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「はっ!?ミリオネアが聖魔力!?しかも聖女!?」
お兄様があんぐりと口を開けて固まった。
サロンでお茶を飲んでいる時に、お兄様がやって来たのだ。
事の経緯を説明したら、只今フリーズ中である。
「だからね、リチャード。多分ミリオネアはジャスティン王太子殿下の婚約者候補になるわ」
「はぁ!?あの性格破綻者の!?」
「こら、リチャード。例え家でも止めなさい。不敬罪で処罰されるわよ」
「いやいや、あれは絶対そうだって。闇を抱えてる目をしてるって」
「ミリオネアに先入観を植え付けないで。会ったことも話したこともないんだから」
お兄様の目は当たってるわ、お母様。
彼は性格破綻者というか、闇深い人よ。
あぁ…結局会わなきゃならないのね…。
ですよね。
いつかは会うわよね、聖女なんてもんになったら。
「ミリオネア、気をつけろよ。ジャスティン王太子殿下は気に入らなきゃ家ごと潰す!って言うような性格だからな。お前と同い年だからって気を抜くな」
「…お兄様ったら…そんな偏見で見たら気の毒よ。何か理由があって捻じ曲がってるだけかも知れないじゃないの」
「あなた達、それ絶対に外で言わないでちょうだい」
「ははは!うちの子達は怖いもの知らずだなぁ…」
「あなた、笑い事じゃないわよ!うっかり本人に言いそうじゃないの、この子達」
「まぁ、それはダメかな」
のんびりとしたお父様をお母様が叱っている。
言わないわよ、流石に本人には。
でもジャスティンはそういう性格で合ってるわ。
今は少し違うのかもしれないけど。
お母様が亡くなってから、人を信用した事なんてないって言ってた。
まぁ…平然と毒を盛ってくる人が何人いるかわからない生活してたら嫌でも性格だって歪むわよね。
「まだ婚約者候補になった訳じゃないし、彼にだって好みがあるんだから大丈夫よ」
「そうかぁ?殿下は気の強そうな女が好みっぽいけどな。言いなりみたいな女は嫌ってそう」
「へぇー」
お兄様怖い!!
当たり!大当たりよ!!
ジャスティンは言いなりで媚を売る人が大嫌いよ!
でも今回は、私はあくまで聖女として候補なだけだから。
あんまり関わらないようにしよう。
前と状況は随分と変わってるし、大丈夫でしょう。
どうせお茶会かなんか開くでしょうしね。
「あっ!それか、ミリオネアがすでに誰かと婚約しちゃえば?」
「は!?誰とよ!」
「え?もうロイでいいじゃん」
「え!?ロイ兄様!?」
「ミリオネアはアダムという男の子が気になってるのよね!探す?本気で」
「え!?本気で探すって…」
お母様が突然アダム様の名を出したから、動揺してしまった。
確かにあの顔面はずっと見ていたいくらいだけども。
「宰相の知り合いだったら連絡をくれるよ」
「楽しみだわぁ」
「もうっ!お母様ったら面白がってるでしょ!」
「うふふ…ミリオネアったら赤くなって」
「えっ!?嘘っ!?」
私はあわあわと手で顔を隠した。
お母様はクスクスと笑っていて。
お父様は困ったように笑っていて。
お兄様は面白くなさそうだった。
「旦那様、お手紙が来ています」
そっと執事のステファンが手紙を持って来た。
お父様はそれを受け取り、溜息を吐く。
「早速か」
「あなた、王家から?」
「あぁ」
封を開け手紙を読むお父様の表情がだんだんと面倒臭いと思っている時のものに変わっていく。
普段は紳士だが、お父様は面倒な事が嫌いだ。
「…ちっ…」
舌打ちしたー!!!
物凄く面倒なんだ!!
カッコいい顔が悪い顔になってるわ!
