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一章/俺と駆け落ちして下さい。

3.ガイスト

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「クソ………、新学期早々かよ!!」
「……!大変、早く行かないと………」



窓から校庭を見ると、そこに居たのは………超巨大な地球外生命体。



俗に言う魔物…ガイスト。




ガイストは次々と建物や校庭の遊具等を壊していった。


すぐに校内放送が流れた。




『西側校庭にガイスト出没 西側校庭にガイスト出没 タイプは………』




タイプ次第で戦闘要員が変わる。

ガイストのタイプに一番応対出来る生徒………




「今回のタイプは私も入ってるわね………、楓君は?」
「俺も入ってる、行くぞ!!」





ーーー

 西側校庭。


もう既に戦闘モードに入っている生徒が複数いた。


私と楓君もすぐに入る。



「「マグティ発動。」」



マグティ……、戦闘に応対出来るように一時的に戦闘力が上がる装置。


ここで言う生徒手帳みたいなもので、でも見た目は生徒手帳では無く石のようなもの。

これは必ず常備していないとならない。




周りに光とオーブのような丸い光球。

力が溢れる感覚がして、手元には戦う為の武器が浮かび上がる。



それを掴むと武器は現実的な個体になった。




ちなみに武器は人によって違う。
私は杖……、分かりやすく言えば魔法のステッキというもの。




「まずいわね………ガイストを長い間野放しにすると、周りにいる人間が危ない………」



あの魔物を長い間野放しにしておくと建物が崩されるだけでなく、周りにいる人間の貯蔵魔力が閾値を超えて暴発してしまう。




(まぁ簡単に言うと自分の魔力がバグでいきなり多くなって限界を超えてしまう……みたいな。)


限界を超えたら最悪の場合は死に至る。





……あんまりここは難しく考えないで、多分案外どこにでもあるような設定だと思う。





「こっちよ、ガイスト!!」





私がおびき寄せて、その間に楓君が倒す。


昔からそれは変わらなくて、つい癖でやってしまったけど………



「よしっ、あとは任せ……………、………ッ!!?」







ここには私達以外にも人がいる。


その人の多さから、私達2人だけで戦っている訳では無いことを思い知らされた。





「よい……………しょーーーーっと!!!!」







………やけに大きな声が響く。





ガイストを上から殴り、ガイストの頭が潰れた。





「ひ……ッ」



きっと戦っているうちの1人………その子の攻撃だろう。


脳を潰されたガイストはその勢いのまま破裂し、何も残らないくらい跡形もなく消し飛んでしまった。




そして、そのガイストがいた場所には1人の女の子が立っていた。







「…やったー!!おそーじかんりょーっう☆」






………その子は、腰まで伸びたツインテールをなびかせ、仁王立ちをしていた。





「………す…すご………」




あんな小さな子が、ガイストを一発で……………




(それに、マグティはまだ発動中なはず……それなのに武器が見当たらない、それに…さっきの攻撃の仕方は、)




この子は武器を持たずに自分の力だけで戦う少女。





それは………






「も~、実乃ー、こんな派手にやったら目立つじゃない」




(………実乃)




そう呼ばれた少女は、ニコッと笑った。





「でも楽しかったよ!」
「あぁそう……まぁいいわ、帰りましょ」




金髪のおさげの少女に連れていかれ、女の子はその場から去っていった。


他の生徒達も「つかれたね~」なんて言いながら、トドメは与えられなかったにしろ活躍した事に対して労いの言葉を掛け合いながら寮へ戻って行った。





「はぁ……なんでオレがこんなこと」

体操服を着た黒髪セミロングの子。



「どうやらこの私が手を下すまでも無かったようね、……ごきげんよう」

赤い髪をツインお団子にした、オッドアイの子。



「ミィ……ねむい。」

背の低いおっとりとした見た目の子。






「はぁ…、…はぁ、図書室にいたら遅れちゃった……、…って…嘘、もう終わったの…?」


遅れて弥生がやってきた。



「弥生、もう終わったよ。お疲れ様。」
「おつかれ…って、うそ……ごめんなさい………」



まぁ図書室は放送の聞こえも悪いしここからも遠いから仕方ないだろう。





「二つ結びの茶髪の女の子がガイストを頭から殴って一発よ、すごいもの見ちゃったわ………」
「殴ったって………、…ってことは無腰?すごいね………」



なんて話しながら、弥生が怖くて私に近付けない楓君のことをすっかり忘れながら弥生と寮に戻った。






ーーー



「あ…おかえりなさい、三日月、弥生。」



部屋に帰ったら同居人の白雪先輩と羽花先輩がいた。



「ただいま帰りました。あれ、早いですね………」
「いい事にいい事が重なったのよ、始業式だから早く帰れたし、ガイストが木っ端微塵になってくれたお陰で掃除もしなくて済んだからね」



………なるほど。



ちなみにガイストは倒しても体が残ってしまうので掃除が必要。しかも高校には「ガイスト研究部」などという悪趣味な部活があるのでその部員達に受け渡すまでが生徒会の仕事……らしい。



「2人にもお茶を入れてあげるわね。…あ、羽花もおかわりする?」
「ん~…じゃあお願いしまぁす」


早起きしたからか眠たそうな羽花先輩。


ちなみに白雪先輩は高等部、羽花先輩は中等部、私達は小等部。


この部屋は私達4人の部屋で、寝室とリビングで仕切りがされている広めな部屋。




「んぁ……、羽花ちゃん寝ちゃだめなんだったぁ」



羽花先輩が突然むくりと立ち上がった。




「おっせんたくーおっせんたくーー」



……羽花先輩は洗濯係だから、乾かしてた服を取りに行ったんだと思う。

ふらふら寝室に向かい、ベランダに入った。




「………手伝いますか?」
「大丈夫よ、貴方達は帰ってきたばかりなんだからゆっくり休みなさい。」


そういうこと言ってくれる先輩好き………(手伝いめんどくさい)




白雪先輩がいれてくれたホットココアはすごく美味しかった。






ーーー

おまけ…羽花side


「およ?」


隣のベランダにも人がいた。



「……、…ッは!!」
「およよよょー?」




この子、いつもベランダにいる。


黒髪ボブの大人しそうな子。




「み……見てません」
「んぇー?」



可愛いけど小さい声。初めて聞いた。

洗濯物を取り込みながら目線だけそっちを見ていたら、





「し………白雪生徒会長の下着なんて、見てませんから…ッッ!!!」







……………なんてぬかしてきた。





「………おー…、……よ?」





この子もしかして変態かな……………

困った、そういえばうちの生徒会長モテるんだ。





………でも訂正がある。




「……ねぇキミ、この大人~な下着、生徒会長ちゃんのだと思った??」
「ぇ……違うんですか……?高等部、白雪生徒会長だけですよね………?」



………別に高等部だけが大人な下着、着てるわけじゃないと思うけど。





「ちなみに訂正するとその下着は生徒会長ちゃんではなく羽花ちゃんの下着ですっ」
「ぇ"」



動揺してる動揺してる………♪





「それでは信じられないというキミに特別に羽花ちゃんが一肌脱い「羽花~??ベランダではしたない事するのはやめましょうね???」…おや生徒会長ちゃん」


生徒会長好きちゃんが乙女みたいな目になった。面白い。



「ごめんね、…ほら羽花、はしたない事はしちゃ駄目、するならせめて誰も見てないおトイレでしなさい」
「生徒会長ちゃん、もっと本気で止めるべきだと思うよ~?」









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