。
 そして、結衣は夏音の方に駆け寄る。
 だが――……

「えっ!? ちょっ……! どこ行くの!?」

 夏音が結衣に気づいた途端、走って逃げてしまったのだ。
 結衣は困惑しながらも、必死で夏音を追いかける。
 だが、人混みに飲み込まれ、夏音の姿を見失いそうになる。

「結衣様! 空に!」
「……わかった!」

 人気のない所に隠れ、結衣はまたもや変身する。
 そして、空を飛び、再び夏音を追う。

 落ち着いた色ながら、自らを主張するように輝く夏音の髪は、とても見つけやすい。

「夏音ちゃん!」

 夏音に追いつこうとすることに必死で、結衣は違和感に気づくことができなかった。
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