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『ごめんねジャスティン、あなたを一人にして。これが発動したと言う事は、危ない目にあったのね?大丈夫?怪我はない?』
優しく儚げな声がネックレスから漏れ出る光に乗って流れている。
ジャスティンはじっと目を閉じて、幼い頃から恋しかったであろうその声に聞き入っているようだった。
『…ジャスティン、私がいなくなった事で色々と辛い思いをしていると思う。もし、あなたが自分の立ち位置や過去にあった事で闇に囚われているなら真実を知る方法がある』
ジャスティンはぱっと目を開け、じっとネックレスを凝視している。
知りたい、と思っているであろうその胸中を私は痛いほど感じていた。
陛下の裏切り、アネシャ様の死、王妃様と、その周りの関係も、全て。
彼は幼い頃から命を狙われて来た。誰も信用できないその辛さは私には想像も出来ない。
何故、そうなったかを誰よりも知りたいはずだ。
『私の指輪に、真実の扉を開けと魔力を流しなさい。そうすれば、あなたが知りたいことが何個かあるかも知れない。それは更にあなたを悩ませる事かも知れないから、見る、見ないは任せるわ。ただ、必ず人のいない所で解呪する事。それだけは絶対に守りなさい』
ジャスティンの目が哀しみに揺れる。迷い、困惑、恐怖…様々な感情が浮かんでは消える。
それでも、彼は解呪を選ぶだろう。幼い自分にはひた隠しにされて来た真実を知るために。
私はそっと、ジャスティンの手を握る。
『あぁ、もう時間が…ジャスティン、愛してるわ、私の愛しい子…』
ふっと光が消えて、ネックレスがシャラリと音を立てた。私はジャスティンの手をぎゅっと握って、指を絡ませた。
「…大丈夫、俺にはお前がいる」
「うん」
二人で頷き合った時、廊下の向こうから声が聞こえた。
「いい加減にしなさい!あなたがした事は国同士の関係を壊す行為なのよ!!」
「でもっ…私…!!」
「どれだけの迷惑をかけてると思ってるの!?王女としての自覚が足りないわ!!」
マナカ様の声が怒りに震えている。ミランダ王女様は涙声になっていて、それはきっとジュエルへの想いが強いからだろうと思った。
私はジュエルに目を向けた。まだ意識は戻っていないが、黒いモヤも感じられないから目を覚ますのを待って話を聞こうと思っている。
「カタギリ嬢、こちらは落ち着いた。話を聞かせてくれ」
「えぇ、もちろんよ。見苦しい所をお見せするけれど、ごめんなさいね」
「構わない。ジュエルは気絶していて話は出来ないが」
ジャスティンが部屋から顔を出し、こちらに来ていたマナカ様達に声を掛けた。
私はそっと隣の部屋を覗き、テーブルセットがある事を確認してそちらに移ることを提案する。
ジャスティンがジュエルを抱えて部屋を移動したが、ジュエルは床にごろんと転がされた。
扱いが酷い。
「ジャスティン、ジュエルを床になんて…」
「構わない。俺はそいつを許してはいない。意識が戻って何かをするようならば即刻殺す」
「…っっ!!」
ミランダ王女様がびくりと肩を震わせ青白い顔でジュエルの側に移動した。
本当に好きなんだなぁ、とふと優しい気持ちになる。
「おい、ミリオネア。絆されるなよ、絶対に」
目で人を凍らせる事が出来るのか、と思うほどジャスティンが冷たく言い放つ。
私はとりあえずへらりと笑って誤魔化した。
「それで、ミランダ王女はジュエルとどのような関係か。自ら姿を消したのか、ジュエルに無理矢理連れて来られたのか、どちらだろうか?答えて頂けるか?」
ジャスティンは静かに話し出す。
ミランダ王女様はぐっと言葉を詰まらせた。言葉選びを間違えれば、どうなるかを理解しているのだろう。
「ミランダ、答えなさい。ジャスティン殿下にちゃんとお話をしなさい」
「…はい…」
ミランダ王女様はジュエルの手をぎゅっと握った。
同時にちらちらと私にも怯えた視線を向けてくるが、私自身は特に怒っているわけではない。どちらかと言えば、ミランダ王女様を応援したいし、ジュエルにも立ち直って欲しい。