「…ミリオネアが聖女になったから、お披露目パーティーを王宮でするらしい」
「あぁ、やっぱりするのね」
「陛下はそんなの好きだもんな」
陛下はお祭り騒ぎが好きだ。
私とジャスティンの婚約披露パーティーも王宮でしたし。
あの時の王妃の冷めた顔がまだ思い出せるわ。
王太子妃教育の時にやって来ては、ジュエルにしときなさいよって何度も言われたし。
「あなた、そのパーティーはいつ?」
「それが…一週間後なんだ」
「は?陛下、はしゃぎすぎだろ」
「ドレスは作れないわね」
「どの家も今頃同じ事言ってるだろうな」
陛下…!!
ぱぁっとしたい気分なのね!!
ジャスティンがあまり心を開いてくれないから悩んでるのかしら。
「ドレスはまだ着てないのが沢山あるから大丈夫よ、お母様」
「そう?ミリオネアのお披露目だから、作ってあげたかったわ…」
「あまり派手にしても変に目立つと面倒だから…」
「あら、お父様の面倒臭がりを受け継いでいるのね…」
いや、もう王家が面倒臭い。
ドレスは今あるのでいいけど…そうだ!
あのネックレスに石を嵌めよう。
「お母様、小さな宝石を買いたいわ」
「いいわよ、あ、あのネックレスね?じゃあ早速明日、宝石商を呼びましょう」
「ありがとう、お母様」
私は何色の宝石にしようかとウキウキしていた。
お披露目パーティーにはそれを着けていきたい。
アダム様も来るかもしれないしね。
「明日からミリオネアは魔法の訓練だな。お兄様が教えてやるから心配するなよ」
「えぇ、ありがとう。お兄様」
「聖魔法は俺も初めて見るから楽しみだ」
「浄化したり、治癒したりが出来るんでしょう?」
「文献ではそう書いてあるな。なんせ今までに一人だけしか居ないから、よくわかってないんだよ」
「魔獣討伐に行く事も想定して、ちゃんと習得しなきゃね」
「は!?お前が魔獣討伐!?危ないだろ!!」
お兄様の表情が厳しいものに変わる。
でも、聖魔法を使えるというのはそう言う事だ。
いつかは行かなきゃいけない。
特に、ロイ兄様が参加する8年後には必ず私も行く。
「だから訓練するのよ。大丈夫、魔獣を殲滅出来るようになるまで訓練するわ」
「はー…。うちのお姫様は無茶苦茶だな…」
「どうせ行くならみんなのお荷物は嫌なだけよ」
「わかったよ、きっちり訓練してやる」
「お願いします」
呆れた顔で笑うお兄様。
微笑ましく見守るお父様、お母様。
ずっとこの顔を見ていたい。
もう悲しませたくない。
「じゃあ、明日に備えて私はゆっくりしているわね」
そう言って自室に帰った私は、アダム様から貰ったネックレスを眺めていた。
キラキラと輝く金色が、何故かジャスティンを思い出させる。
10歳のジャスティンを思い出しても朧げで、最期に見た顔ばかり浮かんでくる。
「綺麗な顔だったのに、あんなに悲痛な顔になっちゃって…」
そうさせたのは自分だけれど。
嫌がらせにしてもやりすぎたかしら。
でも、あのまま触れられるのは絶対に嫌だったのよ。
一生愛せないまま、結局二人共幸せにはなれなかった。
女神様が教えてくれたから、今は穏やかに思い出せるけど。
「幻影魔法を何て事に使うんだって話よ」
あれめちゃくちゃ難しいのに。
私に見せるためだけに習得するなんて、能力の無駄遣いよ。
リアル過ぎてぞっとするわ。
あれはジャスティンの想像を具現化した物なのかしら…って何を考えてるのよ、私!!!
