【BL 百合 リョナ】栗垣家兄弟の災難

１章 普通の兄弟。

３話 学校生活

｢じゃあ、後でね｣


学年ごとに昇降口が違うので一番近い３年生玄関で俺はみんなと別れる。


柚鳥のことが心配だけど………風深乃達なら上手くやってくれるはず。


風深乃と柚鳥は双子で、風深乃が姉ではあるけど実質同い年。



｢………さて、｣



久しぶりの学校………




（授業の遅れ、取り戻さなきゃいけないし……他にもやってなかったことやらなきゃいけないけど、）



それに対しての面倒くささよりも………楽しみが勝ってしまう。




｢……よし！｣




ベージュ色のカーディガンの裾をなびかせて、昇降口の扉を潜った。






ーーー


（風深乃side）



｢じゃあまた後で、帰り迎えに来るからね｣



違うクラスの柚鳥と別れて、自分の教室に入った。



｢おはようございます！｣
｢おはよー、風深乃｣
｢おはよ～｣



挨拶をして鞄を下ろして友達と話して、……しばらくして、教室に女の子が入ってきた。




｢せんぱいっ！おはよーございます…っ！｣




……やけに甘ったるい声で挨拶してくる、１年生。


｢七海ちゃん……おはようございます｣



姫野七海。茶道部の後輩。
何故かすごく慕われてて、朝も用もないのにこうやって挨拶しに来てくれるほど。



肩にかかったツインテールの黒い髪、こめかみのうさぎの髪飾り。

タレ目に小さい口………まぁ、顔はすごく可愛いと思う。




けど、私はこの後輩が苦手だった。





｢先輩………またあんな人達と話してたんですね。｣
｢……七海ちゃん………？｣



七海ちゃんはたまに小さい声で何か言っていて、その時の目が………怖い。




｢………ﾁｯ｣
｢七海ちゃん……その、そろそろHRなので………｣



私がそう言うと｢はーいっ！では次の部活で！｣と笑って帰って行った。





……………嫌いでは無いけど怖い。




でも可愛い後輩だから強く言うことは出来なくて、それが仇となったんだと思う。





七海ちゃんが、あんな行動に出るなんて思ってもいなかった。





ーーー


（柚鳥side）



｢………ッ｣



移動時間の時………１人で歩いていたら、先輩と思われる人にぶつかった。



｢あぁ……ごめんね｣
｢………｣



人と話す事が嫌いで、それにはこたえずにまた歩き始める。




｢高崎、何見てんだよ｣
｢……別に？｣





普通そんな事してたら誰にでも嫌われる。
けど別に僕はそんなこと気にしない。




（だって………僕には、チヅがいるから）





他の奴らなんてどうだっていい。





｢おい高崎………早く行くぞ｣
｢あ、ごめんごめん、可愛い子がいたから｣





ーーー

（藍花side）



人見知りな性格のせいか、クラスに友達がいない。


今日も１人で教室の隅で課題をしたり本を読んだりして過ごす。



………けど、こんな私にかまってくれる人がいる。




｢ね、何読んでんの？｣




私の机の前に立っていたのは、背の高い男子………




｢………愛宮君。｣




愛宮真人。




｢また昨日と違うやつじゃん｣
｢……｣ｺｸ


頷いて、本のタイトルを教える。



｢へー、なんか難しそー｣



外国の本だと教えたらそう言って笑った。




｢……ね、そんなことより遊ぼうよ｣


 
腕を軽く掴まれて、立つように言われた。




｢………｣
｢あー…ちゃんと首輪持ってきたよ、５時間目まで時間あるからさ｣





クラスメイトが友達らしい会話をしている教室の後ろ、



愛宮に連れられて教室を出ていった。