「わ、私は…ジュエル殿下をお慕いしています…。ジュエル殿下は他国の環境に慣れない私に優しくしてくれて…すぐに好きになりました。ジュエル殿下も、私を可愛い、綺麗だと褒めてくれるようになって…。でも、それは私に言っているんじゃないって、気付いたんです。だから…く、悔しかった……」
「……」
ジャスティンが静かにミランダ王女様の話を聞いている。
「ジュエル殿下の視線の先には…常に、ミリオネア様がいて…彼の視線を捉えて離さないミリオネア様が…き、嫌いでした」
ミランダ王女様はぐっと唇を噛み締める。
その気持ちは私もわかる。私もジャスティンが見つめる女性はみんな嫌いだったから。
「ミリオネアは俺の婚約者だ。ジュエルが結ばれる事はない」
「そうですけど…私は、ジュエル殿下に私だけを見て欲しかったんです…」
しゅんとしてしまったミランダ王女様をジャスティンは冷静に見ている。女心なんてわからないわよね、自分も似たような物だというのに。
「それで、あなたは…その…ジュエルと、そういう…関係だったのか…」
ジャスティンは言葉を選びながらミランダ王女様に質問をする。
聞き辛いし答え辛い…何とも言えない質問よね…。でも、割と大事になってくる内容だから…聞かないわけには進まない。
「わ、私は、ジュエル殿下に純潔を捧げました。でも、後悔はしていません!!私はジュエル殿下を愛しています!!ここに来たのも、無理矢理私が押しかけて…!ジュエル殿下は帰れと何度も言っていました…」
「そうか…」
ミランダ王女様は目に一杯の涙を溜めて、ジュエルを必死に庇っている。私はジャスティンに視線を移した後、ずっと無言で話を聞いているマナカ様を見た。マナカ様は天京様の手をぐっと握っている。
天京様はそんなマナカ様を心配そうに見守っていた。
「ミランダ王女、俺はこの事を国王に報告しなければならない。今聞いた事も報告する事になるが、構わないか…?」
「…はい」
「愚弟が申し訳ない。あなたのお父上にも連絡が行くが、大丈夫だろうか?」
「大丈夫です。私が望んだ事なので、ジュエル殿下は悪くありません」
私はさすが王女様だ、と彼女に拍手を送りたかった。私なら、同じ事が出来ただろうかと考えてしまう。いや、出来なかった。
私がしたのは、ジャスティンから逃げただけ。
「ミリオネア様、勝手に嫌って…攻撃までしてしまって、申し訳ありませんでした」
ミランダ王女様がすっと頭を下げた。
マナカ様もそうだけど、この方達は躊躇いなく謝罪をする。王族なのに、たかが侯爵令嬢如きに。
誠意と真っ直ぐな気持ちが心に刺さる。
私は心から微笑んで、ミランダ王女様に向けた。
「ミランダ王女様、お顔をあげて下さい。私は何も思っていません」
「でも…」
「跳ね返ってしまった事で、お怪我はありませんでしたか?」
「それは…大丈夫です…」
「良かった…」
ほっとして笑ってしまった。
身体に傷でも付いていたら、同じ女性として居た堪れない。
ミランダ王女様はぽかんとした表情で私を見ているが、無事ならそれでいい。
それ以上はない。
「ミランダ、ミリオネアちゃんはとても優しくて、いつも自分より人のことを気にかける方なの。あなたも見習いなさい」
「本当に…ごめんなさい…。ジュエル殿下が心を捧げるのがわかったわ…。私なんて…足元にも及ばない…」
ぼろぼろと涙を流すミランダ王女様に今度は私がぎょっとした。
そんな良いもんじゃない、勘違いだ!と。
「見習うべきは私の方ですわ…。ミランダ王女様はジュエルを守ろうとした。私は…お恥ずかしいですが、ジャスティンから逃げてばかりで…。私も、ミランダ王女様のように、ジャスティンを守りたいです」
「そんな…私はただ皆さんに迷惑をかけて無理矢理側に居ただけで…」
それが、どれだけ難しい事か…私は身を持って体験している。違う女性に目を向ける愛しい人を見つめ続ける事の虚しさ、切なさ…。
私には出来なかった事だ。
「私、絶対にジャスティンの側を離れないわ…」
「それはいい考えだ、ミリオネア。是非忘れずに実行してくれ」
いつの間にか隣にいたジャスティンがニコニコとしている。
ミランダ王女様の目が見開かれて、そのまま固まってしまった。
「天京もそうだけど、温度差が酷すぎて風邪引きそうだわ…」
「お姉様…殿下の噂は嘘だったのね…私、驚いてしまって…」
「え、ジャスティンの噂ってどんなのがあるんですか?聞きたいですわ」