「あぁ…恥ずかしい…」
どうか今世ではジャスティンが穏やかに過ごせますように。
寂しい気持ちになりませんように。
「お披露目パーティーではいるだろうから、遠目から観察しよう。今の私目線で見たら可愛いだろうな」
ちっちゃい時からぶっきらぼうで素直じゃなくて、でも寂しがりで甘えん坊で…独占欲の塊で。
しかもあの顔。
「可愛くて撫で回したくなるかも知れないわ」
18歳の姿のままここに居たら、いいお姉さんになれる自信があるわ。
残念ながら10歳だけど。
それに、婚約者という肩書きがなければ会う事も、話す事もない。
「はっ…私は一体どうしたいのかしら…。ジャスティンとはもう関わりたくないって思ってるんじゃないの…?」
気持ちに整理が付いていないまま、ここにいる。
昨日からまだ一日しか経ってないのだから、それはそうだけど。
ゆっくり考えたい。
あぁ、ダメね。
私、どっちつかずだわ。
沢山ある道のうち、どの道を選ぶのか。
みんなそれぞれに幸せになれば良いと言うのは我儘なんだろうか。
「嫌いになりきれれば楽なのに」
8年の想いが重過ぎて、どうしたいのかがわからない。
勘違いしたままならば、切り捨てていただろう想いも幻影だったと女神様が教えてくれた。
だからってあの時の絶望した気持ちに嘘はない。
嫌い、憎い、もう見たくない。
真っ黒な気持ちがぞわぞわと蘇っても、あの呆然とした顔が許してやりなさいよと言ってくる。
「…振り出しじゃないの…」
聖魔法を自分にかけたら、このモヤついた気持ちも浄化されるのかしら。
「そもそも使えるのかしら」
私は魔力を手に集めた。
呪文よりも大事なのはイメージ。
私は真っ黒な物を純白にするイメージを思い浮かべた。
「浄化」
キラキラと銀色の光が舞い、私に降り注ぐ。
さぁっと爽やかな風が頬に当たり、確かに魔法は発動したようだ。
「でも、もやもやは無くならない」
身体は少し軽くなった?
ぐっと重かった身体は確かに楽になっている。
「わぁ…私、出来るんだ」
ちょっと感動。
練習して、魔獣を殲滅出来るようになろう。
そうすれば変わる事が確実にある。
私にしか出来ない事をやっていこう。
私はぐっと拳を握った。
お兄様があんぐりと口を開けて固まった。
サロンでお茶を飲んでいる時に、お兄様がやって来たのだ。
事の経緯を説明したら、只今フリーズ中である。
「だからね、リチャード。多分ミリオネアはジャスティン王太子殿下の婚約者候補になるわ」
「はぁ!?あの性格破綻者の!?」
「こら、リチャード。例え家でも止めなさい。不敬罪で処罰されるわよ」
「いやいや、あれは絶対そうだって。闇を抱えてる目をしてるって」
「ミリオネアに先入観を植え付けないで。会ったことも話したこともないんだから」
お兄様の目は当たってるわ、お母様。
彼は性格破綻者というか、闇深い人よ。
あぁ…結局会わなきゃならないのね…。
ですよね。
いつかは会うわよね、聖女なんてもんになったら。
「ミリオネア、気をつけろよ。ジャスティン王太子殿下は気に入らなきゃ家ごと潰す!って言うような性格だからな。お前と同い年だからって気を抜くな」
「…お兄様ったら…そんな偏見で見たら気の毒よ。何か理由があって捻じ曲がってるだけかも知れないじゃないの」
「あなた達、それ絶対に外で言わないでちょうだい」
「ははは!うちの子達は怖いもの知らずだなぁ…」
「あなた、笑い事じゃないわよ!うっかり本人に言いそうじゃないの、この子達」
「まぁ、それはダメかな」
のんびりとしたお父様をお母様が叱っている。
言わないわよ、流石に本人には。
でもジャスティンはそういう性格で合ってるわ。
今は少し違うのかもしれないけど。
お母様が亡くなってから、人を信用した事なんてないって言ってた。
まぁ…平然と毒を盛ってくる人が何人いるかわからない生活してたら嫌でも性格だって歪むわよね。
「まだ婚約者候補になった訳じゃないし、彼にだって好みがあるんだから大丈夫よ」
「そうかぁ?殿下は気の強そうな女が好みっぽいけどな。言いなりみたいな女は嫌ってそう」
「へぇー」
お兄様怖い!!