ミランダ王女様はあっ!と言う顔をして、おずおずと口を開いた。
「あの…私の国では…け、決して笑わない氷鉄の王子様と……すみません…」
私は一瞬ジャスティンを見て、「ふふっ…!」と笑ってしまった。
優しく儚げな声がネックレスから漏れ出る光に乗って流れている。
ジャスティンはじっと目を閉じて、幼い頃から恋しかったであろうその声に聞き入っているようだった。
『…ジャスティン、私がいなくなった事で色々と辛い思いをしていると思う。もし、あなたが自分の立ち位置や過去にあった事で闇に囚われているなら真実を知る方法がある』
ジャスティンはぱっと目を開け、じっとネックレスを凝視している。
知りたい、と思っているであろうその胸中を私は痛いほど感じていた。
陛下の裏切り、アネシャ様の死、王妃様と、その周りの関係も、全て。
彼は幼い頃から命を狙われて来た。誰も信用できないその辛さは私には想像も出来ない。
何故、そうなったかを誰よりも知りたいはずだ。
『私の指輪に、真実の扉を開けと魔力を流しなさい。そうすれば、あなたが知りたいことが何個かあるかも知れない。それは更にあなたを悩ませる事かも知れないから、見る、見ないは任せるわ。ただ、必ず人のいない所で解呪する事。それだけは絶対に守りなさい』
ジャスティンの目が哀しみに揺れる。迷い、困惑、恐怖…様々な感情が浮かんでは消える。
それでも、彼は解呪を選ぶだろう。幼い自分にはひた隠しにされて来た真実を知るために。
私はそっと、ジャスティンの手を握る。
『あぁ、もう時間が…ジャスティン、愛してるわ、私の愛しい子…』
ふっと光が消えて、ネックレスがシャラリと音を立てた。私はジャスティンの手をぎゅっと握って、指を絡ませた。
「…大丈夫、俺にはお前がいる」
「うん」
二人で頷き合った時、廊下の向こうから声が聞こえた。
「いい加減にしなさい!あなたがした事は国同士の関係を壊す行為なのよ!!」
「でもっ…私…!!」
「どれだけの迷惑をかけてると思ってるの!?王女としての自覚が足りないわ!!」
マナカ様の声が怒りに震えている。ミランダ王女様は涙声になっていて、それはきっとジュエルへの想いが強いからだろうと思った。
私はジュエルに目を向けた。まだ意識は戻っていないが、黒いモヤも感じられないから目を覚ますのを待って話を聞こうと思っている。
「カタギリ嬢、こちらは落ち着いた。話を聞かせてくれ」
「えぇ、もちろんよ。見苦しい所をお見せするけれど、ごめんなさいね」
「構わない。ジュエルは気絶していて話は出来ないが」
ジャスティンが部屋から顔を出し、こちらに来ていたマナカ様達に声を掛けた。
私はそっと隣の部屋を覗き、テーブルセットがある事を確認してそちらに移ることを提案する。
ジャスティンがジュエルを抱えて部屋を移動したが、ジュエルは床にごろんと転がされた。
扱いが酷い。
「ジャスティン、ジュエルを床になんて…」
「構わない。俺はそいつを許してはいない。意識が戻って何かをするようならば即刻殺す」
「…っっ!!」
ミランダ王女様がびくりと肩を震わせ青白い顔でジュエルの側に移動した。
本当に好きなんだなぁ、とふと優しい気持ちになる。
「おい、ミリオネア。絆されるなよ、絶対に」
目で人を凍らせる事が出来るのか、と思うほどジャスティンが冷たく言い放つ。
私はとりあえずへらりと笑って誤魔化した。
「それで、ミランダ王女はジュエルとどのような関係か。自ら姿を消したのか、ジュエルに無理矢理連れて来られたのか、どちらだろうか?答えて頂けるか?」
ジャスティンは静かに話し出す。
ミランダ王女様はぐっと言葉を詰まらせた。言葉選びを間違えれば、どうなるかを理解しているのだろう。
「ミランダ、答えなさい。ジャスティン殿下にちゃんとお話をしなさい」
「…はい…」
ミランダ王女様はジュエルの手をぎゅっと握った。
同時にちらちらと私にも怯えた視線を向けてくるが、私自身は特に怒っているわけではない。どちらかと言えば、ミランダ王女様を応援したいし、ジュエルにも立ち直って欲しい。
「わ、私は…ジュエル殿下をお慕いしています…。ジュエル殿下は他国の環境に慣れない私に優しくしてくれて…すぐに好きになりました。ジュエル殿下も、私を可愛い、綺麗だと褒めてくれるようになって…。でも、それは私に言っているんじゃないって、気付いたんです。だから…く、悔しかった……」