当たり!大当たりよ!!
ジャスティンは言いなりで媚を売る人が大嫌いよ!
でも今回は、私はあくまで聖女として候補なだけだから。
あんまり関わらないようにしよう。
前と状況は随分と変わってるし、大丈夫でしょう。
どうせお茶会かなんか開くでしょうしね。
「あっ!それか、ミリオネアがすでに誰かと婚約しちゃえば?」
「は!?誰とよ!」
「え?もうロイでいいじゃん」
「え!?ロイ兄様!?」
「ミリオネアはアダムという男の子が気になってるのよね!探す?本気で」
「え!?本気で探すって…」
お母様が突然アダム様の名を出したから、動揺してしまった。
確かにあの顔面はずっと見ていたいくらいだけども。
「宰相の知り合いだったら連絡をくれるよ」
「楽しみだわぁ」
「もうっ!お母様ったら面白がってるでしょ!」
「うふふ…ミリオネアったら赤くなって」
「えっ!?嘘っ!?」
私はあわあわと手で顔を隠した。
お母様はクスクスと笑っていて。
お父様は困ったように笑っていて。
お兄様は面白くなさそうだった。
「旦那様、お手紙が来ています」
そっと執事のステファンが手紙を持って来た。
お父様はそれを受け取り、溜息を吐く。
「早速か」
「あなた、王家から?」
「あぁ」
封を開け手紙を読むお父様の表情がだんだんと面倒臭いと思っている時のものに変わっていく。
普段は紳士だが、お父様は面倒な事が嫌いだ。
「…ちっ…」
舌打ちしたー!!!
物凄く面倒なんだ!!
カッコいい顔が悪い顔になってるわ!
「…ミリオネアが聖女になったから、お披露目パーティーを王宮でするらしい」
「あぁ、やっぱりするのね」
「陛下はそんなの好きだもんな」
陛下はお祭り騒ぎが好きだ。
私とジャスティンの婚約披露パーティーも王宮でしたし。
あの時の王妃の冷めた顔がまだ思い出せるわ。
王太子妃教育の時にやって来ては、ジュエルにしときなさいよって何度も言われたし。
「あなた、そのパーティーはいつ?」
「それが…一週間後なんだ」
「は?陛下、はしゃぎすぎだろ」
「ドレスは作れないわね」
「どの家も今頃同じ事言ってるだろうな」
陛下…!!
ぱぁっとしたい気分なのね!!
ジャスティンがあまり心を開いてくれないから悩んでるのかしら。
「ドレスはまだ着てないのが沢山あるから大丈夫よ、お母様」
「そう?ミリオネアのお披露目だから、作ってあげたかったわ…」
「あまり派手にしても変に目立つと面倒だから…」
「あら、お父様の面倒臭がりを受け継いでいるのね…」
いや、もう王家が面倒臭い。
ドレスは今あるのでいいけど…そうだ!