「……」
ジャスティンが静かにミランダ王女様の話を聞いている。
「ジュエル殿下の視線の先には…常に、ミリオネア様がいて…彼の視線を捉えて離さないミリオネア様が…き、嫌いでした」
ミランダ王女様はぐっと唇を噛み締める。
その気持ちは私もわかる。私もジャスティンが見つめる女性はみんな嫌いだったから。
「ミリオネアは俺の婚約者だ。ジュエルが結ばれる事はない」
「そうですけど…私は、ジュエル殿下に私だけを見て欲しかったんです…」
しゅんとしてしまったミランダ王女様をジャスティンは冷静に見ている。女心なんてわからないわよね、自分も似たような物だというのに。
「それで、あなたは…その…ジュエルと、そういう…関係だったのか…」
ジャスティンは言葉を選びながらミランダ王女様に質問をする。
聞き辛いし答え辛い…何とも言えない質問よね…。でも、割と大事になってくる内容だから…聞かないわけには進まない。
「わ、私は、ジュエル殿下に純潔を捧げました。でも、後悔はしていません!!私はジュエル殿下を愛しています!!ここに来たのも、無理矢理私が押しかけて…!ジュエル殿下は帰れと何度も言っていました…」
「そうか…」
ミランダ王女様は目に一杯の涙を溜めて、ジュエルを必死に庇っている。私はジャスティンに視線を移した後、ずっと無言で話を聞いているマナカ様を見た。マナカ様は天京様の手をぐっと握っている。
天京様はそんなマナカ様を心配そうに見守っていた。
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「…はい」
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ミランダ王女様がすっと頭を下げた。
マナカ様もそうだけど、この方達は躊躇いなく謝罪をする。王族なのに、たかが侯爵令嬢如きに。
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「ミランダ王女様、お顔をあげて下さい。私は何も思っていません」
「でも…」
「跳ね返ってしまった事で、お怪我はありませんでしたか?」
「それは…大丈夫です…」
「良かった…」
ほっとして笑ってしまった。
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それ以上はない。
「ミランダ、ミリオネアちゃんはとても優しくて、いつも自分より人のことを気にかける方なの。あなたも見習いなさい」
「本当に…ごめんなさい…。ジュエル殿下が心を捧げるのがわかったわ…。私なんて…足元にも及ばない…」
ぼろぼろと涙を流すミランダ王女様に今度は私がぎょっとした。
そんな良いもんじゃない、勘違いだ!と。
「見習うべきは私の方ですわ…。ミランダ王女様はジュエルを守ろうとした。私は…お恥ずかしいですが、ジャスティンから逃げてばかりで…。私も、ミランダ王女様のように、ジャスティンを守りたいです」
「そんな…私はただ皆さんに迷惑をかけて無理矢理側に居ただけで…」
それが、どれだけ難しい事か…私は身を持って体験している。違う女性に目を向ける愛しい人を見つめ続ける事の虚しさ、切なさ…。
私には出来なかった事だ。
「私、絶対にジャスティンの側を離れないわ…」
「それはいい考えだ、ミリオネア。是非忘れずに実行してくれ」
いつの間にか隣にいたジャスティンがニコニコとしている。
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「天京もそうだけど、温度差が酷すぎて風邪引きそうだわ…」
「お姉様…殿下の噂は嘘だったのね…私、驚いてしまって…」
「え、ジャスティンの噂ってどんなのがあるんですか?聞きたいですわ」
ミランダ王女様はあっ!と言う顔をして、おずおずと口を開いた。
「あの…私の国では…け、決して笑わない氷鉄の王子様と……すみません…」
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