あのネックレスに石を嵌めよう。
「お母様、小さな宝石を買いたいわ」
「いいわよ、あ、あのネックレスね?じゃあ早速明日、宝石商を呼びましょう」
「ありがとう、お母様」
私は何色の宝石にしようかとウキウキしていた。
お披露目パーティーにはそれを着けていきたい。
アダム様も来るかもしれないしね。
「明日からミリオネアは魔法の訓練だな。お兄様が教えてやるから心配するなよ」
「えぇ、ありがとう。お兄様」
「聖魔法は俺も初めて見るから楽しみだ」
「浄化したり、治癒したりが出来るんでしょう?」
「文献ではそう書いてあるな。なんせ今までに一人だけしか居ないから、よくわかってないんだよ」
「魔獣討伐に行く事も想定して、ちゃんと習得しなきゃね」
「は!?お前が魔獣討伐!?危ないだろ!!」
お兄様の表情が厳しいものに変わる。
でも、聖魔法を使えるというのはそう言う事だ。
いつかは行かなきゃいけない。
特に、ロイ兄様が参加する8年後には必ず私も行く。
「だから訓練するのよ。大丈夫、魔獣を殲滅出来るようになるまで訓練するわ」
「はー…。うちのお姫様は無茶苦茶だな…」
「どうせ行くならみんなのお荷物は嫌なだけよ」
「わかったよ、きっちり訓練してやる」
「お願いします」
呆れた顔で笑うお兄様。
微笑ましく見守るお父様、お母様。
ずっとこの顔を見ていたい。
もう悲しませたくない。
「じゃあ、明日に備えて私はゆっくりしているわね」
そう言って自室に帰った私は、アダム様から貰ったネックレスを眺めていた。
キラキラと輝く金色が、何故かジャスティンを思い出させる。
10歳のジャスティンを思い出しても朧げで、最期に見た顔ばかり浮かんでくる。
「綺麗な顔だったのに、あんなに悲痛な顔になっちゃって…」
そうさせたのは自分だけれど。
嫌がらせにしてもやりすぎたかしら。
でも、あのまま触れられるのは絶対に嫌だったのよ。
一生愛せないまま、結局二人共幸せにはなれなかった。
女神様が教えてくれたから、今は穏やかに思い出せるけど。
「幻影魔法を何て事に使うんだって話よ」
あれめちゃくちゃ難しいのに。
私に見せるためだけに習得するなんて、能力の無駄遣いよ。
リアル過ぎてぞっとするわ。
あれはジャスティンの想像を具現化した物なのかしら…って何を考えてるのよ、私!!!
「あぁ…恥ずかしい…」
どうか今世ではジャスティンが穏やかに過ごせますように。
寂しい気持ちになりませんように。
「お披露目パーティーではいるだろうから、遠目から観察しよう。今の私目線で見たら可愛いだろうな」
ちっちゃい時からぶっきらぼうで素直じゃなくて、でも寂しがりで甘えん坊で…独占欲の塊で。
しかもあの顔。
「可愛くて撫で回したくなるかも知れないわ」
18歳の姿のままここに居たら、いいお姉さんになれる自信があるわ。
残念ながら10歳だけど。
それに、婚約者という肩書きがなければ会う事も、話す事もない。
「はっ…私は一体どうしたいのかしら…。ジャスティンとはもう関わりたくないって思ってるんじゃないの…?」
気持ちに整理が付いていないまま、ここにいる。
昨日からまだ一日しか経ってないのだから、それはそうだけど。
ゆっくり考えたい。
あぁ、ダメね。
私、どっちつかずだわ。
沢山ある道のうち、どの道を選ぶのか。
みんなそれぞれに幸せになれば良いと言うのは我儘なんだろうか。
「嫌いになりきれれば楽なのに」
8年の想いが重過ぎて、どうしたいのかがわからない。
勘違いしたままならば、切り捨てていただろう想いも幻影だったと女神様が教えてくれた。
だからってあの時の絶望した気持ちに嘘はない。
嫌い、憎い、もう見たくない。
真っ黒な気持ちがぞわぞわと蘇っても、あの呆然とした顔が許してやりなさいよと言ってくる。
「…振り出しじゃないの…」
聖魔法を自分にかけたら、このモヤついた気持ちも浄化されるのかしら。
「そもそも使えるのかしら」
私は魔力を手に集めた。
呪文よりも大事なのはイメージ。
私は真っ黒な物を純白にするイメージを思い浮かべた。
「浄化」
キラキラと銀色の光が舞い、私に降り注ぐ。
さぁっと爽やかな風が頬に当たり、確かに魔法は発動したようだ。
「でも、もやもやは無くならない」
身体は少し軽くなった?
ぐっと重かった身体は確かに楽になっている。
「わぁ…私、出来るんだ」
ちょっと感動。
練習して、魔獣を殲滅出来るようになろう。
そうすれば変わる事が確実にある。
私にしか出来ない事をやっていこう。
私はぐっと拳を握った。
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